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油脂・セッケンに関する理由を記述する問題

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今日は,油脂・セッケンに関する理由を記述する問題です。

□問題1
硬水中で,セッケンの洗浄力が低下する理由は?

□解答例
セッケンは硬水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムなどと,水に難溶性の塩を形成して沈澱してしまうため。

□問題2
硬水中で,合成洗剤の洗浄力が低下しない理由は?

□解答例
合成洗剤は,強酸と強塩基からなる塩で,加水分解せず,硬水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムなどと塩を形成しないため。

□問題3
セッケンを水に溶かしたとき,塩基性を示す理由は?

□解答例
セッケンは弱酸と強塩基からなる塩であり,水溶液中で加水分解するため。


□問題4
脂肪をセッケン水に入れて振ると乳濁液になる。乳濁液になる理由は?


□解答例
セッケン分子は疎水基(炭化水素基)と親水基(カルボン酸イオン)の両方をもち,親水基を外側に,疎水基を内側にして,食用油を取り囲み,細かい粒子(ミセル)となって水中に分散するため。


□問題5
セッケンに洗浄作用がある理由は?


□解答例
セッケンは,界面活性作用により,水の表面張力を小さくして,繊維などのすきまに浸透しやすくなる。そして,繊維中や水中の油汚れを取り囲み安定なミセルとして分散するため。


□問題6
セッケンは,絹や羊毛の洗浄には適さない理由は?


□解答例
セッケンの水溶液は弱塩基性で,絹や羊毛などタンパク質からなる繊維は塩基性に弱いため。


※補足解説

油脂は高級脂肪酸とグリセリン(3価アルコール)とのエステルで,次のように反応して得られます。

セッケン1


天然の油脂は,多種類の高級脂肪酸を構成成分とする多種類のグリセリンエステルからなる混合物です。

油脂は,1分子のグリセリンに3分子の高級脂肪酸がエステル結合したエステなので,水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると,加水分解し,グリセリンと高級脂肪酸のアルカリ金属塩(これをセッケンという)が生成します。このようにエステルに強塩基(水酸化ナトリウム,水酸化カリウムなど)を加えて加水分解させることをけん化といい,油脂のけん化によって,グリセリンとセッケンが得られます。

セッケン2


セッケン分子は疎水基(炭化水素基)と親水基(カルボン酸イオン)の両方をもち,親水基を外側に,疎水基を内側にして,食用油を取り囲み,細かい粒子(ミセル)となって水中に分散します。

セッケン3

この作用を乳化(作用)といいます。
また,セッケンは水の表面張力を低下させる性質があります。このような性質をもつ物質を界面活性剤といいます。

このように,セッケンが洗浄作用を示す理由は次の2つがポイントとなります。
①界面活性作用により,水の表面張力を小さくして,繊維などのすきまに浸透しやすくなる。
②はがれた油汚れを取り囲み安定なミセルとして水中に分散する。


セッケンは,水に溶けると弱塩基性を示し,カルシウムイオンCa2+やマグネシウムイオンMg2+と結合して,水に不溶な塩をつくるため,洗浄力は低下してしまいます。
一方,合成洗剤は,強酸の-SO3Hと強塩基のNaOHからなる塩で加水分解せず,Ca2+やMg2+とは塩を形成しないため洗浄力は落ちません。

また,セッケンの水溶液は弱塩基性で,絹や羊毛などタンパク質からなる繊維は塩基性に弱いため,セッケンは,絹や羊毛の洗浄には適しません。


セッケンと合成洗剤についてまとめましたのでしっかりおさえましょう!

セッケン4






☆それでは実際に出題された過去問題を見ていきましょう!


