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吸湿性と脱水性の違い

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ある生徒から
吸湿性
脱水性の違いについて質問されました。

これは似ているようで、全然違うのできちんと違いを理解してください。

吸湿性
とは、
水分子の状態で存在していれば、その水分子をとる作用、つまり反応する性質で

脱水性とは、
水分子の状態で存在していなくても、HとOを水分子の形で強引に抜き取り、反応する性質です。

脱水作用
を示す代表的な物質には濃硫酸がありますね。
これは超頻出なので絶対に頭に入れてください。

濃硫酸の
脱水作用
の反応には

例えば、

アルコールに濃硫酸を加え、130~140℃に加熱すると、分子間脱水が起こり、エーテルが生成する反応、

アルコールに濃硫酸を加え、160~170℃で加熱すると、分子内脱水が起こり、二重結合が生じる反応、

アルコールとカルボン酸に濃硫酸を加えて、加熱するとエステルを生成するエステル化などがあります。

また、水分子をもたないグルコースC6H12O6、セルロースC6H10O5
などの糖類に濃硫酸を加えて、加熱するとHとOを水分子の形で抜き取られ、炭素(黒鉛)だけなってしまい黒くなります。
紙(セルロース)に濃硫酸を垂らすと真っ黒くなるのはそのためです。
 
注意して欲しいのは、

脱水作用
があるものには、吸湿作用もあります。
濃硫酸は気体の乾燥剤としても用いられます。
 
ただし、塩化カルシウムCaCl2のように単なる吸湿性のものは
脱水性
はありません。

ちなみに気体の乾燥剤に使われるもの代表的なものは濃硫酸の他に

・固体の水酸化ナトリウムNaOH(潮解性があるので、正解な質量を測定できないこともよく試験にでます!)
・酸化カルシウムCaO
※ちなみに固体のNaOHと酸化カルシウムをソーダ石灰といいます。
・塩化カルシウムCaCl2
・十酸化四リンP4O10
です。これも気体の乾燥剤問題でよく出題されるので絶対に覚えてください。


詳しくはまた別の機会に解説します。


アルミニウムの融解塩電解,銅・鉄の製錬 完全攻略チャート&過去問解説集

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『化学工業 アルミニウムの融解塩電解,銅・鉄の製錬 完全攻略チャート&過去問解説集』
を販売開始しました!


アルミニウムの融解塩電解,銅・鉄の製錬の化学工業は,センター試験だけでなく2次試験でもよく出題されます。
しかし,この分野について詳しく解説している参考書は少なく,扱っている問題も1,2問と少ないので,難関大学の2次試験では完答することは難しいでしょう。

例えば

2012年の大阪医科大学の問題です。

■磁鉄鉱の主成分の化学式として正しいものはどれか。次のa~eのうちから一つ選びなさい。  
a Fe2O3  b Fe3O4  c Fe4O5  d Fe5O6  e FeO






答えは, b Fe3O4 です。

鉄の主要鉱石の
赤鉄鉱はFe2O3,磁鉄鉱はFe3O4,褐鉄鉱はFe2O3・nH2O となります。

類似問題として,2012年の星薬科大学では

■鉄から生じる黒さびの主成分はどれか。該当するものを1つ選べ。
1.Fe2O3    2.FeSO4    3.Fe3O4    4.FeO    5.FeO(OH)






□答えは 3.Fe3O4 です。

鉄の酸化物のうち,四酸化三鉄Fe3O4は黒さびの主成分,
酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3 は,赤さびの主成分
です。


同様に,2012年の大阪医科大学の問題

■溶鉱炉の上部から排出する高炉ガスの主な成分の組み合わせとして正しいものはどれか。
次のa~eのうちから一つ選びなさい。 
a 酸素,二酸化炭素,水素 b 酸素,二酸化炭素,窒素    c 水素,一酸化炭素,窒素
d 酸素,一酸化炭素,窒素 e 一酸化炭素,二酸化炭素,窒素





□答えは e 一酸化炭素,二酸化炭素,窒素 です。


高炉ガスには,一酸化炭素,二酸化炭素だけでなく,窒素も含まれていることを知っている人はほとんどいないのではないでしょうか?



2011年の首都大学東京の問題です。

■われわれが日常的に使用する鉄のほとんどは,縞状鉄鉱層から採掘した鉄鉱石を原料として製造されている。鉄鉱石から鋼(こう,炭素含有量が少ない鉄)を製造する方法を80字以内で答えなさい。



□解答例
鉄鉱石にコークスと石灰石を加え,これらを溶鉱炉に入れ,羽口から熱風を送り込むと銑鉄が得られる。さらに,銑鉄を転炉に移し,高圧の酸素を吹き込むと鋼が得られる。 

本問は,製錬の工程をきちんと整理して理解していないと完答することは難しいでしょう。
溶鉱炉と転炉での2段階の工程をそれぞれ分けて説明し,銑鉄,鋼(こう)のキーワードを必ず入れることがポイントです!


2012年の横浜市立大学の問題です。

■銅の鉱石(黄銅鉱-主成分CuFeS2)をコークスと石灰石やケイ砂(主成分SiO2)などと共に高温の炉で加熱すると,(a)銅の硫化物が得られる。
(a)の反応で黄銅鉱に含まれていた鉄がどのように分離されるのか述べよ。





□解答例
鉄は,Fe2(SiO3)3などとなって上層に浮くため,これを取り除く。

これも答えられる人は,少ないのではないでしょうか??


また,アルミニウムの融解塩電解の問題では

2011年の防衛医科大学では

氷晶石の化学式を書かせたり

2012年の早稲田大学では

融解するときの温度も問われています。

アルミニウムの単体は, ボーキサイトから得られる酸化アルミニウムAl2O3氷晶石Na3[AlF6]を約1000 ℃で融解し,これを炭素電極を用いて電気分解することで製造されます。

ちなみに
製錬とは,鉱石から金属を取り出す操作。
精錬とは,電気分解を利用して,不純物を含んだ金属から純粋な金属を製造する操作。
融解塩電解
とは,融解塩の電気分解のことで,イオン結合性の化合物を加熱し,融解液(液体)の状態にして電気分解することです。

融解塩電解を行う理由等もよく出題されます。


このように,2次試験では,参考書などではあまり触れられいない用語や製錬・精錬の工程やある操作の理由等の記述問題も多く出題されているので,なんとなく覚えていたのでは到底太刀打ちできません。

今回販売する
「化学工業 アルミニウムの融解塩電解,銅・鉄の製錬 完全攻略チャート&過去問解説集」では,
融解塩電解,製錬・精錬の過程を詳しくわかりやすくまとめ
さらに、
豊富な過去問題
(収録出題校
横浜市立大学(2012年),関西学院大学(2012年),大阪医科大学(2012年),東海大学(2012年),近畿大学(2012年),中央大学(2012年),星薬科大学(2012年),早稲田大学(2012年),名古屋大学(2012年),岐阜大学(2011年),秋田大学(2011年),上智大学(2011年),独協大学2011年),関西大学(2011年),首都大学東京(2011年),信州大学(2011年),法政大学(2011),防衛医科大学(2011年),立教大学(2011年),和歌山大学(2011年))
を扱い解説しています。


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金属イオンの反応と沈殿

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今日は入試では超頻出分野である金属イオンの反応と沈殿について解説します。

※イオンの電荷が下付きになっていますがご了承ください。

塩化物イオンCl-(塩酸等を加える)を加えて沈殿するのは、
鉛イオンPb2+と銀イオンAg+の2つだけで、
塩化鉛PbCl2、塩化銀AgClの沈殿の色は2つとも白色となります。
※水銀イオンも沈殿するが入試ではまずでません。

他の金属イオンは、塩化物イオンを加えても、くっつきにくいので水溶液の中ではバラバラに分かれて溶けた状態にあります。

ともに白色である塩化鉛と塩化銀を区別する方法は3つあり
①光で分解するものが塩化銀。
②熱湯を加えると、再び溶け出すものが塩化鉛。
③過剰のアンモニア水を加えると錯イオンとなって再び溶け出すものが塩化銀になります。


硫酸イオンSO42-(硫酸とか硫酸ナトリウム水溶液等を加える)を加えて沈殿するものは、鉛イオンPb2+、バリウムイオンBa2+、カルシウムイオンCa2+の3つのイオンだけです。
硫酸鉛PbSO4、硫酸バリウムBaSO4、硫酸カルシウムCaSO4の沈殿の色は塩化物と同じ白色です。
他の金属イオンは沈殿はしません。


炭酸イオンCO32-を加えて沈殿するものは、硫酸イオンと同じになります。
入試では、バリウムイオンBa2+、カルシウムイオンCa2+の2つしか出ません。
沈殿の色は塩化物塩、硫酸塩と同様白色です。
他の炭酸塩は不安定なので入試ではでないのです。

炭酸塩は「塩酸を加えると二酸化炭素が発生する(弱酸の遊離反応)」ということもよく入試にでるので覚えましょう。

クロム酸イオンCrO42-を加えて沈殿するのは、これもまた硫酸イオンで沈殿するものと似ていて
鉛イオンPb2+、バリウムイオンBa2+、銀イオンAg+の3つになります。

硫酸イオンと異なるのは、カルシウムイオンではなくて、銀イオンが沈殿するということです!

クロム酸イオンCrO42-は、硫酸イオンのSをCrに置き換えただけなので硫酸イオンと似ているのです。クロム酸イオンの化学式が書けなくなる人がいますがこのように、硫酸イオンのSをCrで置き換えたものと覚えておくといいでしょう!
ただ、ここで注意してほしいのは、沈殿の色です。
PbCrO4黄色、BaCrO4黄色、Ag2CrO4赤褐色になります。


水酸化物イオンOH-を加えて沈殿するのは、イオン化傾向がマグネシウム以下のものになります。
沈殿の色は、水酸化鉄(Ⅱ)Fe(OH)2緑白色、水酸化鉄(Ⅲ)Fe(OH)3赤褐色、水酸化銅Cu(OH)2青白色、水酸化銀Ag2Oが褐色で、それ以外は白色と覚えましょう。

次に、
水酸化物イオンを加えて、一旦沈殿したものが、再溶解するものがあります。(以下①、②の2つの場合があります)
これは最も入試で問われる箇所なので、絶対に覚えましょう!

