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入試問題文を聴いて覚える化学 14族元素編

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今日も、入試問題文を聴いて覚える化学 14族元素編です。

録音した音声はyoutubeにアップしています。


□テキストは下記参照ください。

入試問題文を聴いて覚える化学 14族元素編


■ 2011年度 同志社大学  
 二酸化炭素は,常温・常圧で無色,無臭の気体である。気体の二酸化炭素を常圧で冷却すると,液体を経ずに直接固体となる。固体が直接気体になることも気体が直接固体になることも昇華という。固体の二酸化炭素はドライアイスとよばれる。ドライアイスは,気体になるときに熱を吸収する。

 二酸化炭素は,水に少し溶け,溶液は弱酸性を示す。二酸化炭素の分圧が等しい場合で比較すると,温度が高い方が二酸化炭素の水への溶解度は小さい。ルシャトリエの原理に基づいて考えると,これは,二酸化炭素が水に溶解するときの溶解熱の符号が正であることを示している。このように,ルシャトリエの原理は,化学反応だけではなく,溶解平衡にも適用できる。また,気液平衡や固液平衡などの物質の三態の変化にも適用できる。

 実験室では,二酸化炭素は炭酸カルシウムに塩酸を加えて発生させる。工業的には,炭酸カルシウムを熱分解してつくられる。二酸化炭素は,炭酸ナトリウムの工業的製造過程でも重要な物質である。塩化ナトリウムの飽和水溶液にアンモニアを十分に溶かし,二酸化炭素を通じると,炭酸水素ナトリウムの沈殿が生じる。

 そして, 炭酸水素ナトリウムを熱分解すると炭酸ナトリウムが生じる。このような炭酸ナトリウムの製造法はアンモニア・ソーダ法とよばれている。炭酸ナトリウムはガラスの製造などに用いられる。


■ 2011年度 岡山大学
 炭素にはいくつかの同素体が存在する。例えば,二次元結晶となる炭素の同素体としてはグラフェンがある。グラフェンは正六角形の格子が原子1個分の厚さで平面状に繋がった2次元結晶であり,炭素分子が蜂の巣状に並んでいる。

 グラフェンは炭素が持つ価電子のうち3個を使って共有結合しており,残る価電子は結晶表面を移動できるため,電気伝導性を持つ。2010年にガイムとノボセロフはグラフェンの研究によってノーベル物理学賞を受賞した。

 グラフェンが層状に重なったものがグラファイト(黒鉛)である。層と層の間は弱いファンデルワールス力で結合している。そのため,グラファイトは層状にはがれやすいという性質を持つ。
 
 グラフェンに関連した同素体として,グラフェンが筒状になったような構造を持つカーボンナノチューブや,炭素原子60個からなるサッカーボール状の構造を持つC60フラーレンなどがある。1996年にはC60フラーレンの発見によりノーベル化学賞がクロトー,カール,スモーリーに与えられている。C60フラーレンは結晶構造を取る場合がある。このとき,C60フラーレン分子を一つの粒子と考えると,立方体の各頂点および各面の中心にC60フラーレン分子が位置する。
 
 炭素の同素体にはさらに,三次元結晶となるダイヤモンドがある。ダイヤモンドは,各炭素原子が4個の価電子により隣接する炭素原子とそれぞれ共有結合を作って正四面体のかたちをとり,これが繰り返された立体構造を持つ。この原子の配置は幾何的に理想な角度であるため,ひずみがなく,安定である。ダイヤモンドは天然で最も硬い物質であり,電気伝導性を持たない。


■ 2011年度 名古屋大学
 炭素の同素体の一つである黒鉛は,光沢のある灰黒色の結晶で,柔らかく,電気や熱をよく伝える。黒鉛の結晶では,炭素原子は共有結合によって他の3個の炭素原子と強く結合して網目状の平面構造を形成している。

 この平面構造は互いにファンデルワールス [分子間]力により弱く結びついて層をなしており,層の間に原子や分子を取り込むことができる。
炭素の新たな同素体として1985年にフラーレンC60が発見された。


■ 2011年度  宮崎大学
 ケイ素は,岩石や鉱物の成分元素として,地殻中に酸素に次いで多量に存在する。ケイ素は,周期表14族の非金属元素で,価電子を4個もつ。単体のケイ素は,シリコンとも呼ばれ,天然には存在せず,酸化物を電気炉で還元してつくる。結晶は,共有結合の結晶で,灰色で金属光沢があり,半導体の性質を示す。そのため,高純度の単体は,コンピューターのIC(集積回路)や光エネルギーを直接電気エネルギーに変える太陽光発電などのエレクトロニクス分野で重要な材料として広く用いられる。

 ケイ素の酸化物である二酸化ケイ素SiO2は,主に石英として岩石中に存在し,砂状のケイ砂としても産出する。ケイ砂はガラスやセメントなどの製造のための原料となっている。
 二酸化ケイ素は一般に薬品には侵されにくいが,フッ化水素酸HFにはヘキサフルオロケイ酸H2SiF6を生じてとける。

 二酸化ケイ素に水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの塩基を加えて約1300℃で融解すると,Na2SiO3などの種々の組成のケイ酸ナトリウムになる。

 ケイ酸ナトリウムに水を加えて煮沸すると,水ガラスという無色で粘性の大きな液体となる。水ガラスに酸を加えると半透明ゼリー状のケイ酸SiO2・nH2Oが生じ,ケイ酸を熱して脱水すると乾燥剤や吸着剤として使われるシリカゲルになる。


■ 2011年度 長崎大学
 地殻に含まれている鉱石は,セラミックスや金属などの製造に利用される。セラミックスは,原料を加熱処理によって焼き固めてつくられる製品の総称であり,ガラスやセメント,やきものなどが代表例である。

 植木鉢やタイルなどのやきものは,原料としておもに粘土が用いられ,成形されたのちに焼き固めることで製品がつくられる。約1400℃で焼き固められるものを磁器といい,たたくと澄んだ音がし,吸水性もなく,やきものの中でも比較的硬い。

 セラミックスのおもな原料は,天然のケイ酸塩であり,窓ガラスに使用されるソーダガラスは,けい砂(しゃ)と石灰石,炭酸ナトリウムの混合物を融解してつくられる。また,近年の科学技術の進歩にともない,ケイ酸塩以外にも金属酸化物や炭化物,窒化物などの高純度原料を使用し,人工骨などの生体関連材料や熱やガスなどを感知するセンサーがつくられている。このような窯業(ようぎょう)製品をファインセラミックスという。
 
HP「恋する化学」にpdfファイルをアップしています。


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