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14族元素に関する正誤問題

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今日は,14族元素に関する正誤問題です。

周期表の14族に属する元素には,炭素C,ケイ素Si,ゲルマニウムGe,スズSn,鉛Pbがあります。これらはすべて典型元素ですがC,Siは非金属元素,Ge,Sn,Pbは金属元素に分類されます。

CとSiは,4個の価電子を持ち,イオンにはならずに他の原子とは共有結合によって化合物を作ります。


★★★14族元素を学習する上でのポイント★★★

① 炭素の同素体(特にダイヤモンドと黒鉛)の構造と性質に関する問題は頻出なので2つを比較しておさえる。
② ダイヤモンドとケイ素,一酸化炭素と二酸化炭素,二酸化炭素と二酸化ケイ素 の共通点・相違点をそれぞれ比較しておさえる。
③ 「二酸化ケイ素」→「ケイ酸ナトリウム」→「水ガラス」 →「ケイ酸」→ 「シリカゲル」の反応の流れをおさえる。

ここで,結晶の見分け方について解説します。

結晶とは物質を構成する粒子(原子・分子・イオン)が規則正しく配列した固体のことで,結晶には金属結晶,イオン結晶,分子結晶,共有結合の結晶の4種類があります。

結晶の見分け方は,結晶を構成する原子の組み合わせによって次のように判断します。

14族1


「分子を形成するかしないか」つまり「分子結晶か共有結合結晶か」の判断は,ダイヤモンドC,ケイ素Si,二酸化ケイ素SiO2,炭化ケイ素SiCの4つ以外は「分子を形成する」つまり『分子結晶』!と覚えるといいでしょう。



☆それでは,正誤問題に挑戦してみてください。


■Q1
天然の炭素原子には,質量数が12,13,14の3種類が存在し,このような原子を互いに同素体という。○or×


■Q2
ダイヤモンドと黒鉛は,いずれも共有結合の結晶で融点が非常に高く,電気伝導性がある。○or×


■Q3
フラーレン,カーボンナノチューブ,無定形炭素は,いずれも炭素の同素体である。○or×


■Q4
ケイ素は岩石や鉱物の成分として地殻中に酸素,アルミニウムに次いで多量に存在する。○or×


■Q5
単体のケイ素は,二酸化ケイ素を電気炉で融解し,コークスを用いて還元することによって得られる。○or×


■Q6
ケイ素はダイヤモンドと同じ構造をもち,硬くて融点が高い。○or×


■Q7
一酸化炭素は,加熱したコークスに酸素を反応させると得られる。○or×


■Q8
二酸化炭素は,石灰石や大理石に希塩酸を加えたり,強熱することで得られる。○or×


■Q9
一酸化炭素と二酸化炭素は,いずれも水に溶け弱酸性を示す。○or×


■Q10
一酸化炭素と二酸化炭素は,いずれも無色,無臭であるが,一酸化炭素は有毒で,二酸化炭素は無毒である。○or×


■Q11
一酸化炭素と二酸化炭素は,いずれも還元性をもつ。○or×


■Q12
液体の二酸化炭素は,ドライアイスとよばれている。○or×


■Q13
一酸化炭素を空気中で点火すると,青色の炎をあげて燃焼し二酸化炭素になる。○or×


■Q14
石灰水に二酸化炭素を通じると白く濁る。○or×


■Q15
二酸化ケイ素は,ダイヤモンドと同じ正四面体の構造をもつ。 ○or×


■Q16
二酸化ケイ素は,塩酸などの強酸に溶けてヘキサフルオロケイ酸となる。○or×


■Q17
二酸化ケイ素は,酸性酸化物で水とも塩基とも反応して塩を生成する。○or×


■Q18
ケイ酸ナトリウムに水を加えて,加熱して溶かしたものを水ガラスという。○or×


■Q19
水ガラスに塩酸を加えると,白色ゲル状のケイ酸が得られる。○or×


■Q20
ケイ酸を加熱脱水して固体にしたものをシリカという。○or×


■Q21
石英ガラスは,ケイ砂を石灰石と炭酸ナトリウムとともに高温で融解し,冷却することで作られる。○or×


☆以下は解答と解説です。

□A1→ ○

☆解説
同素体ではなく同位体です。同位体とは,原子番号が同じで,中性子の数が異なる原子どうしをいいます。自然界に存在する炭素原子の約99%は,質量数12の同位体です。ごく微量に存在する質量数14の炭素原子は放射性同位体とよばれ,出土品などの年代測定に利用されています。
同素体とは,同じ元素の単体で,性質の異なる物質どうしをいいます。
同素体は,硫黄S,炭素C,酸素O,リンPの4つをおさえましょう。