■油脂に( ① )の水溶液を加えて加熱すると( ② )と脂肪酸のナトリウム塩が生じる。この反応を( ③ )といい,脂肪酸のナトリウム塩を一般に( ④ )という。( ④ )のように水の表面張力を低下させるはたらきをもつ物質を( ⑤ )という。
アルキル硫酸やアルキルベンゼンスルホン酸の塩は一般に( ⑥ )洗剤と言われる。二重結合をもたない炭素12個の直鎖状アルコールである1-ドデカノールを硫酸で処理すると,硫酸水素ドデシルが生じ,これを( ① )の水溶液で中和すると炭素12個をもつアルキル硫酸塩が生じる。は細胞やタンパク質を可溶化する( ⑤ )として頻用されている。( ④ )は硬水中では使用できないが,( ⑥ )洗剤は硬水中でも使用できる。

問1 ( ① )~( ⑥ )にあてはまる語句または物質名を記せ。
問2 Ca2+やMg2+を含む硬水では( ④ )は使用できない。その理由を25字以内で述べよ。
(2013 昭和大学 医 一部改)

□解答
問1 ①…水酸化ナトリウム, ②…グリセリン, ③…けん化, ④…セッケン, ⑤…界面活性剤, ⑥…合成
問2 上記,問題1参照



■食用油やバターは油脂とよばれる成分からできており,①油脂はグリセリンと脂肪酸が反応して生成する。油脂は,グリセリンの[ a ]基と脂肪酸の[ b ]基から水分子がとれた[ c ]である。脂肪酸には炭化水素基が単結合のみで構成される[ d ]と二重結合が1つ以上含まれる[ e ]がある。
この油脂からセッケンをつくることができる。セッケンは汚れを落とす目的で広く用いられる生活用品であり,一般的にはパルミチン酸ナトリウムやステアリン酸ナトリウムなど,炭化水素鎖の比較的長い脂肪酸の[ f ]が用いられる。炭化水素鎖の長い脂肪酸は[ g ]とよばれる。セッケンは炭化水素基が[ h ],イオン部位が[ i ]となっていて,水と油の両方になじむ性質をもつ。セッケンを水に溶かすと,ある濃度以上で多数の分子が集合して水和しやすい構造体をつくる。このような構造体をはじめとする直径1~100nm程度の粒子を総称してコロイド粒子とよぶ。
(1) [ a ]~[ i ]に適切な語句を記入せよ。
(2) 硬水(Ca2+やMg2+が多く含まれる水)中でセッケンの泡立ちが悪くなる理由を述べよ。
(2013 信州大学 理 一部改)

□解答
(1) a…ヒドロキシ, b…カルボキシ, c…エステル, d…飽和脂肪酸, e…不飽和脂肪酸, f…塩, g…高級脂肪酸, h…疎水基, i… 親水基
(2) 上記,問題1参照



■油脂をけん化して得られるセッケンには洗浄力があるが,硬水中では洗浄力が低下する。長い炭化水素基をもつアルキル硫酸やアルキルベンゼンスルホン酸の塩は合成洗剤と呼ばれ,セッケンと同様に洗浄力があるが,硬水中でも洗浄力が低下しにくい。セッケンと合成洗剤の硬水中における反応の相違点をもとに,硬水中で合成洗剤の洗浄力が低下しにくい理由を説明しなさい。
(2012 南山大学 情報理工 )

□解答
上記,問題1,2参照



■脂肪酸は,脂肪族炭化水素基に ア 基が1個結合した構造をとっている。ヤシ油などの油脂からは炭素原子の数の多い高級脂肪酸が得られ,脂肪酸の イ 数が多いものほど融点は高くなり, イ 数が同じ場合に ウ 結合の数が多いものほど融点は低くなる。油脂を水酸化ナトリウム水溶液中で加熱すると,けん化が起こって エ と脂肪酸のナトリウム塩が生じる。一定質量の油脂をけん化する場合,油脂の分子量が小さいほど必要な水酸化ナトリウムの量は オ なる。反応後,(a)塩化ナトリウム飽和水溶液に加えると,塩析によりセッケンが分離する。
セッケンを水に溶かすと,その一部が加水分解されて,水溶液は弱い カ 性を示す。また,(b)カルシウムイオンなどを多く含む硬水中では,洗浄力が低下する。
問1  ア ~ カ に入る適切な語句を記入しなさい。
問2 下線部(b)について,硬水中でセッケンの洗浄力が低下する理由を80字以内で説明しなさい。
(2012 金沢大学 人間社会学域 理工学域 医薬保健学域 一部改)

□解答
問1 ア…カルボキシ, イ…炭素, ウ…二重, エ…グリセリン, オ…多く, カ…塩基
問2 上記,問題1参照



石けんの洗浄作用は硬水中で低下するのに対し,アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの洗浄作用は硬水中でも低下しにくい。

