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Channel: 数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc
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タンパク質・アミノ酸に関する正誤問題

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今日は,タンパク質・アミノ酸についてです。

アミノ酸は,一般式RCH(NH2)COOHで表され,アミノ基(-NH2)とカルボキシ基(-COOH)の両方をもつ化合物で,この2つの基が同じ炭素原子に結合したものをα-アミノ酸といいます。
また,タンパク質は,生命にとって重要なはたらきをしている物質で,タンパク質を希酸により加水分解すると,種々のα-アミノ酸を生じます。

アミノ酸,タンパク質の検出反応がよく出題されるので,きちんと整理して覚えましょう!

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-アミノ酸1


★次の正誤を判定せよ。

■問題① アミノ酸は,水と有機溶媒に溶けにくい。


■問題② アミノ酸は,他の有機化合物に比べて,融点は高い。


■問題③ アミノ酸は,酸と塩基と中和反応をする。


■問題④ アミノ酸の水溶液中では,陽イオン,双性イオン,陰イオンが常に一定の割合で平衡状態にある。


■問題⑤ すべてのα-アミノ酸は,光学異性体をもつ。


■問題⑥ アミノ酸2分子が脱水縮合して結合すると,ジペプチドが生成する。


■問題⑦ 加水分解すると,α-アミノ酸だけを生じるタンパク質を複合タンパク質という。


■問題⑧ タンパク質を加熱すると凝固する現象を変性という。


■問題⑨ ニンヒドリン反応は,すべてのタンパク質,アミノ酸で反応する。


■問題⑩ ビウレット反応は,すべてのタンパク質,アミノ酸で反応する。


■問題⑪ キサントプロテイン反応は,すべてのタンパク質,アミノ酸で反応する。


■問題⑫ システインに,NaOH水溶液を加えて加熱し,酢酸鉛(Ⅱ)の水溶液を加えると黄色の沈殿が生じる。






★解答

□問題①
□解答 …… 誤り。

アミノ酸は,結晶や水溶液中では,分子中で-COOHが放出したHを-NH2が受け取り,双性イオンの形をとっているため,極性溶媒である水にはよく溶け,無極性溶媒である有機溶媒には溶けにくくなります。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-アミノ酸2



□問題②
□解答 …… 正しい。

アミノ酸の双性イオンが互いにクーロン力で強く結合して,イオン結合を形成しているので,他の有機化合物に比べて,融点は高くなります。


□問題③
□解答 …… 正しい。

アミノ酸は,酸性を示すカルボキシ基(-COOH)と塩基性を示すアミノ基(-NH2)の両方をもった両性の化合物なので,酸と塩基の両方と反応して塩を生成します。

また,アミノ酸は,カルボキシ基を持つので,アルコールと反応してエステル結合を
アミノ基を持つので,カルボン酸や酸無水物と反応してアミド結合をつくります。


□問題④
□解答 …… 誤り。

アミノ酸の水溶液中では,陽イオン,双性イオン,陰イオンが平衡状態にあり,水溶液のpHによって,それらの割合は変化します。

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□問題⑤
□解答 …… 誤り。

グリシン以外のすべてのα-アミノ酸は,分子内に不斉炭素原子が存在し,光学異性体をもちます。グリシンは,最も簡単な構造をもつα-アミノ酸です。
光学異性体をもつ最も簡単な構造をもつのは,アラニンです。

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□問題⑥
□解答 …… 正しい。

2個のアミノ酸のうち,一方のアミノ酸のカルボキシ基と他方のアミノ酸のアミノ基から水分子がとれて縮合してできたアミド結合-CONH-を特にペプチド結合といいます。

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ペプチド結合によって,多数のアミノ酸が縮合重合したものをポリペプチドといい,タンパク質の基本構造は,多種のアミノ酸がペプチド結合により結合したポリペプチドをもちます。

□問題⑦
□解答 …… 誤り。

加水分解すると,α-アミノ酸だけを生じるタンパク質を単純タンパク質,アミノ酸以外に色素やリン酸,核酸,糖などを生じるタンパク質を複合タンパク質といいます。

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□問題⑧
□解答 …… 正しい。

熱,強酸,強塩基,重金属イオンなどにより凝固する現象を変性といいます。
タンパク質分子の立体的な構造が変化するために起こります。




□問題⑨
□解答 …… 正しい。

アミノ酸にニンヒドリン水溶液を加えて温めると,青紫~赤紫色に呈色します。
この反応は,ニンヒドリン反応とよばれ,アミノ酸の検出に利用されます。
タンパク質は,アミノ酸からなるため,ニンヒドリン反応は,すべてのタンパク質,アミノ酸で反応します。



□問題⑩
□解答 …… 誤り。

タンパク質水溶液にNaOH水溶液を加えたあとに,硫酸銅(Ⅱ)CuSO4水溶液を加えると赤紫色になります。この反応をビウレット反応といい,タンパク質の検出に用いられます。ペプチド結合が銅(Ⅱ)イオンに配位して錯イオンを形成するためで,ペプチドをもたないアミノ酸は反応しないことに注意してください。


□問題⑪
□解答 …… 誤り。

タンパク質水溶液に濃硝酸を加えて熱すると黄色になり,さらにアンモニア水を加えて塩基性にすると橙黄色になります。この反応をキサントプロテイン反応といいます。
この反応は,タンパク質を構成するアミノ酸中のベンゼン環がニトロ化されるために起こり,ベンゼン環をもたないアミノ酸は反応を示しません。


□問題⑫
□解答 …… 誤り。

Sを含むタンパク質水溶液にNaOH水溶液を加えて加熱し,酸で中和した後,酢酸鉛(Ⅱ)Pb(CH3COO)2の水溶液を加えると,酢酸鉛PbSが黒色沈殿します。
この反応は,タンパク質中の硫黄の検出に用いられます。システインは,Sを含むので反応します。

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