□A2→ ×

☆解説
炭素Cの同素体であるダイヤモンドと黒鉛(グラファイト)は,共有結合の結晶で融点は非常に高いです。しかし,電気伝導性は黒鉛はありますが,ダイヤモンドにはありません。

☆ダイヤモンドと黒鉛の電気伝導性
ダイヤモンドは炭素原子が正四面体の中心と各頂点に位置した立体構造となっており,炭素原子の価電子4個すべてが原子間の共有結合に使われているので,電気伝導性はありません。

一方,黒鉛は炭素原子が3個の価電子を使い,正六角形の網目状に結合し平面構造をつくっています。この平面が幾つも重なり合った層状の結晶をつくっているのです。
このため,炭素原子に残った1個の価電子が,平面構造に沿って移動できるので,黒鉛には電気伝導性があります。

☆ダイヤモンドと黒鉛の用途
ダイヤモンドは,宝石として重宝される他に,天然の物質の中で最も硬いことから研磨剤などに用いられています。
黒鉛は,層間は結合力が弱い分子間力によって結合しているため,層状にはがれやすく,鉛筆の芯などに用いられています。



□A3→ ○

☆解説
炭素の単体には,ダイヤモンド,黒鉛,フラーレン,カーボンナノチューブ,無定形炭素などの同素体があります。

☆カーボンナノチューブ
黒鉛の層を円筒状に巻いた構造をもつ分子。1991年に日本で発見され,半導体などの電子材料として注目を集めている。

☆無定形炭素
黒鉛の微小な結晶が不規則に配列したもの。脱水剤として用いられる活性炭やカーボンブラック・木炭もその一種。

14族2


□A4→ ×

☆解説
ケイ素Siは,地殻中で酸素に次いで2番目に多く存在する元素です。
地殻中の元素の割合の順番は,酸素からナトリウムまでを覚えておくといいでしょう。

☆地殻中の元素の割合(質量%)
O(約50%)>Si(約25%)>Al(約8%)>Fe(約5%)>Ca(約4%)>Na(約3%)


□A5→ ○

☆解説
炭素の単体は天然に存在しますが,ケイ素の単体は,天然には存在せず,酸化物である二酸化ケイ素SiO2を電気炉で融解し,コークスCで還元することによって得られます。
SiO2 + 2C → Si + 2CO


□A6→ ○

☆解説
ケイ素はダイヤモンドと同様に正四面体構造をもつ共有結合の結晶で,灰黒色の金属光沢をもち,融点は高く,硬いがもろいという特徴があります。また,Si-Si結合は,C-C結合に比べて弱く,光や熱によって共有結合が切れて価電子が結晶中に飛び出すため,わずかに電導性を示します。このような物質を半導体といいます。


☆ケイ素の用途
高純度のケイ素の単体は半導体の材料として,IC(集積回路)や太陽電池などに用いられています。

ダイヤモンドとケイ素の共通点・相違点は次のようになります。
14族3



□A7→ ×

☆解説
一酸化炭素COは,工業的には約1000℃以上に加熱したコークスCに水蒸気を送ると得られます。

C + H2O ⇔ CO + H2

生成したCOとH2の混合ガスを水性ガスといい,メタノールCH3OHの原料となります。(メタノールは,工業的には,酸化亜鉛ZnOなどの触媒を用いて,水性ガスを高温・高圧下で反応させることにより得られます。)

また,一酸化炭素は,実験室ではギ酸HCOOHに濃硫酸を加えて加熱することで得られます。濃硫酸は脱水作用をもち,HCOOHからH2Oを奪いCOとしています。



□A8→ ○

☆解説
二酸化炭素は,実験室では,石灰石や大理石の主成分である炭酸カルシウムCaCO3に希塩酸を作用させて発生させます。この反応は弱酸の遊離反応です。
このとき,二酸化炭素は水に少し溶け空気より重いため,下方置換で捕集します。

CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + H2O + CO2

また,工業的には,石灰石を強熱し熱分解することで得られます。
この反応はアンモニアソーダ法の副反応でもありますね。


□A9→ ×

☆解説
一酸化炭素は,水には溶けにくい気体です。二酸化炭素は水に少し溶け,その一部が水と反応して水素イオンH+を生じるため,弱酸性を示します。


□A10→ ○

☆解説
一酸化炭素は,酸素と比べて血液中のヘモグロビンと200倍以上も強く結合し,血液中の酸素の供給を阻害するため,きわめて有毒な気体です。

二酸化炭素は,大気中に約0.04%(体積)含まれている気体で,年々増加傾向にあり,地球温暖化の原因の1つと考えられています。



□A11→ ×

☆解説
一酸化炭素は,高温では他の物質から酸素を奪って二酸化炭素になりやすく還元性をもちます。
そのため,鉄の精錬などに用いられています。

☆鉄の精錬
Fe2O3 + 3CO → 2Fe + 3CO2

一方,二酸化炭素は,還元性は持ちません。

☆還元作用がある気体
常温:二酸化硫黄SO2,硫化水素H2S,一酸化窒素NO
高温:一酸化炭素CO,水素H2


□A12→ ×

☆解説
液体ではなく,固体の二酸化炭素をドライアイスとよび,気圧1.013×10の5乗Paのもと,-78.5℃で昇華して気体になる性質を利用して,冷却剤として用いられています。