問 下線部の理由を説明せよ。
(2012 徳島大学 薬 一部改)

□解答
上記,問題2参照



■セッケンに洗浄作用がある理由を,その化学構造をもとに50字程度で説明しなさい。
(2012 山梨大学 教育人間科 工 生命環境)

□解答
上記,問題5参照



■脂肪をセッケン水に入れて振ると乳濁液になる。乳濁液になる理由を2行以内で説明しなさい。
(2011 聖マリアンナ医科大学 2/1,1次 医 )

□解答
上記,問題4参照



■Ca2+などの金属イオンを多く含む硬水の中では,セッケンは泡立ちが悪くなり洗浄力が低下するが,合成洗剤の場合には洗浄力の低下は起こらない。この理由を説明せよ。
( 2010 北見工業大学 工 )

□解答
上記,問題1,2参照



■硬水を使用するとセッケンの洗浄力が低下する理由を説明せよ。
( 2009 同志社大学 理工 )

□解答
上記,問題1参照



■問1 セッケンを水に溶かすと酸性,塩基性のどちらを示すか答えなさい。また,その理由も記しなさい。
問2 セッケンの洗浄力は,Ca2+やMg2+などを含む硬水中では低下する。その理由を記しなさい。
(2012 京都産業大学 理 一部改)

□解答
問1 塩基性 上記,問題3参照
問2 上記,問題1参照



■硬水を使用するとセッケンの洗浄力が低下する理由を説明せよ。
(2009 同志社大学 理工 )

□解答
上記,問題1参照



■問1 油脂およびセッケンに関する記述として誤りを含むものを,次の①~⑤のうちから一つ選べ。 
① 構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を多く含む常温で液体の油脂は,触媒を用いて水素を付加させると,融点が高くなって常温で固体になる。
② 油脂に十分な量の水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると,グリセリンと脂肪酸ナトリウムが生成する。
③ セッケンを水に溶かすと,その水溶液は弱酸性を示す。
④ セッケン水に食用油を加えてよく振り混ぜると,乳化する。
⑤ セッケン水に塩化カルシウム水溶液を加えると,沈殿が生じる。
(2010 大学入試センター 本試験 化学Ⅰ)

□解答
問1 ③



■油脂をけん化して得られる 27 は 28 性部分の炭化水素基と 29 性のイオン部分からなる 30 のナトリウム塩である。水中でその一部が 31 して弱 32 性を示す。 27 は硬水や海水中ではCa2+や 33 と結合し水に不溶性の塩を作るので使用できない。この点を改良したのが合成洗剤である。合成洗剤には 34 のナトリウム塩や,高級 35 の硫酸エステルのナトリウム塩などがある。

[語群] 
① アルコール, ② セッケン, ③ 加水分解, ④ 乳化, ⑤ 塩基, ⑥ アルキルベンゼンスルホン酸, ⑦ 親水, ⑧ 脂肪酸, ⑨ Mg2+, ⑩疎水 
(2010 関東学院大学 人間環境)

□解答
27…②, 28…⑩, 29…⑦, 30…⑧, 31…③, 32…⑤, 33…⑨, 34…⑥, 35…①


 
■セッケンと中性洗剤に関する次の記述①~⑩のうち,正しいものを5つ選べ。
① 一つの分子中に,親水性部分と疎水性(親油性)部分の構造をあわせもち,水の表面張力を下げる性質を示す化合物は,一般に界面活性剤とよばれる。
② 油脂を完全に加水分解すると,高級脂肪酸と1,2-エタンジオール(エチレングリコール)が得られる。
③ 高級脂肪酸のナトリウム塩は,水に溶けて弱酸性を示し,セッケンとして利用されている。
④ 高級アルコールと硫酸が物質量比1:1で脱水縮合した化合物は,硫酸水素エステルとよばれ,このナトリウム塩の水溶液は中性を示すので中性洗剤とよばれる。
⑤ セッケンが硬水中で洗浄力を失うのは,カルシウムイオンCa2+やマグネシウムイオンMg2+と水に難溶性の塩を形成しやすいためである。
⑥ 中性洗剤は,硬水中で難溶性の塩を作りやすい。
⑦ セッケンの分子は,水中で疎水性(親油性)部分を内側に向けて集合することがあり,その分子集合体はミセルとよばれる。
⑧ セッケン分子が溶けている水溶液に,少量の油脂を加えて振り混ぜると,油脂はミセルの中に取り込まれて水中に分散する。この現象は乳化とよばれる。
⑨ 中性洗剤の水溶液に希塩酸を加えると白濁する。
⑩ セッケンの水溶液に希塩酸を加えても白濁しない。
(2009 北里大学 理 海洋生命科 一部改)

