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気体の溶解度に関する問題

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気体の溶解度は固体の溶解度と異なり、苦手とする人が多い分野です。

その要因として、固体の溶解度は、『一般にある温度で溶媒100gに溶かすことのできる最大限の溶質の質量(g)』と決まっているのに対して、気体の溶解度は、いくつかの表現があり、
求める溶解度が物質量・質量なのか、標準状態での体積なのか、その条件下の体積なのかによって、計算の仕方が変わってくる点が挙げられます。


また、計算問題には大きく2通りの出題タイプがあり、「溶解平衡の前後で物質量が変わらない」ことから方程式を立てて解くタイプをきちんと理解していない人が多いです。


それでは、少し解説したいと思います。


■気体の溶解度と温度の関係

一般に、気体の溶解度は高温になるほど減少します。

これは、液体の温度が上昇すると、溶解している気体分子の熱運動が活発になり、液体分子との分子間力に打ち勝つ気体分子の数が増えるためです。

気体分子の運動エネルギーは、液体に溶けると著しく低下し、その分だけ熱エネルギーに変換されます。
つまり、気体の溶解現象は、次の例のように発熱反応となります。

O2(気) + aq ⇔ O2(aq) + 15.9kJ

よって、ルシャトリエの原理により、高温になれば平衡は吸熱方向(左方向)に移動するので、気体の溶解度は高温ほど減少します。




■ヘンリーの法則

「一定温度で、一定体積の溶媒に溶解する気体の物質量(質量)は、その気体の圧力(分圧)に比例する。」

この法則は、ヘンリーの法則とよばれます。

ヘンリーの法則は、次のように言い換えることができます。


ヘンリーの法則①:
一定温度で、一定体積の溶媒に溶解する気体の物質量・質量は、その気体の分圧に比例する。

ヘンリーの法則②:
一定温度で、一定体積の溶媒に溶解する気体の体積は、同じ圧力のもとで測ったとき、気体の分圧に比例する。

ヘンリーの法則③:
一定温度で、一定体積の溶媒に溶解する気体の体積は、分圧に関係なく一定となる。





■気体の溶解度の計算問題

気体の溶解度の計算問題には、大きく「Ⅰ.溶解量を求めるタイプ」、「Ⅱ.物質量不変タイプ」の2通りのタイプがあります。


Ⅰ.溶解量を求めるタイプ
ヘンリーの法則を用いて、溶解量(物質量、質量、体積)を求めるタイプ。このタイプの解法は、『物質量・質量を求める場合』と『体積を求める場合』を分けて考えるとよい。


Ⅱ.物質量不変タイプ
溶解平衡の前後で気体の物質量が不変であることを用いて解くタイプ


このⅡのタイプをきちんと理解していない人が多いですね。

入試ではよく出題されているのに、参考書や問題集にも載っていないこともあり、
なにそれ?って思った人もいるのではないでしょうか?


下記のような問題です。

『酸素は1.0×105Paのときに,27℃の水1Lに1.0×10-3mol,57℃の水1Lに9.0×10-4mol溶けるものとする。
窒素は1.0×105Paのときに,57℃の水1Lに5.0×10-4mol溶けるものとする。
気体定数は8.3×103Pa・L/(K・mol)とする。ただし,気体はすべて理想気体とし,気体の溶解度と圧力の間にはヘンリーの法則が成り立つものとする。

気体の水への溶解に伴う水の体積変化,および温度変化に伴う水の体積変化,水の蒸気圧は無視できるものとする。また,容器の体積は変化しないものとする。

 容積が1.1Lの容器に水1Lと酸素を入れた。容器を密閉したまま27℃に保ち,十分に長い時間静かに放置すると,①容器内の圧力は1.0×105Paで一定となった。次に,容器内の温度を57℃まで昇温させ,十分に長い時間静かに放置すると,②容器内の圧力は再び一定となった。その後,温度を57℃に保ったまま容器内に4.2×10-3molの窒素を加えた。この時,容器内の酸素や水は容器の外に出ないものとする。
十分に長い時間静かに放置すると,③容器内の圧力は再び一定となった。
答えは有効数字2桁で求めよ。

(1) 下線①の状態において,容器内の水に溶けている酸素の物質量を求めよ。

(2) 下線①の状態において,容器内に気体として存在する酸素の物質量を求めよ。

(3) 下線②の状態において,容器内の圧力[Pa]を求めよ。

(4) 下線③の状態において,容器内の圧力[Pa]を求めよ。

青山学院大学(2012 理工学部)』



気体の溶解度に関する問題 完全攻略チャート&過去問題解説集
では、「気体の溶解度とはなにか」、「2通りの計算問題の解法」を、色や図を使い、これ以上ないくらいにかみ砕いてわかりやすく解説しています。


□収録出題校
島根大学(2013)、東京理科大学(2013)、兵庫県立大学(2012)、東京慈恵会医科大学(2012)、獨協医科大学(2012)、甲南大学(2012)、青山学院大学(2012)、星薬科大学(2012)、九州大学(2011)、同志社大学(2011)、岐阜大学(2011)

これ以上わかりやすく丁寧に解説したチャート&過去問題解説集は他にはどこにもありません。



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