毒性を持つ物質は数多くありますが、センター試験(1996~2012本・追試験)で出題される「毒性を問う物質」はなにか調べてみました。
結果は、有毒な「気体」についての問題が大半でした。
有毒な気体で覚えておきたいものは
オゾン、塩素、フッ素、二酸化硫黄、硫化水素、一酸化炭素、二酸化窒素、ハロゲン化水素
などが挙げられます。
では、この中で最も多く出題された気体は何でしょうか?
正解は、
硫化水素で4回です!
例えば、2008年度 追試験の正誤問題
■『第3周期16族元素の水素化合物は,悪臭をもち,有毒である。』
答えは、
「正」ですね。
第3周期16族元素はSで,その水素化合物は硫化水素です。
硫化水素は,腐乱臭があり,有毒です。
2002年度 追試験の問題は、化学物質の保存と取扱いに関する正誤問題。
■『硫化水素は,ドラフト中で扱う。』
これは当然、有毒なので、ドラフト中で扱うのが正しいですね。
では、硫化水素以降の順位はどうでしょうか?
2位は同率で
二酸化硫黄と一酸化炭素で3回。
二酸化硫黄は刺激臭があり,大気汚染や酸性雨の原因物質です。
還元性があり漂白作用があることも一緒に覚えてください。
2001年度 本試験での正誤問題。
■『硫黄を燃焼させると有毒な気体となるが,この気体をさらに酸化して得られる物質は重要な工業原料である。』
これは、「正」ですね。
酸化して得られる物質というのは、三酸化硫黄で、接触法で硫酸を作る際の重要な工業原料となります。
一酸化炭素は説明するまでもなく有毒で
一酸化炭素は、酸素と比べて200倍以上強くヘモグロビンと結合するため,一度、一酸化炭素と結合したヘモグロビンは酸素と結合できず,血液の酸素の運搬能力が著しく低下するので,死に至ることがあるわけです。
閉め切った室内で炭を燃やし続けると、酸素の量が減少し,不完全燃焼を起こすため、一酸化炭素が生成するので、注意してください!
続いて、4位は
塩素で1回です!
2007年度 本試験の問題文では
■『トイレや浴室用の塩素を含む洗剤を成分の異なる他の洗剤と混ぜると,有毒な気体が発生することがある。』
とありました。
塩素を含む洗剤の主成分は、次亜塩素酸ナトリウムNaClOで、弱酸+強塩基の塩で、酸を加えると,
「弱酸の塩」+「強酸」→「 弱酸」+「強酸の塩」
NaClO + 2HCl→ NaCl + H2O + Cl2
の弱酸の遊離反応より有毒な塩素ガスが発生します。
いかがでしたか?
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センター試験に出る「毒性」に関する問題
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