過剰のアンモニア水NH3aqを加えて再溶解するのは
水酸化亜鉛Zn(OH)2、水酸化銅Cu(OH)2、水酸化銀Ag2Oの3つだけで錯イオンとなって再び溶解します。

そのうち銅の錯イオンだけが濃青色(深青色)をもっています。
他の錯イオンは色はありません。

過剰の水酸化ナトリウムNaOHaqで再溶解するものは
水酸化亜鉛Zn(OH)2、水酸化アルミニウムAl(OH)3、水酸化スズSn(OH)2、水酸化鉛Pb(OH)2の4つで、両性元素の4つが再溶解すると覚えましょう!
この4つは、いずれもOH-の数が4つになった錯イオンをつくり無色の溶液となって溶けていきます。

硫化物イオンS2-(硫化水素の気体を吹き込む)で沈殿するものは、溶液をどう調整して吹き込むかによります。

あらかじめ、溶液を中性または塩基性に調整しておいてから、硫化水素を吹き込んだ場合は、イオン化傾向が亜鉛からニッケルまでが黒色沈殿します。
しかし、入試ででるのは、硫化亜鉛ZnS(これも非常によくでます!)と硫化鉄FeSで,
沈殿の色は硫化亜鉛ZnSが白色、硫化鉄FeSが黒色になります。

そして、イオン化傾向がスズ以下のものは、
酸性、中性、塩基性のどの液性で硫化水素を通しても常に硫化物の黒色沈殿をします。

硫化物イオンの沈殿物は、ほぼすべて黒色沈殿(一部褐色もありますが、入試ではまずでません)で、硫化亜鉛のみ白色沈殿と覚えましょう。

以上、覚えることがいっぱいあり、大変だとは思いますが、覚える際には問題を解きながら1つ1つ確認していくと頭に入りやすいです。


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「溶液の濃度に関する問題 完全攻略チャート&過去問解説集」を販売開始しました。

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お待たせしました。
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「溶液の濃度に関する問題 完全攻略チャート&過去問解説集」を販売開始しました。

一般に,溶液中に含まれる溶質の割合を濃度といい,その表し方には,質量パーセント濃度,モル濃度,質量モル濃度などがあります。

濃度に関する出題タイプには,次のように主にⅠ~Ⅶの7つのタイプがあります。

Ⅰ.質量パーセント濃度に関する問題タイプ
Ⅱ.モル濃度に関する問題タイプ
Ⅲ.質量モル濃度に関する問題タイプ
Ⅳ.濃度の変換タイプ
Ⅴ.水和物の濃度タイプ
Ⅵ.希釈したときの濃度タイプ
Ⅶ.混合溶液の濃度タイプ

質量パーセント濃度

溶液中に溶けている溶質の質量を百分率で表した濃度。溶液100gあたりの溶質の質量[g]。

モル濃度
『溶液1L中に溶けている溶質の物質量[mol]で表した濃度。また,溶質の物質量[mol]を溶液の体積[L]で割ったもの』
で浸透圧をはじめ,溶液どうしの反応(酸・塩基,酸化還元反応)で頻繁に使われます!

例えば,水1Lに塩化ナトリウムNaCl (式量=58.5)58.5gを溶かしても1[mol/L]とはなりません。
なぜなら,全体積が1Lになるとは限らないので。

質量モル濃度
『溶媒1kg中に溶けている溶質の物質量[mol]を表した濃度。また溶質の物質量[mol]を溶媒の質量[kg]で割ったもの』
で沸点上昇・凝固点降下などで使われます。
溶液ではなく溶媒の質量となることに注意してください!


「Ⅳ.濃度の変換タイプ」は

質量パーセント濃度
(%) ⇔ モル濃度(mol/L)
モル濃度(mol/L) ⇔ 質量モル濃度(mol/kg) 
質量モル濃度質量パーセント濃度(%)

へと変換する問題で、超頻出です!

それぞれの解法をきちんと整理して解けるようにしてください。(チャートで詳しく解説しています。)

「Ⅴ.水和物の濃度タイプ」は
水和物を水に溶かしたときの濃度に関する問題で、

水和物とは,硫酸銅(Ⅱ)五水和物CuSO4・5H2O,炭酸ナトリウム十水和物Na2CO3・10H2O,などのように水分子を含む物質のことで,含まれる水を水和水,水和水をもたない物質を無水物といいます。

☆解法のポイントは、

無水物と水和水の質量をそれぞれ分けて求めることがポイントで
無水物,水和水の質量は,無水物と水和水の分子量から比例配分して求めます。

「Ⅵ.希釈したときの濃度タイプ」は、
ある溶液を水で薄めたときの濃度に関する問題で、

☆解法のポイントは、

ある濃度の水溶液に水を加えると溶媒が増加するので,濃度が小さくなりますが,溶質の物質量(or質量)は薄める前後で全く変わらないことより,

「希釈前の溶液中の溶質の物質量(or質量)」=「希釈後の溶液中の溶質の物質量(or質量)」

を用いて解きます。

「Ⅶ.混合溶液の濃度タイプ」は、
2種類の異なる濃度の溶液を混合したときの濃度に関する問題で

☆解法のポイントは、

2種類の異なる濃度の溶液を混合しても,溶質の物質量(or質量)は,混合の前後で変わらないことより,

「混合前の溶質の物質量(or質量)の和」=「混合後の溶質の物質量(or質量)」

を用いて解きます。



■溶液の濃度 完全攻略チャート③ サンプル

高校数学講師&教材職人による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-溶液の濃度1



■溶液の濃度 過去問題解説集① サンプル

高校数学講師&教材職人による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-溶液の濃度2


□収録校
学習院大学(2011年)、熊本大学(2011年)、関西大学(2012年)、和歌山大学(2011年)、福島大学(2011年)、東京理科大学(2011年)、岐阜大学(2011年)、日本女子大学(2011年)

センター試験 本試験:2009本、2007本  追試験: 2009追、2005追、2003追


これらを、「完全攻略チャート&過去問解説集」で、詳しくわかりやすく解説しています。
「恋する化学」
よりご購入いただけます。


固体の溶解に関する問題完全攻略チャート&過去問解説集を販売開始しました。

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溶液の濃度に関する問題 完全攻略チャート&過去問解説集を販売開始しました。

固体の溶解度の問題には,大きく

「Ⅰ.溶解度曲線から読み解くタイプ」,
「Ⅱ.無水物(水和水を含まない)タイプ」,
「Ⅲ.水和物タイプ」
の3通りのタイプがあります。

ⅡとⅢにはさらに,
冷却や蒸発・濃縮などの操作を行わない「ⅰ.単純タイプ」
操作を行う「ⅱ.複雑タイプ」
2通りのタイプがあります。

どのタイプも基本的な解法の考え方,手順は同じになります!


固体の溶解度は、
一般に,固体の溶解度は,ある温度で溶媒(ふつうは水)100gに溶かすことのできる最大限の溶質の質量[g]で表されます。ただし,水和水(結晶水)を含む化合物が水に溶ける場合には,水和水を含まない溶質の質量[g]で表されます。

※溶解度は,物質の種類と温度だけで決まり,固体の溶解度は,温度が高くなるほど溶解度は大きくなります。(例外もある)
気体の溶解度は,温度が高くなると小さくなります!

例えば,ある温度で水100gに溶質を40gまで溶かすことができるなら,その温度での溶解度は40と表します。
溶質が限界まで溶けた溶液を飽和溶液といい、例えば,ある温度で飽和溶液となっている場合,溶媒100gあたり,溶質は溶解度g溶けていることになります。

これらを完全攻略チャート&過去問解説集で、詳しくわかりやすく解説しています。

■固体の溶解チャート①サンプル

高校数学講師&教材職人による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-固体の溶解1

■固体の溶解チャート 過去問題解説集 ①サンプル

高校数学講師&教材職人による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-固体の溶解2


□収録校
関西大学(2012年)、大阪市立大学(2010年)、学習院大学(2011年)、弘前大学(2012年)、東京理科大学(2012年)、日本大学(2011年 )
センター試験 本試験:2004年、2002年、2000年、1998年、1997年、1995年  追試験:1996年


「恋する化学」よりご購入いただけます。

アルカンに関する正誤問題

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今日からテーマ別に分けた正誤問題を出題します。

今日は,アルカンに関する正誤問題です。

■炭素原子間の結合がすべて単結合で,鎖状に結合した炭化水素化合物をアルカン(一般式はCnH2n+2),炭素原子間の結合がすべて単結合で,環状に結合した部分を含む炭化水素化合物をシクロアルカン(一般式はCnH2n)といいます。

アルカンは,すべて単結合でできているため,反応性に乏しいのが特徴で,反応は,燃焼とハロゲンによる置換反応をおさえておけばいいでしょう。
アルカンの代表であるメタンの性質についておさえることがポイントです!