□解答
①④⑤⑦⑧

※解説
石けんは脂肪酸ナトリウムで弱酸の塩で,中性洗剤(例えば,アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩)は強酸の塩です。
石けんのような弱酸の塩に,塩酸のような強酸を加えると,「弱酸の遊離反応」により強酸の塩と弱酸になります。つまり,脂肪酸が遊離し白濁するのです。
一方,中性洗剤のような強酸の塩に強酸を加えても反応は起こらないため白濁はしません。



■セッケンは,親水性の官能基として[ い ]を有する。一方,合成洗剤では親水基として[ う ]のような官能基が使われている。

□解答
い…カルボキシ基
う…スルホ基
(2009 慶應義塾大学 看護医療)



■高級脂肪酸のナトリウム塩であるセッケンに関する記述として,誤っているものの組合せを下の①~⑥のうちから一つ選べ。 
a セッケンは,水の中に入り込みやすい性質(親水性)のイオンの部分と,水と分離しやすい性質(疎水性)の炭化水素基とからできている。
b セッケンを水に溶かすと,弱酸性を示す。
c 油脂をセッケン水に加えると,油脂はセッケンの親水性部分に囲まれ,細かい粒子となって水の中に分散する。
d セッケンはMg2+やCa2+と反応して水に不溶な塩をつくるため,硬水や海水を用いるとセッケンの洗浄力は低下する。
① a・b ② a・c ③ a・d ④ b・c ⑤ b・d ⑥ c・d
(2012 成蹊大学 理工 )

□解答




■古代ローマ時代から使われているセッケンは,現在でも私達の毎日の生活を快適に営むために必要な物質の一つである。セッケンの洗浄作用は,その分子内にある親油性の長鎖アルキル基と親水性の (ア) が共存しているためである。しかし,セッケンの欠点の一つは (イ) などのイオン成分の多い硬水中では,生成する塩が水に不溶であるために役立たなくなることである。また,セッケンはその分子構造から分かるように, (ウ) 性を示すため羊毛や絹などのタンパク質繊維を変性してしまう。

A欄 
01 -OH  02 -COOH  03 -COONa  04 -NH2  05 -(OCH2CH2)n-OH 06 K  07 Ca2+  08 Li 09 Cl  10 F  11 弱アルカリ  12 強アルカリ  13 弱 酸  14 強 酸  15 中 
(2012 東京理科大学 理工 )

□解答
(ア) 03 (イ) 07 (ウ)  


Ⅰ 
■油脂は,グリセリン(組成式:C3H8O3)1分子と脂肪酸3分子が( ア )してできたエステルである。油脂の性質は結合している脂肪酸の種類によって異なる。
 牛脂のように室温で固体の油脂を( イ ),オリブ油のように室温で液体の油脂を( ウ )という。( イ )を構成している脂肪酸は飽和脂肪酸が多く,( ウ )には不飽和脂肪酸が多く含まれている。(A)油脂を水酸化ナトリウムの水溶液中でけん化すると,セッケンがえられる。セッケンは分子内に疎水性の部分と( エ )の部分をもっており,水に溶けると( エ )の部分を外側にした粒子状の集合体をつくる。これを( オ )とよんでいる。セッケン分子は,その疎水性の部分が繊維などの汚れ(油分)を取り囲み,油を油滴にして分散させることができる。このような作用を( カ )作用といい,セッケンが洗浄作用を示すのは,主にこの( カ )作用のためである。ところが,ある種の陽イオンを多く含む硬水を使用すると,セッケンの洗浄力は著しく低下する。この点を改善するために,硬水中でも使用可能な合成洗剤が開発された。

(1) 文中の空欄( ア )~( ク )に最も適する語句を記入せよ。
(2) 硬水を使用するとセッケンの洗浄力が低下する理由を説明せよ。
(2009 同志社大学 理工 一部改)

