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入試問題文を聴いて覚える化学 有機化学 脂肪族化合物編①

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今日も、入試問題文を聴いて覚える化学 有機化学 脂肪族化合物編①

録音した音声はyoutubeにアップしています。


□テキストは下記参照ください。


入試問題文を聴いて覚える化学 有機化学 脂肪族化合物編①

■ 2011年度 新潟大学
 鎖状構造の飽和炭化水素をアルカンという。メタンは最も構造の簡単なアルカンで,正四面体構造をしている。メタンと塩素の混合気体に光を当てると,置換反応が進行して,水素が塩素に置換された化合物ができる。炭素の数が4以上のアルカンには,炭素原子のつながり方の違いによる構造異性体が存在する。
 
 分子内に二重結合を一つ含む鎖式不飽和炭化水素をアルケンという。エチレンは最も構造の簡単なアルケンで,エタノールに濃硫酸を加えて160℃以上に熱すると,分子内で脱水反応が起こりエチレンが生成する。臭素水にエチレンを通じると,臭素の赤褐色が消失する。炭素数が4以上のアルケンには,炭素原子のつながり方および二重結合の位置の違いによる構造異性体の他に,二重結合についた炭化水素基の配置が異なる幾何異性体が存在する。
 
 分子内に三重結合を一つ含む鎖式不飽和炭化水素をアルキンという。アセチレンは最も構造の簡単なアルキンで,炭化カルシウム(カーバイド)に水を作用させるとアセチレンが生成する。炭素と炭素の三重結合には,二重結合と同様に付加反応が起こりやすい。塩化水銀(Ⅱ)を触媒にして,アセチレンに一分子の塩化水素を付加させると,合成樹脂の原料となる塩化ビニルが生成する。




■ 2011年度 秋田大学
 アルコールにはヒドロキシ基が1個の1価アルコールと,2個以上の多価アルコールがある。一般に単に「アルコール」という場合,エタノールをさす場合が多い。最も炭素数の少ない1価アルコールはメタノールであり,メタノール及びエタノールにはアルコールとしての異性体は存在しない。
 
 エタノールを含むアルコール飲料は,古来より微生物を用いて醸造されてきた。この方法では主にさまざまな方法で得られたグルコースなどを出発物質として,酵母の作用によりアルコールを合成している。この方法は近年,ガソリンの代替燃料を生産する方法としても着目されている。
 
 エタノールを二クロム酸カリウムの硫酸酸性水溶液で酸化するとアセトアルデヒドが生成する。この物質をさらに酸化してカルボン酸である酢酸にすることができる。酢酸もまた,化学製品の原料として,我々の生活に欠かせない重要な物質である。
 
 一方,多価アルコールにも重要な化合物が多く存在する。例として,エチレングリコールはポリエチレンテレフタラートの原料として用いられる。また,油脂は高級脂肪酸とグリセリンのエステルである。



■ 2011年度 名古屋工業大学
 近年,温暖化対策として二酸化炭素削減のためや,化石燃料の枯渇問題から燃料としてバイオエタノールが注目されている。バイオエタノールとは,廃木材,ある種の海草およびサトウキビやトウモロコシなどのバイオマスを微生物の力を借りて発酵させ,それを蒸留して生成されるエタノールのことである。日本では米を発酵させ,日本酒を造っているが,日本酒を製造する過程で,生産工程の管理が悪いと酢(酢酸)が生成することがある。このエタノールと酢酸を縮合(しゅくごう)させて生じる酢酸エチルは,日本酒の香気成分の1つである。
 
 バイオエタノールは空気中の二酸化炭素を固定したバイオマスから造り出すので,その燃焼によって大気中の二酸化炭素の量を増やさないと考えられている。この点から,エネルギー源としての将来性が期待され,研究が進められている。
 
 しかし,原料の分別および発酵して得たエタノールを蒸留して利用可能な純度にするまでに必要なエネルギーが莫大であるため,結果として二酸化炭素発生の増大につながる恐れも指摘されている。
 
 燃料としてエタノールを炭化水素(ガソリン)と比較すると,同一体積での発熱量が小さいという欠点がある。しかし,二酸化炭素の発生量あたりの発熱量で見てみるとそれほどの差はない。米国ではガソリンとエタノールを混合したガソホールがガソリンの代替(だいたい)燃料(ねんりょう)として用いられている。




■ 2011年度 関西学院大学
  現代の有機化学工業では,エチレンなどのアルケンを出発物質とする方法が主流となっている。しかし一時期,アルキンであるアセチレンを利用する化学工業も栄えた。
 
 アセトアルデヒドの工業的製法を歴史的にみると,過去にはアセチレンに水を付加させる反応を利用していた。この方法は水銀塩を触媒として用いるもので水俣病の原因となった。現在では,アセチレンの代わりにエチレンを用いる一段階反応へと完全に製法が転換している。
 
 一方,類似の製法転換を経たものに酢酸ビニルがある。酢酸ビニルは日本で発明された高分子ビニロンの単量体(モノマー)として知られる。当初はアセチレンを原料として合成されていたが,現在ではエチレンを原料としている。


HP「恋する化学」にpdfファイルをアップしています。


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