★次の正誤を判定せよ。

■問題① アルカンは,水によく溶ける。

■問題② ブタンは常温・常圧で気体である。

■問題③ アルカンの沸点は,炭素原子数が増大するにつれて低くなる。

■問題④ メタンは正方形の構造をし,H-C-Hの結合角は90°である。

■問題⑤ エタンは,C-C結合を軸として,両側のメチル基が回転できる。

■問題⑥ シクロヘキサンの環を構成している炭素原子はすべて同一平面上にある。

■問題⑦ 炭素数4のアルカンには,3種類の構造異性体がある。

■問題⑧ シクロアルカンの一般式は,アルケンの一般式と同じである。

■問題⑨ 酢酸ナトリウムと塩酸の混合物を加熱するとメタンが生成する。

■問題⑩ アルカンは,可燃性で燃料になる。

■問題⑪ シクロアルカンは,アルカンとは異なり反応性に富む。

■問題⑫ メタンと塩素の混合物に光を照射すると,四塩化炭素が生成する。






★解答

□問題①
解答 …… 誤り。

アルカンは,極性が極めて小さい分子のため,極性溶媒である水にはほとんど溶けず,無極性溶媒であるベンゼンやジエチルエーテなどの有機溶媒にはよく溶けます。


□問題②
解答 …… 正しい。

ブタンの分子式は,C4H10でアルカンの,一般式CnH2n+2 の n=4までが常温・常圧で気体,
n=5~16で液体,n =17以上で固体となります。


□問題③
□解答 …… 誤り。

炭素数が増加すると分子量も大きくなり,分子どうしの結合に働く分子間力が大きくなるので,沸点や融点は高くなります。


□問題④
□解答 …… 誤り。

炭素の4本の単結合は炭素原子を中心として正四面体の頂点の方向に向いています。
よって,メタンCH4は,正四面体の構造をし,H-C-Hの結合角は約110°くらいです。


□問題⑤
□解答 …… 正しい。
アルケンのC=C二重結合,アルキンのC≡C三重結合は回転できませんが,アルカンのC-C結合は自由に回転できます。


□問題⑥
□解答 …… 誤り。

シクロへキサンC6H126の環状構造は,ベンゼンC6H6とは異なり同一平面上には存在せず,いす形,舟形などの立体構造をとっています。


□問題⑦
□解答 …… 誤り。

分子式が同じで,性質の異なる化合物を異性体といい,原子のつながり方が異なる異性体を構造異性体といいます。アルカンは,炭素数4以降から構造異性体が存在し,炭素数4のアルカンには,
ブタン,2-メチルプロパンの2種類の構造異性体があります。


□問題⑧
□解答 …… 正しい。

一般式は,CnH2n で同じです。


□問題⑨
□解答 …… 誤り。

塩酸HClではなくて,水酸化ナトリウムNaOHまたはソーダ石灰(CaO+NaOH)で
メタンCH4が生成します。これは,CH4の実験的製法となり反応式は次のようになります。

CH3COONa + NaOH → CH4 + Na2CO3

アルカンは天然から得られる場合が多いので,製法はメタンくらいしか問われません。


□問題⑩
□解答 …… 正しい。

アルカンは反応に乏しく,メタンやプロパンC3H8のように主に燃料として用いられます。
メタンは,天然ガスの主成分で,都市ガスなどに利用されています。



□問題⑪
□解答 …… 誤り。

シクロアルカンは,アルカンと同様に,単結合のみでできた構造をもち,反応性は乏しくなります。


□問題⑫
□解答 …… 正しい。

アルカンは,塩素Cl2や臭素Br2などのハロゲンに光や紫外線を当てると置換反応をしハロゲン化水素が生成します。
例えば,メタンと塩素の混合物に光を当てると,次のように連鎖反応をします。

メタン→クロロメタン(塩化メチル)
→ジクロロメタン(塩化メチレン)
→トリクロロメタン (クロロホルム)
→テトラクロロメタン (四塩化炭素)メタン




アルケンに関する正誤問題

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現在,化学の参考書の執筆のため更新が滞っていました。
参考書は,校正段階に入っています。

それでは,今日はアルケンに関する正誤問題です。

分子内に1つの二重結合をもつ鎖式炭化水素をアルケンといい,一般式はCnH2nで表されます。アルケンは二重結合をもつため,アルカンとは異なり反応性に富むため,付加反応・酸化反応などを起こします。
アルケンの代表であるエチレンの性質・反応についておさえることがポイントです。



★次の正誤を判定せよ。

■問題① アルケンは,水にはよく溶けるが,有機溶媒には溶けにくい。

■問題② 構造異性体の関係にあるシス-2-ブテンとトランス-2-ブテンの沸点は同じである。

■問題③ エチレンの2個の炭素原子と4個の水素原子は,すべて同一平面上にある。

■問題④ 1-ブテンには,幾何異性体が存在する。

■問題⑤ アルケンは,アルカンに比べて一般に反応性に富む。

■問題⑥ メタノールと濃硫酸との混合物を160~170℃で加熱すると,脱水反応が起こり,エチレンが生成する。

■問題⑦ プロピレン(プロペン)に臭素を付加させると,1,1-ジブロモプロパンが生成する。

■問題⑧ エチレンに濃硫酸を触媒として水を付加させると,メタノールが生成する。

■問題⑨ エチレンをパラジウム触媒の存在下,酸素で酸化するとホルムアルデヒドが生成する。

■問題⑩ アルケンをオゾン分解させると,カルボン酸またはケトンが生成する。

■問題⑪ エチレンは,付加重合すると,ポリエチレンが生成する。






★解答

□問題①
□解答 …… 誤り。

アルケンは,アルカン同様に,極性が小さいため,水にはほとんど溶けませんが,
無極性溶媒であるベンゼンやジエチルエーテルなどの有機溶媒にはよく溶けます。


□問題②
□解答 …… 誤り。

シス-2-ブテンの方が少し沸点は高くなります。理由は,シス-2-ブテンは極性分子で,
分子間力に加えて極性引力)がはたらくため,その分だけ結合が強くなり,沸点が高くなります。


□問題③
□解答 …… 正しい。

アルケンでは,二重結合した炭素原子と,炭素原子に直接結合した4個の原子は,同一
平面上にあります。

最も簡単なアルケンであるエチレンは,無色でかすかな甘いにおいを持つ気体です。
また,植物ホルモンの1つで果実の成熟を促進させる働きをもちます。


□問題④
□解答 …… 誤り。

異性体のうち,二重結合に結合した置換基の配置が異なる立体異性体を幾何異性体
といいます。
1-ブテンではなく,2-ブテンに幾何異性体が存在します。炭素数が4以上のアルケン
には,構造異性体の他に,二重結合の位置の違いによる幾何異性体が存在します。


□問題⑤
□解答 …… 正しい。

アルケンは,二重結合をもつので,反応性に富み,主に付加反応をします。
二重結合部分C=Cの1本目の結合をσ結合,22本目の結合をπ結合といい,π結合は
弱い結合のため容易に切れて,そこにいろんな原子や原子団が付加します。


□問題⑥
□解答 …… 誤り。

メタノールではなく,エタノールと濃硫酸との混合物を160~170℃で加熱すると,
分子内脱水反応が起こり,エチレンが生成します。
上記の温度より低い,130~140℃で加熱した場合は,分子間脱水反応が起こり,
ジエチルエーテルが生成します。
温度によって生成物が変わるので,入試でもよく狙われます!

□問題⑦
□解答 …… 誤り。

1,1-ジブロモプロパンではなく,1,2-ジブロモプロパンが生成します。
アルケンに臭素水を加えると,臭素が付加し,臭素水の色(赤褐色)が消えます。
この反応は,C=C二重結合,C≡C三重結合の不飽和結合の検出に用いられます。
ベンゼンやフェノールに臭素が付加した場合も臭素水の色が消えることも
一緒におさえてください。

□問題⑧
□解答 …… 誤り。

メタノールではなくエタノールが生成します。
一般に,アルケンに,濃硫酸H2SO4かリン酸H3PO4を触媒として水を付加させると,
アルコールが生成します。

□問題⑨
□解答 …… 誤り。

ホルムアルデヒドではなく,アセトアルデヒドが生成します。この反応は
アルデヒドの工業的製法でヘキストワッカー法といいます。


□問題⑩
□解答 …… 誤り。

アルケンをオゾンO3によって分解させると,炭素原子間の二重結合が切れ,炭素-酸素の二重結合ができ,アルデヒドとケトンが生成します。
この反応は酸化反応の1つで,アルケンは,付加反応以外にも,酸化反応も受けやすく,
様々な酸化剤と反応します。
アルケンによる酸化には,主に「オゾンによる酸化」と「過マンガン酸カリウム」
による酸化の2つがあります。

オゾン分解と比較しておさえてほしいのですが,
過マンガン酸カリウムKMnO4による酸化の場合は,オゾンによる酸化と同様に,炭素原子間の二重結合が切れ,炭素-酸素の二重結合ができますが,生成した2つの
化合物は,さらに,酸化されケトンかカルボン酸になります。


□問題⑪
□解答 …… 正しい。

アルケンであるエチレンやプロピレンに適当な条件下で反応すると,二重結合が
切れて,次々に分子がつながり分子量の大きな高分子化合物が生成します。
このように,付加反応が連続して起こり,高分子化合物を生じる反応を付加重合
といいます。

ポリエチレンは,成形加工しやすく,耐薬性を持つため,ポリ袋,ポリバケツ,飲料用
ボトルなどに,利用されています。

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アルコールに関する正誤問題

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今日はアルコールに関する正誤問題です。

炭化水素基にヒドロキシ基(-OH)が結合したものをアルコールといい,分子中にヒドロキシ基が1個含むものを1価アルコール,2個含むものを2価アルコール,3個含むものを3価アルコールといいます。

さらに,ヒドロキシ基が結合している炭素原子に,0個または1個の炭素原子が結合しているものを第一級アルコール,2個の炭素原子が結合しているものを第二級アルコール,3個の炭素原子が結合しているものを第三級アルコールといいます。

入試で登場するアルコールは多く,様々な反応をするので,性質・反応をしっかり整理しておさえましょう!