□解答
(1) ア 縮合  イ 脂肪  ウ 脂肪油  エ 親水性  オ ミセル  カ 乳化  キ テレフタル酸  ク エチレングリコール
(2)上記問題1参照



■油脂およびセッケンに関する次の記述で,正しいものの組合せは Ⅵ5 である。
(a) 油脂や石油をセッケン水に入れて振ったときに,微細な小滴となり分散する現象を乳化という。
(b) セッケン水溶液中で形成されるミセルは,正の電気をもつ。
(c) 不飽和度が大きい油脂は,常温で固体である。
(d) セッケンは,Ca2+やMg2+を多く含む硬水中では難溶性の塩をつくるので使用できない。
(e) 油脂を加水分解すると,脂肪酸とエチレングリコールが生成する。

 Ⅵ5  
① (a),(b) ② (a),(c) ③ (a),(d) ④ (a),(e) ⑤ (b),(c) ⑥ (b),(d) ⑦ (b),(e) ⑧ (c),(d) ⑨(c),(e) ⑩ (d),(e)
(2010 日本大学 理工 )

□解答




■洗濯用洗剤にはセッケンなどの界面活性剤と加水分解酵素が含まれるものがある。セッケンには,その分子中に水になじみやすい親水性部分と油になじみやすい 29 性部分の両方がある。そのためセッケン水に油を少量加えて激しくかき混ぜると,油がセッケンに取り囲まれて水の中に分散する。このような現象を 30 という。
 油脂に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると,けん化が起こり 31 とセッケンの混合物が得られる。けん化は合成繊維の 32 の合成にも利用できる。

30のの解答群
A 吸水  B 疎水  C 水和  D 消化  E 乳化  F 凝析  G 塩析

31と3 の解答群 
A ビニロン B カゼイン C グリセリン D グリコーゲン E ナイロン F ポリエステル G アクリル H ポリオレフィン
(2013 明治大学 法 政治経済 文 理工 農 情報コミュニケーション 国際日本 総合数理)

□解答
(30) E
(31) C



■油脂は高級脂肪酸R-COOHとグリセリンC3H5(OH)3のエステルである。油脂に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱し,けん化するとセッケンができる。セッケンは弱酸と強塩基が中和して生成した塩とみなすことができ,水溶液は( ア )を示す。
セッケン分子は,疎水性の炭化水素基(R)と親水性のカルボン酸イオンからなり,水中では( イ )を内側に,( ウ )を外側に向けて( エ )を形成し,これが水中に分散している。繊維に付着した汚れ(油脂)を水で洗い落とすことは難しい。しかし,セッケンを加えると,多数のセッケン分子の炭化水素基が汚れに付着して,セッケン分子が表面を取り囲むため,汚れ(油脂)が水中に分散する。セッケンのこのような働きを( オ )と呼ぶ。
問1 ( ア )~( オ )に挿入すべき適当な語句を以下から選び記号で答えよ。
A) 炭化水素基 B) 塩基性 C) 酸 性 D) 中 性 E) ミセル F) カルボン酸イオン G) 乳化作用 H) 水 和 I) 分散 コロイド J) ポリマー K) 同化作用
(2010 名城大学 理工 )

□解答
ア……B, イ……A, ウ……F, エ……E, オ……G



■油脂に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると,油脂はけん化されて a と高級脂肪酸のナトリウム塩であるセッケンとなる。セッケンは, A と B の塩であるため,その水溶液は C 性を示す。セッケン水溶液の表面では,セッケン分子は疎水基の部分を空気中に,親水基の部分を水中に向けて配列する。さらに,水溶液中では疎水基を内側に親水基を外側に向けて球状に集合し, b と呼ばれる粒子を形成する。このようなセッケン分子は c と呼ばれ,水の表面張力を著しく小さくする働きをもつ。アルキル硫酸やアルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩は,セッケンと似た作用があり,合成洗剤と呼ばれる。これらの合成洗剤は,いずれも D と B の塩であるため,その水溶液は中性を示す。

(1) 文中の a ~ b に適切な語句を記せ。
(2) 文中の A ~ D に適切な語句を以下のア)~エ)の中から選び,その記号を記せ。
ア) 弱 酸 イ) 弱塩基 ウ) 強 酸 エ) 強塩基
(2010 名城大学 2/2,A方式 農)

