今日も、 核酸に関する問題を紹介します。
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2本のヌクレオチド鎖からなるDNA(デオキシリボ核酸)は,一方の分子鎖の塩基が他方の分子鎖の決まった塩基と水素結合し(このような塩基どうしの関係を相補性という),二重らせん構造を形成している。
相補性が保たれている2本鎖のDNAの塩基組成(各塩基数の割合)を調べたところ,あるDNAではRNA(リボ核酸)にはない塩基が20%含まれていた。
したがって,このDNAにはグアニンが( ア )%含まれている。
グアニンを多く含む2本鎖のDNAは,グアニンの少ない同じ長さの2本鎖のDNAより水素結合の数が( イ ),熱を加えることによる1本鎖のDNAへの変化が( ウ )。
空欄( ア )~( ウ )に当てはまるものが順に並んでいるものはどれか。
ただし,2本鎖のDNAでは相補性が保たれ,すべての塩基が水素結合しているものとする。
① 20, 多く, 起こりにくい
② 20, 多く, 起こりやすい
③ 20, 少なく, 起こりにくい
④ 20, 少なく, 起こりやすい
⑤ 30, 多く, 起こりにくい
⑥ 30, 多く, 起こりやすい
⑦ 30, 少なく, 起こりにくい
⑧ 30, 少なく, 起こりやすい
⑨ 40, 多く, 起こりにくい
⑩ 40, 少なく, 起こりやすい
(北里大学)
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■解答・解説
■( ア )について
「あるDNAではRNA(リボ核酸)にはない塩基が20%含まれていた。」ことより,その塩基は,チミン(T)である。
二重らせん構造を形成しているDNAは,アデニン(A)とチミン(T),グアニン(G)とシトシン(C)がそれぞれ水素結合によって結合して塩基対を形成しているため,アデニン(A)とチミン(T),グアニン(G)とシトシン(C)のそれぞれの物質量は等しい。
よって,Tの割合が20%なら,Aの割合は20%となる。また,残りのGとCの割合も等しいので,
■( イ ),( ウ )について
A-T間の水素結合の数は2本,GとC間の水素結合の数は3本となる。
よって,Gを多く含む2本鎖のDNAは,Gの少ない同じ長さの2本鎖のDNAより水素結合の数が多い。
また,水素結合の数が多い塩基対の方が結合力が強いと言える。
したがって,Gの多い2本鎖のDNAの方が熱を加えることによる1本鎖DNAへの変化が起こりにくい。
以上より, ⑤ 30,多く,起こりにくい ……(答え)
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