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入試問題文を聴いて覚える化学 有機化学 脂肪族化合物編②

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今日も、入試問題文を聴いて覚える化学 有機化学 脂肪族化合物編②です。


録音した音声はyoutubeにアップしています。



□テキストは下記参照ください。

入試問題文を聴いて覚える化学 有機・脂肪族化合物編②


■ 2011年度 同志社大学
 有機化学工業は現在,主に石油を原料としている。原油を分留して得られるナフサを原料として,エチレン(エテン)やプロピレン(プロペン),ベンゼンやパラp-キシレンなどをつくり,それらから,各種の化学物質が合成される。たとえば,エチレンに水が付加することでエタノールとなり,エタノールを酸化すると,まずアセトアルデヒドとなり,さらに酢酸となる。

 エタノールと酢酸の縮合反応からは酢酸エチルが,2分子のエタノールの縮合反応からはジエチルエーテルがつくられる。プロピレンとベンゼンからクメンをつくり,酸化したのち硫酸で分解するとフェノールとアセトンをつくることができる。

 しかしながら,石油が限りある資源であることから,石油の代替資源たんさく探索が進められている。
 
 石炭や天然ガスなどからつくられる合成ガスは,一酸化炭素と水素などの混合物である。合成ガスはメタノールやエチレングリコールをつくる反応に用いられている。
 
また,コバルトや鉄などの触媒を使って,合成ガスから炭化水素をつくる技術も開発されている。

 バイオマスは再生可能な資源として注目されており,バイオマスをエネルギー源や化学工業原料として利用する技術が開発されている。発酵法により,糖類からエタノールや乳酸を製造できる。乳酸が脱水縮合重合したポリ乳酸は生分解性を持つことから,ポリエチレンなどの石油からつくるプラスチックの代替品としての利用が期待されている。



■ 2011年度 鳥取大学
 アセチレンは,石油を高温で分解してつくられる。また,炭化カルシウム(カーバイド)に水を加えてつくることもできる。

  アセチレンは付加反応を起こしやすい。例えば,白金やニッケルを触媒としてアセチレンに水素を反応させると,エチレンを経てエタンになる。また,臭素水中の臭素もアセチレンに対して付加反応を起こす。

 この他にも,水銀(Ⅱ)イオンを触媒として,希硫酸中でアセチレンと水を反応させるとビニルアルコールが生成するが,これもまたアセチレンへの付加反応の例である。ただし,ビニルアルコールは不安定で,すぐにアセトアルデヒドに変わる。この方法はアセトアルデヒドの主要な工業的製法であったが,水銀公害の問題が生じたため,その後は使われていない。現在はエチレンを酸素で酸化してアセトアルデヒドが製造されている。



■ 2011年度 京都産業大学
 エタノールは第一級アルコールであり,グルコースを酵母などの微生物の働きによって酸素のない状態で分解すると生じる。この方法はアルコール飲料(酒)を作るのに広く用いられている。

 また工業的には,高温・高圧下でエチレンに水蒸気を作用させてつくられる。
エタノールを原料として,様々な化合物が得られる。エタノールを二クロム酸カリウムの硫酸酸性溶液で酸化するとアセトアルデヒドが生じ,さらに酸化すると酢酸が得られる。酢酸の2分子から水1分子が取れて結合すると無水酢酸が生じる。

 エタノールに濃硫酸を加えて130~140℃に熱すると,ジエチルエーテルが得られる。エタノールと酢酸の混合物に濃硫酸を少し加えて熱すると,酢酸エチルが生じる。エタノールに水酸化ナトリウム水溶液とヨウ素を加えて加熱すると,特有の臭気を持ったヨードホルムが黄色沈殿する。

 また、エタノールにナトリウムの単体を加えると水素を発生しながらナトリウムエトキシドを生成する。



■ 2011年度 埼玉大学
 微生物が増殖することによって食品が劣化することを一般に腐敗とよぶ。これに対し,食品中の油脂は微生物とは無関係に空気中の酸素や日光により変質し,特に不飽和脂肪酸を多く含む油脂は味や風味が容易に損なわれる。これは酸敗(さんぱい)とよばれ,これを防いで食品の保存性を高めるためにトコフェロール(ビタミンE)やアスコルビン酸(ビタミンC)が食品添加物として加えられる。

 油脂はグリセリンと脂肪酸(R-COOH)とのエステルであり,動物・植物の体内に広く存在する。ヒトは成長および生命活動の維持に必要な幾つかの脂肪酸を体内で合成できないため,それらを含んでいる食物を摂取する必要がある。

 このような脂肪酸は必須脂肪酸とよばれる。天然の油脂の多くは炭素数16および炭素数18の高級脂肪酸により構成され,食品や洗剤などの工業製品の原料として利用されている。油脂の性質はそれを構成している脂肪酸により大きく異なる。

 このため,不飽和脂肪酸で構成される比較的安価な油脂を原料とし,触媒を用いて水素(H2)を付加させ,好ましい物性をもった油脂を工業的に生産することもある。
 
 近年,廃食用油等を活用したバイオディーゼル燃料がカーボンニュートラルな環境低負荷燃料として注目されている。バイオディーゼル燃料は脂肪酸メチルエステルを主成分としている。この脂肪酸メチルエステルは,油脂にメタノール(CH3OH)を加え,触媒を作用させると生成する。



HP「恋する化学」にpdfファイルをアップしています。


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