今日も、 医薬品に関する問題を紹介します。
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医療に用いられる薬品を医薬品といい,病気の診断・治療・予防などに用いられる。
19世紀以前は天然物から有効成分を抽出して使用していたが,有機化学が発達すると,有効成分を合成しようという研究が行われるようになり,19世紀後半にアセトアニリドが「 あ 」として市販された。
アセトアニリドは毒性が強いため,その毒性を減らす工夫をした(a)アセトアミノフェン(p-ヒドロキシアセトアニリド)が現在医薬品として使用されている。
病原菌を死滅させたり繁殖を抑えたりする消毒薬も医薬品である。消毒薬の種類は多数あり,用途に応じて使い分けられている。
(b)エタノールや「 い 」は,細菌のタンパク質を「 う 」させるため殺菌作用があり,広く用いられている。
古くはフェノールの水溶液を外科手術に用いて感染を防いだか,皮膚を痛めやすいので現在では「 い 」せっけん液が用いられている。
また,毒性の低い有機水銀化合物が傷口の消毒に用いられてきたが,環境を汚染することが明らかになったため,わが国では製造が停止された。
水銀化合物に匹敵する殺菌作用を持つのが塩素である。飲料水の殺菌には単体の塩素を用いるが,次亜塩素酸ナトリウムの水溶液なども用いられ,水溶液中の次亜塩素酸イオンの「 え 」作用により殺菌力を示す。
オキシドール(3%過酸化水素水)も同じ作用をする薬品であり,刺激が少ない消毒薬として傷口に用いられる。
このように過酸化水素は通常「 え 」剤としてはたらくが,過マンガン酸カリウムのような強い「 え 」剤に対しては「 お 」剤としてはたらく。
このことを利用して,過マンガン酸カリウム標準溶液を用いて滴定を行うことで,オキシドール中の過酸化水素濃度が測定できる。
〔1〕 文章中の「 あ 」について,最も適当な語句を下の選択肢の中から選びなさい。
① 麻酔剤
② 解毒剤
③ 解熱剤
④ サルファ剤
⑤ 抗生物質
〔2〕 文章中の「 い 」について,最も適当な物質を下の選択肢の中から選びなさい。
① セリン
② フェニルアラニン
③ クレゾール
④ グルコース
⑤ グリセリン
〔3〕 文章中の「 う 」~「 お 」について,最も適当な語句を下の選択肢の中から選びなさい。
① 中和 ② 還元 ③ 酸化
④ 抽出 ⑤ 乳化 ⑥ けん化
⑦ 変性 ⑧ 塩析 ⑨ ろ過
⑩ 加水分解
〔4〕 下記の文章中の「 A 」および「 B 」について,あてはまる語句を記入せよ。
文章中の下線部(a)のアセトアミノフェンは,p-ニトロフェノールのニトロ基を 「 A 」後, アセチル化することによって得られる。
アセトアミノフェンを塩酸で加水分解した後,二クロム酸カリウム水溶液を加えると,加水分解生成物が「 B 」され,紫色の色素を生じる。
(立命館大学)
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■解答・解説
〔1〕 ③ 解熱剤
〔2〕 ③ クレゾール
〔3〕
う……⑦ 変性
え……③ 酸化
お……② 還元
〔4〕
A……還元
B……酸化
※アセトアミノフェンを加水分解して得られるp-アミノフェノールは、酸化剤によって酸化されやすいです。
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