昇華性のある物質は,他にヨウ素I2(黒紫色),ナフタレンC10H8などがあります。

☆昇華性のある物質
ドライアイスCO2,ヨウ素I2,ナフタレンC10H8


□A13→ ○

☆解説
一酸化炭素は,青白いの炎をあげて燃焼し二酸化炭素になります。
一方,二酸化炭素を空気中で点火しても燃焼しません。


□A14→ ○

☆解説
石灰水とは,水酸化カルシウムCa(OH)2の飽和水溶液のことです。
Ca(OH)2水溶液に二酸化炭素を吹き込むと,炭酸塩である炭酸カルシウムCaCO3が白色沈殿するため白く濁ります。

Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O

CaCO3に,さらに二酸化炭素を吹き込み続けるとCaCO3の沈殿が溶解します。

CaCO3 + H2O + CO2 ⇔ Ca(HCO3)2

この水溶液を加熱すると,逆反応が起こり,再びCaCO3が白色沈殿します。

一酸化炭素と二酸化炭素の共通点・相違点は次のようになります。
くらべてまとめて覚えましょう。

14族4



□A15→ ○

☆解説
二酸化ケイ素SiO2は,ケイ素単体のSi-Si結合がSi-O-Si結合に置き換わった正四面体構造をしています。

また,二酸化ケイ素はシリカとも呼ばれ,天然には石英,水晶,けい砂などとして多量に存在します。
※透明な石英を水晶とよび,砂状の石英をけい砂と呼びます。


□A16→ ×

☆解説
二酸化ケイ素は,共有結合の結晶のため化学的に安定で,ほとんどの試薬に溶けません。しかし,フッ化水素HFおよびフッ化水素酸(フッ化水素の水溶液)にはヘキサフルオロケイ酸H2SiF6を生じて溶けます。

■ 二酸化ケイ素とフッ化水素酸との反応
SiO2 + 6HF → H2SiF6 + 2H2O

☆二酸化ケイ素の用途
二酸化ケイ素は,融点が高く塩酸などの強酸にも侵されないので,試験管やフラスコなどの実験器具やガラス,陶磁器,セメントなどに用いられます。

☆フッ化水素の用途
フッ化水素酸は,二酸化ケイ素を溶かすので,くもりガラスの製造やガラスの目盛り付けに用いられます。そのため,保存の際にはポリエチレンの容器を使用します。


□A17→ ×

☆解説
二酸化ケイ素は酸性酸化物で,水と反応してオキソ酸を生じたり,塩基と反応して塩を生じたりするはずですが,共有結合結晶のため水とは反応せず,塩基とは常温では反応しません。

しかし,高温状態では塩基と反応します。
例えば,二酸化ケイ素に水酸化ナトリウムNaOHや炭酸ナトリウムNa2CO3を加えて加熱融解すると,ケイ酸ナトリウムNa2SiO3が生成します。

SiO2 + 2NaOH → Na2SiO3 + H2O
SiO2 + Na2CO3 → Na2SiO3 + CO2



□A18→ ○

☆解説
ケイ酸ナトリウムNa2SiO3に水を加えて長時間加熱すると,水ガラスという粘性の高い液体が得られます。



□A19→ ×

☆解説
水ガラスの水溶液に塩酸を加えると.白色ゲル状のケイ酸(H2SiO3またはSiO2・nH2O)が遊離します。
この反応は,ケイ酸(弱酸)が遊離する弱酸の遊離反応です。



□A20→ ×

☆解説
シリカではなく,シリカゲルです。シリカは,二酸化ケイ素の別称でしたね。
シリカゲルは,ケイ酸が部分的に脱水縮合して得られます。
シリカゲルには,すきまが多く,親水基のヒドロキシ基-OHをもつので,水分などを吸収(H2OやNH3と水素結合を形成)しやすいため乾燥剤,吸着剤として用いられます。



□A21→ ×

☆解説
石英ガラスは,水晶や石英を高温で融解し冷却して作られます。
ケイ砂を石灰石と炭酸ナトリウムとともに高温で融解し,冷却することで作られのはソーダ石灰ガラス(ソーダガラス)です。
ガラスの主成分は二酸化ケイ素で,ソーダ石灰ガラスは,普通のガラスのことで,ナトリウム(Sodium)と石灰石を含むのでソーダ石灰ガラスとよばれます。



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