□解答
(1) a……グリセリン, b……ミセル
(2) A……エ), B……ア), C……イ)



■同一分子内に疎水基と親水基をもつ有機化合物は,それぞれの特性を生かすことにより,有用な物質として利用されている。
 油脂に水酸化ナトリウム水容液を加えて加熱すると,油脂は あ されて脂肪酸ナトリウムとグリセリンになり,脂肪酸ナトリウムはセッケンとして古くから使われてきた。1-ドデカノール(1)に濃硫酸を作用させ い すると硫酸水素ドデシル X が生成する。これを水酸化ナトリウムにより う すると合成洗剤となる。セッケンと合成洗剤は,親水基と疎水基の特性により水中では細かく分散した球形の ア を形成し,その疎水部分は水に混じらない油脂を取り込み,細かい粒子になって水中に分散する。この イ 作用が洗浄効果をもたらしている。
〔1〕 文章中の あ ~ お について,最も適当な語句を下の選択肢の中から選び,その番号をマークせよ。
① 酸化 ② 還元 ③ 置換 ④ けん化 ⑤ 中和 ⑥ 縮合重合 ⑦ 付加重合⑧ 開環重合 ニトロ化 ⑩ エステル化 ⑪ 水素結合 ⑫ イオン結合
〔2〕 文章中の ア ~ ウ について,最も適当な語句を   内にそれぞれ記入せよ。
(2009 立命館大学 薬 情報理工 生命科 文理総合インスティテュート(理工) 理工 )


□解答
〔1〕 あ ④,  い ⑩,  う ⑤,  え ⑦,  お ⑪
〔2〕 ア ミセル, イ 乳化, ウ スルホ



■脂肪酸は,脂肪族炭化水素基に ア 基が1個結合した構造をとっている。ヤシ油などの油脂からは炭素原子の数の多い高級脂肪酸が得られ,脂肪酸の イ 数が多いものほど融点は高くなり, イ 数が同じ場合に ウ 結合の数が多いものほど融点は低くなる。油脂を水酸化ナトリウム水溶液中で加熱すると,けん化が起こって エ と脂肪酸のナトリウム塩が生じる。一定質量の油脂をけん化する場合,油脂の分子量が小さいほど必要な水酸化ナトリウムの量は オ なる。反応後,(a)塩化ナトリウム飽和水溶液に加えると,塩析によりセッケンが分離する。 セッケンを水に溶かすと,その一部が加水分解されて,水溶液は弱い カ 性を示す。また,(b)カルシウムイオンなどを多く含む硬水中では,洗浄力が低下する。

問1 ア ~ カ に入る適切な語句を記入しなさい。
問2 下線部(b)について,硬水中でセッケンの洗浄力が低下する理由を80字以内で説明しなさい。
( 2012 金沢大学 人間社会学域 理工学域 医薬保健学域 )


□解答
問1 ア…カルボキシル, イ…炭素, ウ…二重, エ…グリセリン, オ…多く, カ…塩基



■セッケンは高級脂肪酸のナトリウム塩である。(a)油脂に水酸化ナトリウム水溶液を加え加熱してけん化した液に,多量の塩化ナトリウムを加えると,セッケンが分離する。セッケン製造に用いられる水酸化ナトリウムは,現在では,陽イオン交換膜を用いた塩化ナトリウム水溶液の電気分解でおもに製造されているが,かつては(b)アンモニアソーダ法で製造される炭酸ナトリウムを原料として製造されていた。セッケンは ア 性の炭化水素基と イ 性の原子団からできており,水に溶かしてある濃度以上になると, ア 性部分を内側に, イ 性部分を外側にして集合し, ウ と呼ばれるコロイド粒子を形成する。食器などに付着した油汚れは水だけでは洗浄できないが,セッケンを加えると エ が起こり,油汚れは水中に分散されるため,洗浄することができる。(c)セッケンは水溶液中では一部が加水分解するため オ 性を示す。(d)セッケンの水溶液に少量の塩化カルシウムを加えると泡立ちにくくなり,白い不溶物が生じて洗浄力が落ちる。セッケンと同じように洗浄力を示すものに,アルキル硫酸ナトリウムやアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた合成洗剤がある。これらの合成洗剤はセッケンとは異なり,(e)水溶液中で カ 性を示し,塩化カルシウムを加えても洗浄力は失われない。これは合成洗剤が キ のナトリウム塩であるからである。