★次の正誤を判定せよ。

■問題① プロパノールは,水によく溶ける。


■問題② エタノールの水溶液は,弱酸性である。


■問題③ エタノールは,分子量が同程度のプロパンよりも沸点が低い。


■問題④ エタノールとジメチルエーテルは,互いに構造異性体である。


■問題⑤ 一酸化炭素と水素の混合気体を,酸化亜鉛ZnOの触媒を用いて,高温・高圧下で反応させるとエタノールが生成する。 


■問題⑥ エチレンに濃硫酸の触媒下で水を付加させると,メタノールが生成する。


■問題⑦ エタノールにナトリウムを反応させると,酸素が発生する。


■問題⑧ エタノールと濃硫酸との混合物を130~140℃で加熱すると,脱水反応が起こり,ジメチルエーテルが生成する。


■問題⑨ エタノールと濃硫酸との混合物を160~170℃で加熱すると,エチレンが生成する。


■問題⑩ エタノールに硫酸酸性の二クロム酸カリウム水溶液を加え,加熱するとホルムアルデヒドが生成する。


■問題⑪ 2-ブタノールを,硫酸酸性の二クロム酸カリウム水溶液で酸化すると,アセトアルデヒドが生成する。


■問題⑫ 2-メチル-2-プロパノールを酸化すると,アセトンが生成する。


■問題⑬ ベンジルアルコールを酸化すると,ベンズアルデヒドが生成する。


■問題⑭ エタノールに少量の硫酸の存在下で,酢酸と反応させると,酢酸メチルが生成する。


■問題⑮ 油脂は,2価アルコールであるエチレングリコールと種々の高級脂肪酸とのグリセリンエステルである。



■問題⑯ エタノールにヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液を加えて温めると,黄色沈殿が生じる。






★解答

□問題①
□解答 …… 正しい。

アルコールは,炭素数が3個のアルコールであるプロパノールC3H7OHまで,
水によく溶け,炭素原子の数が大きくなるにつれて溶けにくくなります。
理由は,炭素原子が増える=炭化水素基(疎水基)が大きくなるため,分子全体に対する親水基の割合が減るので水に溶けにくくなります。


□問題②
□解答 …… 誤り。
アルコールは,ヒドロキシ基-OHを持ちますが,水に溶かしてもH+が電離せず,
アルコールの水溶液は中性となります。よって,酸・塩基とは中和反応しません。
しかし,フェノール類の-OHは電離し,H+を放出するため弱酸性となります。


□問題③
□解答 …… 誤り。


エタノール(沸点は約78℃)は,ヒドロキシ基-OHをもち,ヒドロキシ基は極性が大きいため,分子間で水素結合を形成するため,沸点が高くなります。


□問題④
□解答 …… 正しい。

エタノールC2H5OHとジメチルエーテルCH3OCH3は,分子式はC2H6Oと同じで互いに構造異性体にあります。


□問題⑤
□解答 …… 正しい。

エタノールC2H5OHではなく,メタノールCH3OHが生成します。
この反応は,メタノールの工業的製法で,一酸化炭素と水素の混合気体を水性ガス
といいます。
メタノールは,無色な有毒な液体で,蒸気を吸うと眩暈を起こしたり,目に入ると失明する恐れがあるので,扱いには注意が必要です。


□問題⑥
□解答 …… 誤り。

メタノールではなく,エタノールが生成します。
エタノールは,アルコール飲料,殺菌・消毒薬など様々な薬品の原料として用いられます。


□問題⑦
□解答 …… 誤り。

酸素O2ではなくて,水素H2が発生します。

アルコールは,-OHを持つので金属Naと反応し,ナトリウムアルコキシドが生成し,水素が発生します。
同様に,-OHを持つフェノールも金属Naと反応し,ナトリウムフェノキシドが生成し,水素を発生します。
この反応は,有機化合物中の-OH基の検出に用いられます。


□問題⑧
□解答 …… 誤り。

ジメチルエーテルではなくて,ジエチルエーテルが生成します。この反応は分子間脱水反応です。



□問題⑨
□解答 …… 正しい。

分子内脱水反応が起こり,エチレンが生成します。

この反応はエチレンの実験的製法です。
アルコールの脱水反応には,2分子間で水1分子がとれる分子間脱水反応と1分子内で水1分子がとれる分子内脱水反応の2種類がありましたね。
温度によって,生成物が異なるので,注意してください!


□問題⑩
□解答 …… 誤り。

ホルムアルデヒドではなく,アセトアルデヒドが生成します。

エタノールのように第一級アルコールを酸化させると,H2個が取れてアルデヒドが生成し,アルデヒドをさらに酸化させると,カルボン酸が生成します。



□問題⑪
□解答 …… 誤り。

アセトアルデヒドではなくて,エチルメチルケトンが生成します。

2-ブタノールのように第二級アルコールを酸化させると,Hが2個取れて,ケトンが生成します。



□問題⑫
□解答 …… 誤り。

2-メチル-2-プロパノールは,第三級アルコールで,第三級アルコールは酸化されにくく,アセトンは生成しません。
ケトンであるアセトンは,2-プロパノールを酸化すると,生成します。


□問題⑬
□解答 …… 正しい。

ベンジルアルコールは,第一級のアルコールなので,酸化すると,側鎖の-CH2OHが
アルデヒド基-CHOとなり,ベンズアルデヒドが生成します。さらに,酸化させると,
アルデヒド基-CHOがカルボキシ基-COOHになりカルボン酸である安息香酸が生成します。



□問題⑭
□解答 …… 誤り。

酢酸メチルではなく,酢酸エチルが生成します。
カルボン酸とアルコールを反応させると,分子間で水分子がとれてエステルが生成します。この反応をエステル化といいます。



□問題⑮
□解答 …… 誤り。

油脂は,エチレングリコールではなく,3価アルコールであるグリセリンと種々の高級脂肪酸とのグリセリンエステルです。


□問題⑯
□解答 …… 正しい。

エタノールにヨウ素I2と水酸化ナトリウムNaOH水溶液を加えて温めると,ヨードホルムCHI3が黄色沈殿します。この反応はヨードホルム反応といいます。

アルキンに関する正誤問題

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今日はアルキンに関する正誤問題です。

分子内に1つの三重結合をもつ鎖式炭化水素をアルキンといい,一般式はCnnH2n-2で表されます。アルキンもアルケン同様に反応性に富むため,付加反応や付加重合反応を起こします。
アルキンに関する問題は,ほとんどがアセチレンで占められるので,アセチレンの性質・反応について,しっかりおさえましょう。


★次の正誤を判定せよ。

■問題① アセチレン分子は,直線形である。


■問題② アルキンの三重結合の結合距離は,アルケンの二重結合の結合距離より長い。


■問題③ アセチレンに火をつけると,明るい炎を出して燃える。


■問題④ アセチレンを空気中で点火すると,大量のススを出す。


■問題⑤ アルキンには,幾何異性体がある。


■問題⑥ 酢酸カルシウムに水を作用させると,アセチレンが生成する。


■問題⑦ アセチレンを赤熱した鉄管に通すと,ベンゼンが生成する。


■問題⑧ アセチレンに触媒を用いて水を付加させると,ビニルアルコールを経て酢酸になる。


■問題⑨ アセチレンに水素を付加させると,エタンからエチレンが生成する。


■問題⑩ アセチレンに酢酸を付加させると,酢酸エチルが生成する


■問題⑪ アセチレンに塩化水素を付加させると,エチレンが生成する。


■問題⑫ アセチレンをアンモニア性硝酸銀水溶液に通すと,銀アセチリドが白色沈殿する。






★解答

□問題①
□解答 …… 正しい。

三重結合している炭素原子に直接結合している2個の水素原子は一直線上に存在しているので,直線形となっています。

Point!
アセチレンや二酸化炭素は,直線構造。水は折れ線構造。

□問題②
□解答 …… 誤り。

三重結合の結合距離は,二重結合より短いです。
炭素間の結合の強さは,
三重結合>二重結合>ベンゼン環>単結合となり,
炭素間の結合距離は,
単結合>ベンゼン環>二重結合>三重結合となります。

C-C(1.54nm)>ベンゼン環(1.4nm)>C=C(1.34nm)>C≡C(1.20nm)


□問題③
□解答 …… 正しい。

アセチレンは酸素との混合気体の燃焼で.かなりの高温(約3000℃)となるため,金属の切断や溶接に利用されます。


□問題④
□解答 …… 正しい。

アセチレンは炭素の含有量が大きいので,空気中で点火すると,不完全燃焼を起こし,黒い大量のススをあげます。ベンゼンC6H6も炭素の含有量が大きいので,同様となります。

Point!
黒い大量のススとあったら,アセチレンかベンゼン!


□問題⑤
□解答 …… 誤り。

アルキンは二重結合をもたなないため,幾何異性体はもちません。
幾何異性体をもつのは,アルケンです。



□問題⑥
□解答 …… 誤り。

酢酸カルシウムCH3COONaではなく炭化カルシウム(カーバイド)CaC2に水を作用させると,アセチレンが生成します。
無機物から有機物をつくる有名な反応です!
混同する人が多いので注意しましょう!

Point!
炭化カルシウムに水 → アセチレントン
酢酸カルシウムを乾留 → アセトン

□問題⑦
□解答 …… 正しい。

アセチレンを赤熱した鉄管に通すと,3分子が重合して,ベンゼンが生成します。

アセチレンからベンゼンが生成するので,アセチレンは芳香族化合物の出発点になり,さらに,付加反応でできた酢酸ビニルや塩化ビニルは付加重合をして合成高分子をつくるので,アセチレンは非常に重要な物質で入試でも超頻出です!

□問題⑧
□解答 …… 誤り。

酢酸ではなく,最終的にアセトアルデヒドが生成します。
水が付加すると,ビニルアルコールになりますが,ビニルアルコールは不安定のため,すぐにアセトアルデヒドに変わってしまいます。
アセトアルデヒドの製法の1つです。
かつては,アセトアルデヒドの主要な工業的製法でしたが,水銀公害問題から現在では使われていません。
問題には「硫酸水銀(Ⅱ)HgSO4を含む希硫酸中にアセチレンを通じる」と「水が付加する」とは書かれていないことがあるので,注意してください!

