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合成樹脂に関する正誤問題

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今日は合成樹脂に関する正誤問題です。

高分子化合物は,一般に分子量が1万以上の物質であり,天然に存在する天然高分子化合物と人工的に合成された合成高分子化合物に大別されます。
合成高分子は,その形態の違いから合成繊維,合成樹脂(プラスチック),合成ゴムに分類されています。
合成樹脂は,合成高分子を樹脂状にしたもので,単量体と重合体の名称と構造,反応の仕組みをおさえることがポイントです!



★次の正誤を判定せよ。

■問題① 高分子化合物を構成する低分子量の化合物をポリマーといい,生成した高分子化合物をモノマーという。


■問題② 加熱すると軟らかくなり,冷却すると硬くなる樹脂を熱硬化性樹脂という。


■問題③ プラスチックは,一般的に酸化されにくいが,酸や塩基に侵されやすいという特徴がある。


■問題④ ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ酢酸ビニルは,すべて付加重合によって合成される。


■問題⑤ ポリスチレンを発泡させたものは,梱包材料や断熱材料として,ポリ塩化ビニルは耐水性,耐薬性に優れているため,雨どいや水道管として広く利用されている。


■問題⑥ ポリエチレンには,反応の条件により,低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンがある。


■問題⑦ フェノール樹脂は,触媒を用いてフェノールとホルムアルデヒドを加熱することで得られる。


■問題⑧ メラミン樹脂は,尿素とホルムアルデヒドの縮合重合によって得られる。






★解答

□問題①
□解答 …… 誤り。

高分子化合物を構成する低分子量の化合物を単量体(モノマー)といい,生成した高分子化合物を重合体(ポリマー)といいます。
ポリマーを構成するモノマーの数は重合度と呼ばれ,一般的な高分子化合物は,重合度が異なる様々な分子量の分子の集合体のため,高分子化合物の分子量は,平均の値(平均分子量)で表されます。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-樹脂1


□問題②
□解答 …… 誤り。

熱硬化性樹脂ではなく,熱可塑性樹脂です。
プラスチックを,熱に対する性質により分類すると,熱を加えると軟らかくなり,冷やすと硬くなる性質の熱可塑性樹脂と,熱を加えることにより硬くなる性質の熱硬化性樹脂に分類されます。

一般に,熱可塑性樹脂は線状構造をもつ高分子化合物からなり,耐熱性に劣りますが,成形加工しやすいという特徴があります。
一方,熱硬化性樹脂は,加熱によって重合が進み,高分子鎖が網目状構造を形成するため,成形加工がしにくくなります。

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□問題③
□解答 …… 誤り。

プラスチック(合成樹脂)は,酸化されにくく,酸や塩基にも侵されにくいです。
プラスチックの一般的な特徴として,
① 密度が小さいため,金属や陶磁器などに比べて軽い。
② 成形加工がしやすい。
③ 電気を通しにくい。
④ 酸や塩基にも比較的侵されにくい。
⑤ 化学的に安定で酸化されにくい。
などの特徴があります。



□問題④
□解答 …… 正しい。

付加重合とは,C=C結合をもつ化合物が付加反応によって次々に結びつく反応で,付加重合によって合成される合成樹脂は,すべてビニル基-CH2=CH-をもつ単量体からなります。
また,得られた合成樹脂は鎖状構造のため,すべて熱可塑性樹脂となります。


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□問題⑤
□解答 …… 正しい。

ポリスチレンに発泡剤を加え,発泡させたものを,発泡スチロールといいます。
他の合成樹脂(熱可塑性樹脂)では,ポリエチレンは,成形加工しやすく,耐薬性を持つため,ポリ袋,ポリバケツ,飲料用ボトルなどに,
ポリプロピレンもポリエチレンと似たような性質を持ちますが,ポリエチレンより耐薬品性や機械的強度が優れているため,食品用容器,包装材料に,ポリ酢酸ビニルは,側鎖が大きくポリマーの内部にすき間が生じるため,分子鎖が動きやすく,軟化点(軟らかくなる温度)が低いことから,成形品ではなく接着剤やガムなどに利用されています。


□問題⑥
□解答 …… 正しい。

エチレンを高圧・約200℃で付加重合させると,枝分かれの多い低密度ポリエチレンが生成し,エチレンを触媒のもと常圧・約60℃で付加重合させると,枝分かれの少ない高密度ポリエチレンが生成します。
低密度ポリエチレンは,枝分かれが多いことから,透明でやわらかいため,ポリ袋に,高密度ポリエチレンは,枝分かれが少なく,不透明で硬いため,ポリバケツなどのポリ容器に用いられます。 


□問題⑦
□解答 …… 正しい。

フェノール樹脂の合成方法には,フェノールにホルムアルデヒドを酸を触媒として加え,中間生成物としてノボラックを生成させた後,硬化剤を加え,加熱することにより合成する方法と,塩基を触媒として加え,中間生成物としてレゾールを生成させた後,加熱して合成する方法があります。
フェノール樹脂は,1907年にベークランド博士により,世界で初めて開発された合成樹脂です。

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□問題⑧
□解答 …… 誤り。

メラミン樹脂は,メラミンとホルムアルデヒドの縮合重合によって得られます。尿素とホルムアルデヒドの縮合重合によって得られるのはユリア樹脂(尿素樹脂)です。
フェノール樹脂,メラミン樹脂,ユリア樹脂ともに立体網目構造を持つので,熱硬化性樹脂となります。また,いずれもホルムアルデヒドが単量体の1つとなっています。

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