問1.文中の ア ~ エ に適切な語句を入れよ。
問2.下線部(c)に関して, オ に適切な語句を下の(A)~(E)から選び,記号で答えよ。
(A) 強 酸 (B) 弱 酸 (C) 中 (D) 強塩基 (E) 弱塩基
問3.下線部(e)に関して, カ , キ に適切な語句を下の(A)~(E)から選び,記号で答えよ。
(A) 強 酸 (B) 弱 酸 (C) 中 (D) 強塩基 (E) 弱塩基
(2013 岐阜大学 教育 医 工 応用生物科)

□解答
問1. ア…親油(疎水), イ…親水, ウ…ミセル, エ…乳化
問2. (E)
問3. カ…(C), キ…(A)


■油脂は,高級脂肪酸とグリセリンとのエステルであり,動植物の体内に広く存在する。構成する脂肪酸中に( a )の割合が多いものは,融点が低く室温で液体であることが多い。一般に,室温で液体の油脂を( b )とよぶ。( b )に,ニッケルを触媒として( c )を付加すると,融点が高くなり固体となる。高級脂肪酸のナトリウム塩を一般にセッケンとよび,水溶液中では一部が加水分解して( d )を示す。セッケンを水に溶かすと,疎水性部分を内側に,親水性部分を外側にして会合して粒子をつくる。この粒子を( e )という。油は水と混ざらないが,セッケン水を加えると,油はセッケンの疎水性部分に囲まれて,微粒子となって分散する。この現象を( f )という。この作用によって油汚れなどを落とすことができる。一方,アルキル硫酸ナトリウムやアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどは( g )と呼ばれている。( g )はセッケンと同様に,疎水性部分と親水性部分をもつが,強酸と強塩基の塩であるため,その水溶液は( h )である。

問 文章中の( a )~( h )にあてはまる最も適切な語句を,下記の語群の中から選び記号で答えよ。
(あ) 強酸性 (い) 弱酸性 (う) 中性 (え) 弱塩基性(お) 強塩基性 (か) 水素 (き) 酸素 (く) ゲル(け) ミセル (こ) エステル (さ) チンダル現象 (し) 乳化(す) 硬化油 (せ) 脂肪油 (そ) 合成洗剤 (た) 乾性油(ち) 飽和脂肪酸 (つ) 不飽和脂肪酸 (て) アゾ化合物
(2010 九州工業大学 工 情報工)

□解答 
問 a…(つ), b…(せ), c…(か), d…(え), e…(け), f…(し), g…(そ), h…(う) 



■食用油やバターは油脂とよばれる成分からできており,①油脂はグリセリンと脂肪酸が反応して生成する。油脂は,グリセリンの[ a ]基と脂肪酸の[ b ]基から水分子がとれた[ c ]である。脂肪酸には炭化水素基が単結合のみで構成される[ d ]と二重結合が1つ以上含まれる[ e ]がある。
 この油脂からセッケンをつくることができる。②セッケンは汚れを落とす目的で広く用いられる生活用品であり,一般的にはパルミチン酸ナトリウムやステアリン酸ナトリウムなど,炭化水素鎖の比較的長い脂肪酸の[ f ]が用いられる。炭化水素鎖の長い脂肪酸は[ g ]とよばれる。
セッケンは炭化水素基が[ h ],イオン部位が[ i ]となっていて,③水と油の両方になじむ性質をもつ。セッケンを水に溶かすと,④ある濃度以上で多数の分子が集合して水和しやすい構造体をつくる。このような構造体をはじめとする直径1~100nm程度の粒子を総称してコロイド粒子とよぶ。コロイド粒子が関係する現象としては⑤チンダル現象が有名である。
 実際にセッケンをつくってみよう。⑥油脂と水酸化ナトリウムを加熱しながら混合すると,脂肪酸の[ f ]が生成するが,そのままでは固体としては得られない。⑦多量の電解質を加えれば,白色の沈殿としてセッケンをつくることができる。