Point! アセトアルデヒドの製法
① エタノールの酸化
② エチレンの酸化(ヘキストワッカー法)
③ アセチレンの水の付加
④ 2-ブテンのオゾン分解(酸化)

□問題⑨
□解答 …… 誤り。

アセチレンにニッケNiなどの触媒の下,水素を付加させると,エチレンを経て,エタンが生成します。



□問題⑩
□解答 …… 誤り。

酢酸エチルCH3COOC2H5ではなく,酢酸ビニルCH2=CHOCOCH3が生成します。

□問題⑪
□解答 …… 誤り。

エチレンではなく,塩化ビニルが生成します。

アセチレンは,三重結合C≡Cをもち,極めて反応性に富むため,付加反応をし,種々のビニル化合物が生成し,
さらに,これらの化合物が付加重合し,合成樹脂や合成繊維,合成ゴムなどの原料となります。

しかし,現在の化学工業では,塩化ビニルや酢酸ビニルは,エチレンを原料として
合成されています。


□問題⑫
□解答 …… 正しい。
アセチレンをアンモニア性硝酸銀水溶液に通すと,銀アセチリドが白色沈殿します。

三重結合をしている炭素原子に結合した水素原子は,水素イオンH+として離れ,Ag+やCu+などの金属イオンと置き換わります。
この置き換わった物質をアセチリドといい,この反応は-C≡C-Hのように末端に三重結合をもつアルキンの検出に用いられます。

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アルデヒドに関する正誤問題

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今日はアルデヒドに関する正誤問題です。

カルボニル基(-CO-)に2個の炭化水素基または水素原子が結合した構造をもつ化合物をカルボニル化合物といいます。
このうち,カルボニル基に水素原子が1個結合した化合物をアルデヒド(分子式:CnH2nO),2個の炭化水素基が結合した化合物をケトンといいます。
アルデヒドは,代表であるホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの性質と反応についておさえることがポイントです。


★次の正誤を判定せよ。

■問題① ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドは,水によく溶ける。


■問題② アセトアルデヒドの水溶液は,酸性である。


■問題③ アルデヒドの沸点は,同程度の分子量のアルコールと比べると低く,アルカンと比べると高い。


■問題④ アセトアルデヒドとアセトンは,互いに構造異性体の関係にある。


■問題⑤ エタノールに硫酸酸性の二クロム酸カリウム水溶液を加え,加熱するとホルムトアルデヒドが生成する。


■問題⑥ プロペンを触媒を用いて,空気酸化すると,アセトアルデヒドが生成する。


■問題⑦ アセチレンに触媒を用いて水を付加させると,アセトアルデヒドになる。


■問題⑧ 2-ブテンをオゾン分解(酸化)すると,ホルムアルデヒドが生成する。


■問題⑨ ベンズアルデヒドを酸化すると,安息香酸が生成する。


■問題⑩ アセトアルデヒドにフェーリング液を加えて煮沸すると,酸化銅(Ⅰ)が青色沈殿する。


■問題⑪ アセトアルデヒドにアンモニア性硝酸銀水溶液を加えて加熱すると,銀が析出する。


■問題⑫ 合成樹脂であるフェノール樹脂,メラミン樹脂,ユリア樹脂のいずれもアセトアルデヒドが単量体の1つとなっている。






★解答

□問題①
□解答 …… 正しい。

アルデヒドは,カルボニル基-CO-をもつため,水の-OHと水素結合を形成するため,低級のアルデヒドは水によく溶けます。
ホルムアルデヒドは,無色・刺激臭の気体で,その30~40%の水溶液をホルマリンといいます。
ホルムアルデヒドは,消毒剤や防腐剤に用いる他,合成樹脂や合成繊維に用いられます。
アセトアルデヒドは,刺激臭の液体で,引火性があるので,取り扱いには注意が必要です。


□問題②
□解答 …… 誤り。

アルデヒドの水溶液は,分子中のC-H結合は極性が小さく,H+として電離しないので,中性を示します。
よって,酸・塩基とは中和反応しません。

□問題③
□解答 …… 誤り。

アルデヒドは,アルコールのようにヒドロキシ基-OHを持たないので,同分子間で水素結合は形成されないため,アルコールより沸点は低くなります。
しかし,カルボニル基(-CO-)には,極性があるため,無極性分子であるアルカンより沸点は高くなります。

Point! 一般的な沸点の高さ(同程度の分子量)
カルボン酸>アルコール>アルデヒド,ケトン,エステル,アミン>エーテル>アルカン


□問題④
□解答 …… 正しい。

アセトアルデヒドではなくて,プロピオンアルデヒドとアセトンは,ともに分子式がC3H6Oで,互いに構造異性体の関係にあります。
アルデヒドとケトンは,互いに構造異性体の関係にあり,アルデヒドはケトンと異なり,還元性を示す(酸化されやすい)性質より,両者を判別することができます。

□問題⑤
□解答 …… 誤り。

ホルムトアルデヒドではなく,アセトアルデヒドが生成します。
第一級アルコールを酸化すると,H2個が奪われてアルデヒドになります。
ホルムアルデヒドは,メタノールを酸化することで得られます。



□問題⑥
□解答 …… 誤り。

プロペンではなくて,エチレンを塩化パラジウム(Ⅱ)PdCl2と塩化銅(Ⅱ)CuCl2を触媒として,空気酸化すると,アセトアルデヒドが生成します。
この反応は,アセトアルデヒドの工業的製法で,ヘキストワッカー法といいましたね。

□問題⑦
□解答 …… 正しい。

アセチレンに触媒(硫酸水銀(Ⅱ))を用いて水を付加させると,ビニルアルコール(不安定)を経て,アセトアルデヒドになります。



□問題⑧
□解答 …… 誤り。

ホルムアルデヒドではなく,アセトアルデヒドが生成します。

Point! アセトアルデヒドの製法
① エタノールの酸化
② エチレンの酸化(ヘキストワッカー法)
③ アセチレンの水の付加
④ 2-ブテンのオゾン分解(酸化)

□問題⑨
□解答 …… 正しい。

側鎖のアルデヒド基-CHOは酸化によってカルボキシ基-COOHとなるため,安息香酸が生成します。



□問題⑩
□解答 …… 誤り。

フェーリング液は青色(Cu2+の色)ですが,酸化銅(Ⅰ)は赤色です。この反応をフェーリング反応といい,アルデヒドの検出反応として用いられます。
アルデヒドは,酸化されてカルボン酸になりやすい。つまり,酸化されやすいということは相手を還元する性質が強いということであり,フェーリング液を還元します。


□問題⑪
□解答 …… 正しい。

ジアンミン銀イオン[Ag(NH3)2]+の水溶液を,アンモニア性硝酸銀水溶液(トレンス試薬)といい,これにアルデヒドを加えて温めると,銀イオンAg+が還元されて,
単体のAgとなり,容器の内壁に付着して鏡のようになります。
この反応は,銀鏡反応といい,フェーリング反応同様にアルデヒドの検出反応として用いられます。

□問題⑫
□解答 …… 誤り。

アセトアルデヒドではなく,ホルムアルデヒドが単量体の1つとなっています。






カルボン酸に関する正誤問題

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今日は,カルボン酸に関する正誤問題です。

分子中にカルボキシ基(-COOH)をもつ化合物をカルボン酸(分子式:CnH2nO2)といい,
多くのカルボン酸の名前は,最初に発見された動植物の名前からつけられた慣用名で呼ばれます。
反応は,特に
① 酸としての反応(中和反応,弱酸の遊離反応)
② 酸水物の生成反応
③ エステル化反応
の3つをおさえましょう。


★次の正誤を判定せよ。

■問題① 酢酸もステアリン酸も水によく溶ける。


■問題② カルボン酸の沸点は,同程度の分子量のアルカンより低い。


■問題③ マレイン酸は,フマル酸より融点が低い。


■問題④ ギ酸は,炭酸水より弱い酸性を示す。


■問題⑤ 安息香酸は,水にわずかしか溶けないが,酸性の水溶液にはよく溶ける。


■問題⑥ 乳酸には,光学異性体がある。


■問題⑦ ギ酸を濃硫酸で脱水すると,二酸化炭素が発生する。


■問題⑧ ギ酸は,アセトアルデヒドの酸化により得られる。


■問題⑨ p-キシレンを酸化すると,フタル酸が生成する。


■問題⑩ エタノールと酢酸の混合物に,濃硫酸を加えて加熱すると酢酸エチルが生成する。


■問題⑪ サリチル酸に無水酢酸を加えると,サリチル酸メチルが生成する。


■問題⑫ セッケンを加水分解すると,高級脂肪酸とグリセリンが得られる。


■問題⑬ 酢酸に十酸化四リン(五酸化二リン)を加えて熱すると,脱水し,無水酢酸が生成する。


■問題⑭ テレフタル酸を加熱すると,分子内のカルボキシル基2個から水1分子がとれて酸無水物が生じる。


■問題⑮ ギ酸にアンモニア性硝酸銀水溶液を加えて加熱すると,銀が析出する。






★解答

□問題①
□解答 …… 誤り。

酢酸は,水によく溶けますが,ステアリン酸C17H35COOHは,ほとんど水に溶けません。
カルボン酸は,カルボキシ基(-COOH)が極性の大きい親水基のため,Cの少ない低級カルボン酸は水に溶けます。
しかし,ステアリン酸は高級脂肪酸で,長い炭化水素基(C17H35)が疎水基のため,分子全体に占める親水基の影響が小さくなるので水に溶けにくくなります。

酢酸は,刺激臭のある無色の液体で,純粋なものは冬に凝固するので氷酢酸と呼ばれます。


□問題②
□解答 …… 誤り。

カルボン酸の沸点は,同程度の分子量のアルカンより高くなります。これは分子中に極性の大きいカルボキシ基(-COOH)をもち,分子どうしで水素結合するためです。

Point! 一般的な沸点の高さ(同程度の分子量)
カルボン酸>アルコール>アルデヒド,ケトン,エステル,アミン>エーテル>アルカン

□問題③
□解答 …… 誤り。

分子式がともにC4H4O4であるマレイン酸とフマル酸は,不飽和の2価のカルボン酸でシス形のマレイン酸とシス形のフマル酸は,幾何異性体の関係にあります。
融点は,フマル酸の方がはるかに高くなります。
理由は,マレイン酸は分子間だけで水素結合をするのに対し,フマル酸は,分子内でも水素結合もするので,その分,分子間の水素結合の数が減少するためです。

