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金属イオンの分離に関する理由を記述する問題

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今日も理由を記述する問題についてです。


□5種類の金属イオンAl3+,Ca2+,Cu2+,Fe3+,Zn2+を含む水溶液について,次の操作を順に行った。

操作1 水溶液に塩酸を加えた。その際,沈殿は生じなかった。

操作2 操作1の水溶液に硫化水素を通じると黒色の沈殿が生じたため,ろ過して沈殿Aとろ液に分離した。

操作3 操作2で得られた①ろ液を煮沸した。次に,②硝酸を加え,さらにアンモニア水を過剰に加えると沈殿が生じたため,ろ過して沈殿Bとろ液に分離した。

操作4 操作3で得られたろ液に硫化水素を通じると白色の沈殿が生じたため,ろ過して沈殿Cとろ液に分離した。

操作5 操作4で得られたろ液を煮沸して硫化水素を除き,炭酸アンモニウム水溶液を加えると白色の沈殿が生じたため,ろ過して沈殿Dとろ液に分離した。

……以下の操作は略……

□問題1
下線部①でろ液を煮沸する理由は?

□解答例

溶液に溶けている未反応の硫化水素を取り除くため。



□問題2
下線部②で硝酸を加える理由は?

□解答例

酸化剤である硝酸を用いて,鉄(Ⅱ)イオンを鉄(Ⅲ)イオンにするため。



※補足解説

上記の操作2で,鉄(Ⅲ)イオンは,硫化水素によって還元されて鉄(Ⅱ)イオンとなっています。
この鉄(Ⅱ)イオンを再び,鉄(Ⅲ)イオンにもどすために,残っている硫化水素を煮沸することによって取り除きます。
そして,酸化剤である硝酸を用いて鉄(Ⅱ)イオンを鉄(Ⅲ)イオンにします。


数種類の未知の金属イオンを含む水溶液から沈殿生成,再溶解反応などを利用することで分離,確認する方法を定性分析といい,古くから確立された一定の手順があります。

入試でよく狙われるイオンについての代表的な手順の一例を示しました。





■実際に出題された問題は下記になります。


■操作に従って,Ca2+,Fe3+,Cu2+,Pb2+を含む混合水溶液から各イオンを分離して確認した。

問 下線部で,煮沸の操作と硝酸を加える操作を行う理由として正しく記述されているのはどれか。
次の中から正しい組合せを一つ選んで,解答欄の記号にマークしなさい。
煮沸の操作          硝酸を加える操作
塩素を追い出すため    金属イオンの一つを酸化するため
塩素を追い出すため    金属イオンの一つを還元するため
硫化水素を追い出すため  金属イオンの一つを酸化するため
硫化水素を追い出すため  金属イオンの一つを還元するため
二酸化炭素を追い出すため 金属イオンの一つを酸化するため
二酸化炭素を追い出すため 金属イオンの一つを還元するため
(2009 東海大学海洋 開発工 健康科 産業工 情報通信 情報理工 生物理工 農 一部改)



■混合水溶液に希塩酸を加えると(1)白色沈殿が生成したので,これをろ過した。ろ紙上の沈殿物を集めて熱水に溶かし,クロム酸カリウム水溶液を加えると(2)黄色沈殿が生じた。ろ液に(3)硫化水素を通じると(4)黒色の沈殿が生成したので,これをろ過した。ろ紙上の沈殿物を集めて,
希硝酸に加熱して溶かした後,アンモニア水を少しずつ加えると,まず(5)青白色の沈殿が生じた。さらに,アンモニア水を加えると沈殿が溶けて深青色の水溶液が生じた。
 (6)ろ液を煮沸した後,(7)希硝酸を加え,アンモニア水を過剰に加えると(8)赤褐色沈殿を生じたので,
これをろ過した。ろ紙上の沈殿物を集めて希硝酸に溶かし,(9)チオシアン酸カリウム水溶液を加えると(10)呈色した。

