今日からは、 核酸に関する問題を紹介します。
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核酸はヌクレオチドを繰り返し単位とする高分子化合物であり,単糖,リン酸,塩基からなる。
図1は,デオキシリボ核酸DNAに含まれる糖の構造と,この糖に含まれる炭素原子の位置をア~オで示している。
ヌクレオチドの塩基は図1の糖の( A )の炭素原子と結合し,リン酸は( B )の炭素原子と結合する。
( A ),( B )に最も適しているものを,A群の①~⑤から一つ,B群の⑥~⑩から一つ,それぞれ選びなさい。
A群:
① ア ② イ ③ ウ ④ エ ⑤ オ
B群:
⑥ ア ⑦ イ ⑧ ウ ⑨ エ ⑩ オ
□問
次のデオキシリボ核酸DNAとリボ核酸RNAについての①~⑦の記述で最も不適切なものを二つ選びなさい。
アデニン,グアニン,シトシン,チミン,ウラシルの各塩基はそれぞれA,G,C,T,Uとする。
① 二重らせん構造をとるDNAの一方の鎖の塩基配列が-C-C-T-A-G-C-A-の部分を考えたとき,この部分の二重らせんの中で形成される水素結合は18個である。
② リン酸と糖の結合はエーテル結合である。
③ 塩基と糖の結合は共有結合である。
④ 伝令RNAの塩基は,鋳型となるDNAの塩基と水素結合する。
⑤ RNAの構成元素はC,H,N,O,Sである。
⑥ 運搬RNAはペプチド結合の形成に関係する。
⑦ ある細胞の核内のDNAに含まれるGの個数が全ての塩基の個数の24%であるとき,Aの個数の比率は26%である。
(早稲田大学)
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■解答・解説
A群:① ア
B群:⑩ オ
□問
① 二重らせん構造をとるDNAの一方の鎖の塩基配列が-C-C-T-A-G-C-A-の部分を考えたとき,この部分の二重らせんの中で形成される水素結合は18個である。 ……(正)
アデニン(A)とチミン(T),グアニン(G)とシトシン(C)がそれぞれ水素結合によって結合して塩基対を形成するため,二重らせん構造は次のようになる。
A-T間,G-C間の水素結合の本数は前者が2個,後者が3個なので,合計個数は,2×3+3×4=18個
② リン酸と糖の結合はエーテル結合である。 ……(誤)
③ 塩基と糖の結合は共有結合である。 ……(正)
リン酸と糖の結合はエーテル結合ではなくエステル結合で,塩基と糖の結合はグリコシド結合で,共有結合の1種である。
④ 伝令RNAの塩基は,鋳型となるDNAの塩基と水素結合する。 ……(正)
アデニン(A)とチミン(T),グアニン(G)とシトシン(C)がそれぞれ水素結合によって結合する。
⑤ RNAの構成元素はC,H,N,O,Sである。 ……(誤)
DNA,RNAの構成単位は,リン酸(H3PO4),糖,有機塩基で,構成元素はリン酸は,H,P,O,糖は,C,H,O,有機塩基は,C,H,N,Oであるので,DNA,RNAの構成元素は,いずれもC,H,N,O,Pの5元素となる。
⑥ 運搬RNAはペプチド結合の形成に関係する。 ……(正)
運搬RNAは識別したアミノ酸を伝令RNA上に運び,ペプチド結合を形成させる。
⑦ ある細胞の核内のDNAに含まれるGの個数が全ての塩基の個数の24%であるとき,Aの個数の比率は26%である。 ……(正)
二重らせん構造を形成しているDNAは,アデニン(A)とチミン(T),グアニン(G)とシトシン(C)がそれぞれ水素結合によって結合して塩基対を形成しているため,アデニン(A)とチミン(T),グアニン(G)とシトシン(C)のそれぞれの物質量は等しいので,Gの比率が24%なら,Cの比率も24%となる。
また,残りのAとTの比率も等しいので,
以上より, ②,⑤ ……(答え)
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