マレイン酸とフマル酸に関する問題は頻出なので,次の点もおさえてください。

水への溶解性は,マレイン酸は極性分子(非対称形)で水にはよく溶けますが,フマル酸(対称形)は無極性分子で,水にはあまり溶けません。
脱水反応では,マレイン酸は2個の-COOH基が互いに近くにあるため,加熱するだけで分子内脱水が起こり,無水マレイン酸になりますが,フマル酸は,-COOH基が反対側で離れているため加熱しても脱水されません。
水素の付加反応では,両方とも水素が付加するとコハク酸C2H4(COOH)2が生成します。

□問題④
□解答 …… 誤り。

カルボン酸はその名の通り,酸性の化合物で,酸性は炭酸H2CO3より強く,
塩酸HClや硫酸H2SO4よりは弱くなります。酸の強さは次のようになります。

Point! 酸の強さ
塩酸>硫酸>スルホン酸>カルボン酸>炭酸>フェノール類

ギ酸は,刺激臭のある無色の液体で,脂肪酸の中で最も酸性が強く有毒です。ギは蟻(アリ)と書き,アリから発見されたことからこの名がつきました。

□問題⑤
□解答 …… 誤り。

水素ではなく,二酸化炭素が発生します。
HCOOH + NaHCO3 → HCOONa + H2O + CO2

炭酸塩や炭酸水素塩の水溶液にカルボン酸を加えると,二酸化炭素が発生し溶解します。
これは,酸の強さは,ギ酸(カルボン酸)>炭酸なので,弱酸の塩(炭酸水素ナトリウム)に弱酸(炭酸)より強い酸(ギ酸)を加えることで,強い酸が塩(ギ酸ナトリウム)になり,弱酸(炭酸)が遊離するという反応が起こるためです。

Point! 弱酸の遊離反応
「弱酸の塩」+「強酸」→「強酸の塩」+「弱酸」
※強・弱は相対的な関係

□問題⑥
□解答 …… 正しい。

4種が異なる原子または原子団と結合している炭素原子を不斉炭素原子といい,不斉炭素原子をもてば,必ず光学異性体をもちます。乳酸は,不斉炭素原子で光学異性体が存在します。


□問題⑦
□解答 …… 誤り。

二酸化炭素ではなく,一酸化炭素が生成します。
HCOOH → CO + H2O

濃硫酸は脱水作用があり,有機化合物中からHとOを2:1の割合で奪います。


□問題⑧
□解答 …… 誤り。

ギ酸は,ホルムアルデヒドの酸化により得られます。
アセトアルデヒドの酸化により得られるのは酢酸です。



□問題⑨
□解答 …… 誤り。

テレフタル酸が生成します。フタル酸は,p-キシレンを酸化することで得られます。
ベンゼン環に直接結合した炭化水素基は,過マンガン酸カリウムで酸化されるとカルボキシ基(-COOH)になります。



□問題⑩
□解答 …… 正しい。

カルボン酸とアルコールを反応させると,分子間で水1分子がとれてエステルが生成します。
この反応をエステル化といいます。


□問題⑪
□解答 …… 誤り。

サリチル酸メチルではなく,アセチルサリチル酸が生成します。
この反応は,フェノール性ヒドロキシ基(-OH)のHがアセチル基(CH3CO-)と置換する反応で,アセチル化と呼ばれます。
サリチル酸メチルは,サリチル酸にメタノールを加えると,エステル化が起こり生成します。

アセチルサリチル酸は,白色の結晶で,解熱・鎮痛剤として,サリチル酸メチルは,油状の液体で,消炎・鎮痛剤(筋肉などに貼る湿布)などとして用いられます。


□問題⑫
□解答 …… 誤り。

セッケンではなく,油脂を加水分解すると,高級脂肪酸グリセリンが得られます。


□問題⑬
□解答 …… 正しい。

反応式は次のようになり,無水酢酸が生成します。
2CH3COOH → (CH3CO)2O + H2O

カルボン酸2分子から水1分子がとれた形の化合物を酸無水物といい,酢酸から水1分子がとれた化合物を無水酢酸といいます。

無水酢酸を水とともに加熱すると,加水分解し,酢酸の水溶液となります。

アルコールから分子間脱水でエーテルをつくる場合は,「濃硫酸+加熱」でつくれましたが,カルボン酸は比較的安定なので,「濃硫酸+加熱」だけでは脱水されず,
「十酸化四リンのような脱水剤+加熱」を用いて作ります。
これによって得られた無水酢酸は,反応性が高いので,エステルやアミドを合成(アセチル化)する際に用いられます。


□問題⑭
□解答 …… 誤り。

テレフタル酸ではなくて,フタル酸を加熱すると,酸無水物が生成します。

テレフタル酸は,ベンゼン環に結合した2つのカルボキシ基が反対側にあるので,加熱しても脱水せず,酸無水物を生じません。


□問題⑮
□解答 …… 正しい。

一般に,カルボン酸は,酸化されにくいため,還元性をもちませんが,ギ酸はアルデヒド基をもつため還元性をもち,銀鏡反応を示します。

ただし,ギ酸はフェーリング反応は示さないので注意してください。
理由は,ギ酸イオンが銅イオンと安定なキレート錯体を形成し,銅イオンが酸化銅(I)として沈澱するのを妨げるからだと考えられます。



ケトンに関する正誤問題。

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今日は,ケトンに関する正誤問題です。

カルボニル基(-CO-)に水素原子が1個結合した化合物をアルデヒド,2個の炭化水素基が結合した化合物をケトン(分子式:CnH2nO)といいましたね。
ケトンも反応性が乏しく,ケトンの代表であるアセトンに関する出題がほとんどです。
特にアセトンの製法についてしっかりおさえましょう!

★次の正誤を判定せよ。

■問題① アセトンは,水にも有機溶媒にも溶けやすい。


■問題② ケトンの水溶液は,中性を示す。


■問題③ ケトンの沸点は,アルコールやカルボン酸と比べると沸点は高くなる。


■問題④ アセトン,ジエチルエーテルは,いずれも不揮発性の液体である。


■問題⑤ アセトンと酢酸とは構造異性体の関係にある。


■問題⑥ ケトンは,還元性を示す。


■問題⑦ アセトンは,炭化カルシウムを乾留すると生成する。


■問題⑧ 1-プロパノールを酸化すると,アセトン生成する。


■問題⑨ プロペンに触媒を用いて,水を付加させると,アセトンが生成する。


■問題⑩ メチルプロペンをオゾン分解(酸化)するとアセトンが生成する。


■問題⑪ クメンヒドロペルオキシドを希硫酸で分解すると,フェノールとアセトンが得られる。


■問題⑫ アセトンにヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液を加えて温めると,黄色沈殿が生じる。







★解答

□問題①
□解答 …… 正しい。

アセトンは,極性のあるカルボニル基(-CO-)をもつので,水に溶けやすく,疎水性のメチル基(-CH3)ももつので,大半の有機溶剤によく溶けます。低級のケトンは,水に溶けやすい化合物です。


□問題②
□解答 …… 正しい。

ケトンは分子中の結合は極性が小さく,炭化水素基のH原子が,H+として電離しないので,中性を示します。

Point! 水溶液の液性
酸性 …… スルホン酸,カルボン酸,フェノール
中性 …… アルカン,アルケン,アルキン,アルコール,アルデヒド,エーテル,ケトン,エステル,ベンゼン,ニトロベンゼン,トルエン
塩基性 …… アニリン


□問題③
□解答 …… 誤り。

ケトンは,ヒドロキシ基(-OH)が存在しないので同種の分子間では水素結合が形成しないため,アルコールやカルボン酸と比べると沸点は低くなります。
しかし,カルボニル基(-CO-)には極性があるので,無極性分子であるアルケンよりは沸点は高くなります。

Point! 一般的な沸点の高さ(同程度の分子量)
カルボン酸>アルコール>アルデヒド,ケトン,エステル,アミン>エーテル>アルカン




□問題④
□解答 …… 誤り。

アセトン,ジエチルエーテルは,いずれも常温・常圧で液体で揮発性で引火しやすいため,火気を避けて取り扱う必要があります。

Point! 主な揮発性の液体
メタノール,エタノール,アセトアルデヒド,アセトン,分子量の小さいエーテル・エステル,ベンゼン


アセトンは,無色の芳香(特有のにおい)のある液体で,大半の有機溶剤を溶かすことから有機溶媒となり,マニキュアの除光液や,塗料の溶剤等に用いられます。



□問題⑤
□解答 …… 誤り。

アセトンは,酢酸ではなくプロピオンアルデヒドと構造異性体の関係にあります。


□問題⑥
□解答 …… 誤り。

ケトンは,アルデヒドと異なり酸化されにくいので還元性を示しません。
この性質を利用して,互いに構造異性体であるアルデヒドとケトンを判別することが
できます。

Point! 還元性をもつ有機化合物
ギ酸,シュウ酸,アルデヒド,スクロース以外の二糖類,単糖類



□問題⑦
□解答 …… 誤り。

炭化カルシウムCaC2ではなく,酢酸カルシウム(CH3COO)2Caを乾留(空気を絶って加熱分解すること)すると生成します。混同しやすいので注意してください。

(CH3COO)2Ca → CaCO3 + CH3COCH3

Point! 
炭化カルシウムに水 → アセチレン
酢酸カルシウムを乾留 → アセトン




□問題⑧
□解答 …… 誤り。

1-プロパノールではなく,2-プロパノールを酸化するとアセトン生成します。
1-プロパノールは第一級アルコールなので,酸化するとアルデヒドであるプロピオンアルデヒドが生成します。

Point!
1-プロパノール→酸化→プロピピオンアルデヒド
2-プロパノール→酸化→アセト



□問題⑨
□解答 …… 誤り。

アルケンであるプロペンC3H6ではなく,プロピンC3H4に硫酸水銀(Ⅱ)と硫酸を触媒として,水を付加させると,アセトンが生成します。


□問題⑩
□解答 …… 正しい。

アルケンであるメチルプロペンの酸化によって炭素原子間の二重結合が切れて,アセトンとホルムアルデヒドが生成します。


□問題⑪
□解答 …… 正しい。

この反応は,クメン法(フェノールの製法)の一部の反応で,アセトンの工業的製法の一つでもあります。

□問題⑫
□解答 …… 正しい。
アセトンにヨウ素I2と水酸化ナトリウムNaOH水溶液を加えて温めると,ヨードホルムCHI3が黄色沈殿します。
この反応はヨードホルム反応といいます。
次の構造をもつアルコールとカルボニル化合物がヨードホルム反応を示します。