問6 下線部(6)の操作を行う理由を20字程度で答えなさい。
問7 下線部(7)の操作を行う理由を20字程度で答えなさい。
( 2010 和歌山大学 教育)



■Ag,K,Ca2+,Cu2+,Zn2+,Al3+の6種類の金属イオンを含む水溶液がある。これらの金属イオンを分離・確認するために,次の①~⑥の操作を順に行った。

① 6種類の金属イオンを含む水溶液に塩酸を加えたところ,沈殿Aが生じた。
② 沈殿Aをろ過したろ液に硫化水素を通じたところ,沈殿Bが生じた。
③ 沈殿Bをろ過したろ液を煮沸した後,この水溶液にアンモニア水を過剰に加えたところ,沈殿Cが生じた。
④ 沈殿Cをろ過したろ液に硫化水素を通じたところ,沈殿Dが生じた。
⑤ 沈殿Dをろ過したろ液に炭酸アンモニウム水溶液を加えたところ,沈殿Eが生じた。
⑥ 沈殿Eをろ過したろ液を白金線に付着させ,ガスバーナーの炎にかざした。

問3 ③の操作において,ろ液を煮沸する理由を説明せよ。
(2011 島根大学 総合理工 )


■Na,Ca2+,Fe3+,Cu2+,Zn2+,Agを含む水溶液がある。この水溶液について,a~eの操作を行った。ただし,a~eの操作による溶液の体積は変化しないものとする。

(操作a) この水溶液25.0mLを正確にはかりとり,これに塩酸を添加したところ,塩化銀の白色沈殿が生成した。この溶液をろ過し,塩化銀とろ液Aを得た。

(操作b) ろ液Aに硫化水素を十分に吹き込んだところ,黒色の沈殿物Bが生成した。この溶液をろ過し,沈殿物Bとろ液Cを得た。

(操作c) ろ液Cを煮沸して硫化水素を完全に除いてから①希硝酸を添加し,アンモニア水を過剰に加えたところ,赤褐色の沈殿物Dが生成した。この溶液をろ過し,沈殿物Dとろ液Eを得た。

(操作d) ろ液Eに硫化水素を十分に吹き込んだところ,白色の沈殿物Fが生成した。この溶液をろ過し,沈殿物Fとろ液Gを得た。

(操作e) ろ液Gに炭酸アンモニウムを加えたところ,白色の沈殿物Hが生成した。
この溶液をろ過し,沈殿物Hとろ液Iを得た。

問 下線部①で希硝酸を加えるのはなぜか。理由を簡潔に説明しなさい。
(2012 大分大学 教育福祉科 一部改)



■4種の金属イオンを含む水溶液Aに対して,以下のような金属イオンを分離および確認する実験を行った。
なお,水溶液Aに含まれる4種の金属イオンのうち,3種はZn2+,Al3+,および,Fe3+であることが分かっている。

操作1.水溶液Aに希塩酸を加えたが何も変化がなかった。その後,硫化水素を通したところ,黒色沈殿物が析出した。
ろ過することにより,沈殿物Bと,ろ液Cとに分けた。

操作2.沈殿物Bを希硝酸で溶解した後,過剰量のアンモニア水を加えたところ,その溶液は深青色を呈した。

操作3.ろ液Cを加熱することにより硫化水素を除き,(2)希硝酸を加えた後,過剰量のアンモニア水を加えたところ,
沈殿物(混合物)が析出した。ろ過することにより,沈殿物Dと,ろ液Eとに分けた。

操作4.沈殿物Dに過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を加えたところ,沈殿物の一部が溶解した。
ろ過することにより,溶解せずに残った赤褐色沈殿物Fと,ろ液Gとに分けた。

問.下線部(2)について,なぜ希硝酸を加えたのか,理由を,句読点を含めて40字以内で記せ。
ただし,元素記号は使わないこと。
(2011 名古屋市立大学 薬 一部改)







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