化学界にとってとんでもないニュースが飛び込んできた!
なんと、原子一個の電気陰性度の測定に成功したという。
下記、EE Times Japan 5/9(火) の記事より一部引用。
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東京大学、原子一個の電気陰性度の測定に成功
■新たな機能性材料の開発を支える
東京大学大学院新領域創成科学研究科の小野田穣特任研究員と杉本宜昭准教授らの研究グループは2017年4月、原子間力顕微鏡(AFM)を用い、固体表面上にある原子個々の電気陰性度を測定することに成功したと発表した。新たに発見した測定手法を用いると、酸化チタンなど機能性材料の開発につながるとみられている。
2つの原子が化学結合を行う場合、「共有結合」や「イオン結合」およびこれらの中間である「極性共有結合」の形をとる。極性共有結合において、どの元素がどれだけの電子を引き寄せるかという強さを示す尺度が「電気陰性度」である。
この電気陰性度はこれまで、周期表の各元素に対して主にガスの反応熱のデータをもとに、多数の原子の集団平均的な量として、1つの値を定めていた。しかも、取り扱えるのはガス状の軽い分子など、熱化学的手法が適用できる試料に限られていたという。
これに対して研究グループは、電気陰性度の測定にAFMを用いた。AFMは、鋭い針を観察対象に近づけ、針先端の原子と表面の原子との間に働く化学結合力を測定する仕組みである。
針に取り付けた板バネのたわみを検出することで、個々の原子上における化学結合力や結合エネルギーを定量化することができる。原子レベルでの元素識別や、有機分子のベンゼン環の可視化などにも利用されている。
今回は、AFMを用いて電気陰性度を原子レベルで測定できることを発見した。
具体的にはまず、酸素原子を対象に測定した。酸素を吸着させたシリコン表面で測定を行ったところ、対象原子のうち酸素原子上で大きな結合エネルギーが働くことが分かった。針先端のシリコン原子と表面の酸素原子の間では、シリコン-酸素間の極性共有結合が形成される。同様の測定を表面のシリコン原子上で行うと、シリコン-シリコン間に形成される共有結合エネルギーを見積もることができるという。
研究グループによれば、これら2種類の結合エネルギーの関係は、ポーリングの式によって説明することができるという。ポーリングの式は原子間の電気陰性度差と結び付けられており、個々の原子の電気陰性度を見積もることが可能なことも明らかとなった。
今回の研究では、ゲルマニウム(Ge)やスズ(Sn)、アルミニウム(Al)といった酸素以外の元素についても電気陰性度を測定した。「単一原子の状態で各元素の電気陰性度を評価したのは世界でも初めて」と主張する。
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化学界にとっては凄いニュースであることは間違いないが、
なぜ、原子一個の電気陰性度が、酸化チタンなど機能性材料の開発につながるとみられているのかが、よくわからない。
★電気陰性度についての大学入試に出るポイントは
・電気陰性度とは,原子が共有結合しているとき,結合に関与している電子を引きつける強さの度合いのことである。
・希ガスをのぞく典型元素の同一周期では,原子番号が小さいほど,電気陰性度も小さい。
・希ガスをのぞく典型元素の同族では,原子番号が大きいほど,電気陰性度は小さい。
・全元素の中でフッ素(F)が最大である。
・大きさの順位:F(4.0)>O(3.5)>N(3.0)=Cl>C(2.5)>H(2.1)
・一般に非金属元素の方が,金属元素よりも電気陰性度は大きい。
・一般にイオン化エネルギーが大きく,かつ,電子親和力が大きい原子ほど電気陰性度は大きくなる。
・遷移元素では,顕著な周期性はない。
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