$数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-ヨードホルム
※R-は,炭化水素基または水素


Point!
ヨードホルム反応を示す。……エタノール,2-プロパノール,2-ブタノール,アセトアルデヒド,アセトン
ヨードホルム反応を示さない。……メタノール,1-プロパノール,1-ブタノール



アセトンの製法はしっかりおさせてください。

① 2-プロパノールの酸化
② プロペンの空気酸化
③ アルケン(メチルプロペンなど)のオゾン酸化
④ プロピンへの水の付加
⑤ 酢酸カルシウムの乾留
⑥ クメン法の副産物


エステルに関する正誤問題

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今日は,エステルに関する正誤問題です。

アルコールとカルボン酸から水分子がとれて縮合して生成する化合物をエステル(分子式:CnH2nO2)といい,エステルが生成する反応をエステル化といいます。

また,ヒドロキシ基(-OH)とオキソ酸(酸素原子を含む酸 例:硝酸,硫酸など)から水分子がとれて縮合して生成する化合物も広義のエステルといいます。

油脂は,グリセリン高級脂肪酸とのエステル,
ニトログリセリンは,グリセリン硝酸とのエステル
ポリエチレンテレフタラートは,エチレングリコールテレフタル酸とのエステルです。

エステルは,エステル化と加水分解をおさえることがポイントです。


★次の正誤を判定せよ。

■問題① エステルは,水にも有機溶媒にも溶けやすい。


■問題② 酢酸エチルの水溶液は,酸性を示す。


■問題③ 分子量が同程度のエステルとカルボン酸の沸点を比較すると,エステルの方がかなり高い。


■問題④ 分子量の小さいエステルは,一般に揮発性で果実のような芳香をもつ。


■問題⑤ 酢酸メチルと酢酸は構造異性体の関係にある。


■問題⑥ 硝酸とグリセリンから生じるエステルをニトログリセリンという。


■問題⑦ 酢酸エチルに水を加えて加熱すると,酢酸とメタノールになる。


■問題⑧ 酢酸エチルに水酸化ナトリウム水溶液に加えて加熱すると均一な溶液になる。


■問題⑨ 油脂を水酸化ナトリウム水溶液で加水分解するとセッケンができる。


■問題⑩ サリチル酸にメタノールと少量の濃硫酸を加えて加熱すると,アセチルサリチル酸が生成する。


■問題⑪ ポリエチレンテレフタラートは,フタル酸とエチレングリコールの縮合重合によって合成される。





★解答

□問題①
□解答 …… 誤り。

エステルは,有機溶媒には溶けやすいですが,水には溶けにくいです。
理由は,エステルは,エステル結合に極性があるため,親水性ですが,この両端を疎水基ではさまれているため,水に溶けにくくなります。しかし,分子量が最も小さいエステルであるギ酸メチルのみ,分子全体に対する親水基の割合が大きいため,水には溶けます。

Point! 脂肪族化合物の水への溶解性
アルコール,アルデヒドケトン,カルボン酸……炭素数が3~4までは水に溶ける。
エーテル,エステル……炭素数が最小のもののみ水に溶ける。




□問題②
□解答 …… 誤り。

酢酸エチルCH3COOC2H5は,エタノールC2H5OHと酢酸CH3COOHからできたエステルで,エステルは酸性を示すカルボキシ基(-COOH)がエステル化により失われたので,中性となります。

Point! 水溶液の液性
酸性 …… スルホン酸,カルボン酸,フェノール
中性 …… アルカン,アルケン,アルキン,アルコール,アルデヒド,エーテル,ケトン,エステル,ベンゼン,ニトロベンゼン,トルエン
塩基性 …… アニリン



□問題③
□解答 …… 誤り。

分子量が同程度のエステルとカルボン酸の沸点を比較すると,エステルの方がかなり低くなります。理由は,カルボン酸は分子間で水素結合を形成するのに対し,エステルは,水素結合を形成しないため,低くなります。

Point! 一般的な沸点の高さ(同程度の分子量)
カルボン酸>アルコール>アルデヒド,ケトン,エステル,アミン>エーテル>アルカン




□問題④
□解答 …… 正しい。

例えば,酢酸エチルは,揮発性の液体でパイナップルに似た芳香をもち,無毒なので香料として用いられます。分子量の小さいエステルは果実のような芳香を持ちます。


□問題⑤
□解答 …… 誤り。

酢酸メチルの分子式はC3H6O2で,酢酸(分子式はC2H4O2)ではなくプロピオン酸と互いに構造異性体の関係にあります。

構造異性体の関係にあるカルボン酸とエステルの主な判別法は,次のようになります。

Point! カルボン酸とエステルの判別法
① 塩基と反応する。→ カルボン酸(カルボン酸は酸性のため,塩基と中和反応し塩を生成する)
② 塩基と加熱すると均一な溶液となる。→ エステル
③ 炭酸水素ナトリウムを加えると,二酸化炭素が発生。→ カルボン酸



□問題⑥
□解答 …… 正しい。

硝酸とグリセリンが反応すると,ニトログリセリンが生成します。
ヒドロキシ基(-OH)とオキソ酸(酸素原子を含む酸 例:硝酸,硫酸など)から水分子がとれて縮合して生成する化合物も広義のエステルといいます。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-グリセリン

ニトログリセリンは,ダイナマイトの主成分で,心臓の動脈を拡張させる作用があることから狭心症の治療薬としても用いられます。


□問題⑦
□解答 …… 誤り。

メタノールではなく,酢酸とエタノールになります。
酢酸エチルはエステルで,エステルに水を加えて加熱したり,希塩酸や希硫酸などの強酸を加えて加熱すると,エステル化の逆向きの反応がおきます。
この反応をエステルの加水分解といいます。



□問題⑧
□解答 …… 正しい。

均一な溶液とは,溶けるということで,酢酸エチルは,酢酸ナトリウムの塩となって溶けます。
CH3COOC2H5 + NaOH → CH3COONa + C2H5OH

エステルに水酸化ナトリウム水溶液などの塩基を加えて温めると,加水分解され,カルボン酸の塩とアルコールになります。
このように塩基を用いたエステルの加水分解を,特にけん化といいます。


□問題⑨
□解答 …… 正しい。

エステルの一種である油脂を塩基で加水分解すると,セッケンができます。
セッケンはグリセリンと高級脂肪酸のアルカリ金属塩です。油脂とセッケンを混同しないように注意してください!

Point!
油脂 …… 高級脂肪酸とグリセリンとのエステル
セッケン …… 高級脂肪酸のアルカリ金属塩




□問題⑩
□解答 …… 誤り。

アセチルサリチル酸ではなく,サリチル酸メチルが生成します。
サリチル酸は,ヒドロキシ基-OHとカルボキシ基-COOHの両方を持ち,
相手が-OHをもつ物質の場合は,サリチル酸の-COOHが,
相手が-COOHをもつ物質の場合は,-OHが反応してエステル結合をつくります。

$数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-サリチル酸


 
□問題⑪
□解答 …… 誤り。

ポリエチレンテレフタラートは,カルボン酸であるテレフタル酸とアルコールであるエチレングリコールから水がとれて,次々とエステル結合によって結合(脱水縮合)した高分子化合物です。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-PET

油脂・セッケンに関する正誤問題

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今日は,油脂・セッケンに関する正誤問題です。

油脂は,高級脂肪酸とグリセリンとのエステルで,動植物中に広く存在します。
油脂はエステルなので,油脂の性質を考えるときは,エステルの性質を考えるといいでしょう。
セッケンは油脂を,けん化したものです。
油脂とセッケンを混同して覚えている人が多いので,注意してください。


★次の正誤を判定せよ。

■問題① 油脂は水には溶けないが,有機溶媒には溶けやすい。


■問題② セッケンを水に溶かすと,水溶液は酸性を示す。


■問題③ 分子中の炭素原子間二重結合C=Cの数は,リノール酸は1個,リノレン酸 は2個,オレインは3個である。


■問題④ 炭素原子間の二重結合C=Cを多く含む油脂は,空気中のO2で酸化されやすく固化しやすい。


■問題⑤ セッケン水に食用油を加えてよく振り混ぜると,親水基を油に向けて内側に,疎水基を外側にして食用油を取り囲む。


■問題⑥ 油脂は,1分子のグリセリンに3分子の高級脂肪酸がエステル結合した化合物である。


■問題⑦ 油脂に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると,エチレングリコールとセッケンが生成する。


■問題⑧ カルシウムイオンやマグネシウムイオンを含む硬水中では,セッケンによる洗浄力は増す。








★解答

□問題①
□解答 …… 正しい。

油脂は,高級脂肪酸とグリセリンとのエステルなので,分子全体中に疎水性の部分が多くしめるので,極性溶媒には溶けず,無極性溶媒である有機溶媒には溶けます。
油脂は油なので,油をイメージすれば,水に溶けないことは明らかですよね。
高級脂肪酸は,炭素数が6個以上の鎖状のカルボン酸でしたね。


□問題②
□解答 …… 誤り。

セッケンは高級脂肪酸のアルカリ金属塩で,弱酸と強塩基からなる塩なので,水中では加水分解により塩基性を示します。


□問題③
□解答 …… 誤り。

二重結合C=Cの数は,オレイン酸は1個,リノール酸は2個,リノレン酸は3個です。

飽和脂肪酸の炭素数18のステアリン酸C17H35COOHを出発点に,炭素鎖からH原子が2個取れて,二重結合が1つ持ったオレイン酸C17H33COOHになります。
さらに,同様にして,二重結合を2つ持ったリノール酸C17H31COOH,二重結合を3つ持ったリノレン酸となります。