(2) [ a ]~[ i ]に適切な語句を記入せよ。
(3) 下線部②について,セッケンが汚れを落とすしくみを簡潔に述べよ。
(4) 下線部③の性質をもつ物質の総称を答えよ。
(5) 硬水(Ca2+やMg2+が多く含まれる水)中でセッケンの泡立ちが悪くなる理由を述べよ。
(2013 信州大学 2/25,前期日程 理 一部改)

□解答
(2) a…ヒドロキシ, b…カルボキシ, c…エステル, d…飽和脂肪酸, e…不飽和脂肪酸, f…塩, g…高級脂肪酸, h…疎水基, i…親水基
(4) 界面活性剤
(5) 上記,問題1参照


■パルミチン酸のみからなるトリグリセリドを水酸化カリウムの水溶液でけん化したときに得られるセッケンの水溶液に少量の油を入れてよく振ると,水と油が混じりあった乳濁液が得られる。その理由を50字以上70字以内で説明しなさい。
(2010 東京農工大学 工 一部改)

□解答
上記問題4参照



■セッケンや合成洗剤は,分子内に水になじみにくく油になじみやすい ア 基と,水になじみやすく油になじみにくい イ 基をあわせもつ。セッケンや合成洗剤のように ア 基と イ 基をあわせもつ化合物を ウ とよぶ。 ウ は, イ 基の性質により,陰イオン性,陽イオン性,両性,非イオン性の4つの種類に分類される。セッケンは,動植物からとれる油脂を水酸化ナトリウムのような強アルカリ性物質で エ することでつくられる。この操作をけん化という。セッケンをはじめとする多くの ウ は,洗剤として衣類や食器などの油汚れを洗浄する目的に用いられる。濃いセッケン水では,セッケン粒子は ア 基部分を内側に, イ 基部分を表面に配列して球状の オ となる。衣類の油汚れは,セッケン粒子の ア 基部分によって取り囲まれ,水中に分散する。このような現象を カ という。
(文章Ⅱ) 
セッケンまたは合成洗剤が入った無色透明の水溶液をそれぞれ別の試験管に用意した。一方の試験管にフェノールフタレイン溶液を加えると,溶液は無色透明のままであった。他方の試験管にフェノールフタレイン溶液を加えると,溶液は赤色を呈した。

文章Ⅰ中の ア ~ カ に適切な語句を記入せよ。
(2010 長崎大学 医 教育 工 歯 水産 薬 環境科 )

□解答
ア…親油 [疎水], イ…親水, ウ…界面活性剤, エ…加水分解, オ…ミセル, カ…乳化



■脂肪酸のナトリウム塩はセッケンである。セッケンは水に溶けない油汚れをとることができる。その原理を下のキーワードのうち適切なものを使って50字以内で説明せよ。

キーワード:加水分解・縮合・触媒・硬水・親水基・けん化・乳濁液・不飽和
(2009 北海道大学 医 工 獣医 水産 農 薬 理)

□解答
セッケンは疎水基を内側に,親水基を外側に向けて油汚れを包囲して乳濁液を作るため,油汚れを水に溶かす。



■油脂Aに水酸化ナトリウムを加えて加熱すると,グリセリンの他に2種類のセッケンが生じた(a)。得られたセッケンは,ステアリン酸ナトリウム(C17H35COONa)とリノール酸ナトリウム(C17H31COONa)であり,その物質量の比は1:2であった。

(1) これらのセッケンを水に溶かすと酸性,塩基性のどちらを示すか答えなさい。また,その理由も記しなさい。
(2) セッケンの洗浄力は,Ca2+やMg2+などを含む硬水中では低下する。その理由を記しなさい。
(2009 山形大学 理 )

□解答
(1) 塩基性
(2) 上記問題1参照



■……略……カルボン酸は①アルコールと反応して水分子がとれて結合し,エステルを生成する。エステルは少量の酸を加えて加熱すると加水分解してアルコールとカルボン酸を生じる。少量の酸にかわり②強塩基との反応による加水分解は,セッケンの合成に利用される反応である。セッケンは炭素数の多いカルボン酸の性質をたくみに活かして,水に溶けにくい油汚れを落とすことができる。しかし,③セッケンは硬水中ではその働きが低下する。

問.下線部③の理由を20字以内で答えよ。
(2010 横浜国立大学 工 )

□解答
問 上記問題1
参照。



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