今日は糖類についてです。
糖類は炭水化物ともよばれ,分子式は一般にCn(H2O)mで表されます。
糖類は,大きく多糖類(C6H10O5)n,ニ糖類(C12H22O11),単糖類(C6H12O6)の3つに分類され,多糖類は,酵素や酸よって,ニ糖類や単糖類に加水分解され,さらに,ニ糖類は酵素や酸よって単糖類に加水分解されます。
糖類の加水分解後の生成物と還元性の有無についておさえることがポイントです。
★次の正誤を判定せよ。
■問題① グルコース(ブドウ糖),スクロース(ショ糖),セルロースいずれも水によく溶ける。
■問題② デンプンは直鎖状の構造をしたアミロースと枝分かれの多い構造をしたアミロペクチンからなる。
■問題③ グルコースは,結晶中で五員環構造をとっている。
■問題④ ニ糖類であるスクロース(ショ糖),マルトース(麦芽糖),ラクトース(乳糖),セロビオースはすべて還元性を示す。
■問題⑤ セルロースを希硫酸で加水分解すると,マルトースを経て,グルコースを生じる。
■問題⑥ スクロースは,酵素または希酸によって,グルコースとガラクトースに加水分解する。
■問題⑦ メタノールは,グルコースを発酵させることによって得られる。
■問題⑧ ショ糖(スクロース)に濃塩酸を加えると,脱水作用により黒く炭化する。
■問題⑨ デンプンの水溶液にヨウ素ヨウ化カリウム水溶液(ヨウ素溶液)を加えると,青紫色に呈色する。
★解答
□問題①
□解答 …… 誤り。
グルコースは単糖類,スクロースは二糖類で,親水基であるヒドロキシ-OH基を多くもつため,水によく溶けます。
しかし,多糖類であるセルロースやデンプンは冷水には溶けません。
ただし,デンプンは,温水には一部が溶けます。
□問題②
□解答 …… 正しい。
デンプンは,α-グルコースを単位とし,直鎖状構造をもつアミロースと枝分かれ構造をもつアミロペクチンとから構成されています。
一方,セルロースは,β-グルコースを単位とした直鎖状の構造からなります。
□問題③
□解答 …… 誤り。
単糖類であるグルコースは,結晶中で六員環構造をとっています。
その六員環構造には,下記のようにα-グルコースとβ-グルコースとの2種類があります。
また,水溶液中では,六員環構造のα-グルコース,β-グルコースと五員環構造のアルデヒド型グルコースの3種類が平衡状態となっています。
□問題④
□解答 …… 誤り。
スクロースは,グルコースとフルクトースの還元性を示す部分が脱水縮合した構造なので,スクロース(ショ糖)だけ還元性を示さなくなります。
単糖類であるフルクトース(果糖),グルコース(ブドウ糖),ガラクトースはいずれも還元性を示し,多糖類であるセルロースやデンプンは,両方とも還元性を示しません。
□問題⑤
□解答 …… 誤り。
セルロースを希硫酸で加水分解すると,ニ糖類であるセロビオースを経て,単糖類であるグルコース(ブドウ糖)を生じます。デンプンは加水分解によって,グルコース(ブドウ糖)を生じます。
また,セルロースは酵素(セルラーゼ)によってセロビオースに加水分解され,デンプンは酵素(アミラーゼ)によってデキストリンを経て,マルトースに加水分解されます。
□問題⑥
□解答 …… 誤り。
ニ糖類であるスクロースは,酵素または希酸によって,単糖類であるグルコース
とフルクトースに加水分解されます。
C12H22O11 + H2O → C6H12O6 + C6H12O6
また,マルトースとセロビオースは酵素または希酸によってグルコースに,ラクトースは酵素または希酸によってグルコースとガラクトースに加水分解されます。
□問題⑦
□解答 …… 誤り。
メタノールではなく,エタノールが得られます。この反応をアルコール発酵といいます。
C6H12O6 → 2C2H5OH + 2CO2
□問題⑧
□解答 …… 誤り。
濃塩酸には脱水作用はなく,濃硫酸には脱水作用があります。
反応は次のようになり,ショ糖(スクロース)は炭素になります。
C12H22O11 → 12C + 11H2O
□問題⑨
□解答 …… 正しい。
この反応をヨウ素デンプン反応といい,ヨウ素やデンプンの検出に用いられます。
セルロースは反応しないので,デンプンとセルロースとを判別できます。
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