□問題④
□解答 …… 正しい。

油脂の構成脂肪酸中に二重結合C=Cが多く含まれると酸化されやすく,空気中のO2によって-O-O-結合などの結合により油脂どうしがくっつき固化します。
このような性質をもつ脂肪油(常温で液体の油脂)を乾性油といいます。

一方,空気中に放置しても固化しないものを不乾性油,これらの中間の性質をもつものを半乾性油といいます。
乾性油は,ペンキやインク,半乾性油は大豆油などの食用油,不乾性油は,バター,オリーブ油などの食用油,化粧品などに利用されています。

脂肪油の二重結合C=C部分に,Ni触媒を用いて水素を付加させると,二重結合にH2が付加して飽和脂肪酸を多く含む油脂となり常温で固体になります。
このようにしてつくられた油脂を硬化油といいます。


□問題⑤
□解答 …… 誤り。

セッケン分子は疎水基と親水基の両方をもち,親水基を外側に,疎水基を内側にして,食用油を取り囲み,粒子となって水中に分散します。
このように,セッケンが油汚れを水中に分散させる作用を乳化(作用)といいます。
また,セッケンは水の表面張力を低下させる性質があります。
このような性質をもつ物質を界面活性剤といいます。



□問題⑥
□解答 …… 正しい。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-油脂3

油脂を構成する高級脂肪酸は1種類ではなく,R1,R2,R3の組み合わせによって多くの種類が存在することに注意してください。



□問題⑦
□解答 …… 誤り。

エチレングリコールではなく,グリセリンが生成します。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-けん化3


油脂は,1分子のグリセリンに3分子の高級脂肪酸がエステル結合したエステルなので,水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると,加水分解し,グリセリンと高級脂肪酸のアルカリ金属塩(これをセッケンという)が生成します。

このようにエステルに強塩基(水酸化ナトリウム,水酸化カリウムなど)
を加えて加水分解させることをけん化といい,けん化によって,グリセリンとセッケンが得られます。



□問題⑧
□解答 …… 誤り。

セッケンの水溶液は塩基性で,絹や羊毛などタンパク質からなる繊維は塩基性に弱いため,セッケンは,絹や羊毛の洗浄には適しません。
セッケンと合成洗剤点についてまとめましたのでしっかりおさえてください。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-せっけん3





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ベンゼンに関する正誤問題

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今日は,ベンゼンについてです。
ベンゼンの分子式はC6H6で,ベンゼン環をもつ物質を芳香族化合物といいます。
ベンゼンの二重結合は芳香族性により安定なので,アルケンやアルキンとは異なり,付加反応よりも置換反応を起こしやすくなります。
ベンゼンは反応だけでなく,性質や構造もよく問われるのでしっかりおさえましょう。

★次の正誤を判定せよ。

■問題① ベンゼンは,無極性分子のため水に溶けない。


■問題② ベンゼンは,無揮発性で無毒である。


■問題③ ベンゼンを構成するすべての原子は,同一平面上にある。


■問題④ ベンゼン環とメチル基の炭素-炭素間の結合距離はベンゼン環部分の炭素-炭素間の結合距離よりも短い。


■問題⑤ ベンゼンの水素原子2個をメチル基で置換した化合物には,2種類の異性体が存在する。


■問題⑥ ベンゼンは,空気中で燃やすと多量のすすを出す。


■問題⑦ エチレンに触媒を用いて3分子を重合させると,ベンゼンになる。


■問題⑧ ベンゼンに濃塩酸を加えて加熱すると,置換反応が起こり, ベンゼンスルホン酸が生成する。


■問題⑨ ベンゼンに濃硝酸と濃硫酸の混合物を加えて温めると,ニトロベンゼンが生成する。


■問題⑩ ベンゼンに硫酸と塩化アルミニウムAlCl3の触媒下で,プロピンを付加させると,クメンが生成する。


■問題⑪ ベンゼンに鉄粉の存在下で,塩素を作用させると,ヘキサクロロシクロヘキサンが生成する。



■問題⑫ ベンゼンに紫外線の照射下で塩素を作用させると,クロロベンゼンが生成する。


■問題⑬ ベンゼンにニッケルを触媒として,水素を付加させると,ヘキサンが生成する。


■問題⑭ ベンゼンは,触媒の存在下で空気酸化されて,無水フタル酸が生成する。



■問題⑮ ナフタレンは,触媒の存在下で空気酸化され,無水フタル酸が生成する。






★解答

□問題①
□解答 …… 正しい。

ベンゼンは,無極性分子のため水に溶けにくいですが,無極性溶媒である有機溶媒にはよく溶けます。
以前は,有機溶媒として用いられてきましたが,毒性が強いため現在ではほとんど使われません。


□問題②
□解答 …… 正しい。

ベンゼンは,揮発性で特有の芳香をもつ液体で,引火しやすく有毒です。

□問題③
□解答 …… 正しい。

ベンゼンの6個の炭素原子は正六角形構造で,同一平面上にあります。水素原子も同一平面上で,結合角はすべて120°となっています。
シクロヘキサンC6H12は,いす形,舟形の立体構造でしたね。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-ben1


□問題④
□解答 …… 誤り。

ベンゼン環の炭素原子間の6個の結合は,単結合と二重結合が交互に繰り返された構造を持ち,炭素間の結合は単結合と二重結合が瞬間的に行き来しています。
このような状態を共鳴といい,炭素間の結合は単結合と二重結合の中間的な性質を示します。

炭素間の結合の強さは,
三重結合>二重結合>ベンゼン環>単結合となり,
炭素間の結合距離は,
単結合>ベンゼン環>二重結合>三重結合となります。

本問は,ベンゼン環とメチル基の炭素-炭素間の結合は
単結合なので,ベンゼン環部分の炭素-炭素間の結合距離より長くなります。

Ponit! 炭素間の結合距離
C-C(1.54nm)>ベンゼン環(1.4nm)>C=C(1.34nm)>C≡C(1.20nm)



□問題⑤
□解答 …… 誤り。

ベンゼンのH原子2個をメチル基(-CH3)に置換した芳香族炭化水素をキシレンといい,キシレンには,3種類(o-キシレン,m-キシレン,p-キシレン)の異性体が存在します。
1つのメチル基から最も近い位置をオルト位(o- ),1つ離れた位置をメタ位(m-),最も離れた位置をパラ位(p-)といいます。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-ben2


□問題⑥
□解答 …… 正しい。

 
ベンゼンC6H6は,アセチレンC2H2と同じ組成式で炭素含有率が大きいため,空気中で燃やすと多量のすすを出します。

Ponit!
多量のすすとあったら,ベンゼンとアセチレン!



□問題⑦
□解答 …… 誤り。

エチレンではなく,アセチレンに触媒を用いて3分子を重合させると,ベンゼンが生成します。



□問題⑧
□解答 …… 誤り。

濃塩酸ではなく,濃硫酸を加えて加熱すると,ベンゼンスルホン酸が生成します。
ベンゼンの水素原子がとスルホ基(-SO3H)で置き換わる反応をスルホン化といい,ベンゼンスルホン酸は,白色(無色)の結晶でスルホ基は,硫酸同様に強酸性を示します。

Ponit! 酸の強さ
塩酸>硫酸>スルホン酸>カルボン酸>炭酸>フェノール類



□問題⑨
□解答 …… 正しい。

濃硝酸と濃硫酸の混合物を混酸といい,約60℃で反応させると,ニトロベンゼンが生成します。ベンゼンの水素原子がニトロ基(-NO2)で置き換わる反応をニトロ化といい,ニトロベンゼンは,淡黄色の液体で,中性の化合物です。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-ben3



□問題⑩
□解答 …… 誤り。


プロピンC3H4ではなく,プロピレンC3H6を付加させると,クメンが生成します。
さらに,クメンを空気酸化させ,クメンヒドロペルオキシドとし,希硫酸で分解するとアセトンとフェノールが生成します。
この方法をクメン法といい,現在日本では,この方法でフェノールが製造されています。
プロピレンの二重結合にベンゼンが付加するということに注意してくださいね!

□問題⑪
□解答 …… 正しい。

ベンゼンに鉄粉Feの存在下で,塩素Cl2を作用させると,置換反応(塩素化)が起こり,クロロベンゼンが生成します。
ベンゼンの水素原子が-Clで置き換わる反応を塩素化(-Brで置き換わる反応を臭素化)といい,一般に,ハロゲンで置き換わる反応をハロゲン化といいます。



□問題⑫
□解答 …… 誤り。

ベンゼンに紫外線(or光)の照射下で塩素Cl2を作用させると,付加反応が起こりヘキサクロロシクロヘキサンが生成します。
ベンゼンと塩素の反応は,「鉄粉の存在下」と「光・紫外線の存在下」では生成する物質は異なります。
超頻出なので,くらべてつなげて覚えてください。


Ponit! ベンゼンとCl2との反応
鉄粉の存在下→ 置換反応 → クロロベンゼン
光・紫外線の照射下 → 付加反応 → ヘキサクロロシクロヘキサン


□問題⑬
□解答 …… 誤り。

問題⑫と同様に,付加反応が起こり,ヘキサンではなくシクロヘキサンが生成します。
ベンゼンは,安定な構造のため,付加反応は起こりにくいのですが,ニッケルNiなどの触媒の下では,付加反応を起こします。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-ben4



□問題⑭
□解答 …… 誤り。

ベンゼンを酸化バナジウム(Ⅴ)V2O5などの触媒の存在下で酸化すると,無水フタル酸ではなくて,無水マレイン酸が生成します。
ベンゼンは安定な構造をもつため,酸化されにくいのですが,触媒の存在下では,空気酸化されて,ベンゼン環が開裂します。


□問題⑮
□解答 …… 正しい。

問題⑭と同様に,触媒の存在下では,空気酸化されて,ベンゼン環の1つが開裂します。
ナフタレンは,特有のにおいをもつ無色の結晶で,昇華性があり防虫剤として用いられることも覚えてください。


数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-ben5




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