今日も、 核酸に関する問題を紹介します。
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核酸は,塩基,糖,及びリン酸から構成される。
糖の1位に「 ア 」が結合したものをヌクレオシドと呼び,それに「 イ 」がエステル結合したものをヌクレオチドと呼ぶ。
ヌクレオチドの「 イ 」部分と,別のヌクレオチドの糖部分の「 ウ 」基が縮合重合したものはポリヌクレオチドと呼ばれる。
DNAでは,糖部分はデオキシリボースであり,塩基には,ピリミジン塩基であるシトシン(C)とチミン(T),プリン塩基であるグアニン(G)とアデニン(A)の4種類がある。
細胞内では,ヌクレオチドの縮合重合反応が繰り返されて高分子DNAが合成される。
一般の2本鎖DNAでは,向かい合う塩基同士が水素結合を介して塩基対を形成している。
グアニンはシトシン,アデニンはチミンと塩基対を形成し,これにより安定な「 エ 」構造が維持されている。
高分子である核酸は,水溶液中では親水コロイドとして存在している。中性付近(pH7~8)の水溶液中では,核酸に含まれるリン酸のヒドロキシ基が電離するため,核酸全体としては「 オ 」を持つ。
そのため,中性付近の緩衝液を用いた電気泳動において,DNAは「 カ 」側に移動する。
コロイド状の核酸は全体として帯電しているため,高分子の核酸同士は反発しあって凝集しにくくなっている。
そこに適量の食塩水などを加えると,核酸に含まれるリン酸の電荷が中和され,核酸同士が凝集し易くなる。このような親水コロイドの「 キ 」現象を利用した方法は,核酸の精製過程で汎用される。
問1
「 ア 」~「 キ 」に入る適切な語を下記の語群から選びなさい。
01 α-ヘリックス 02 陰極 03 塩基 04 塩析
05 凝析 06 正電荷 07 疎水 08 二重らせん 09 ヒドロキシ
10 負電荷 11 メチル 12 陽極 13 リン酸
問2
DNAに含まれるデオキシリボースの構造は,下記の1~6のうちどれか。
問3
一般に,2本鎖DNA水溶液(中性付近)に熱を加えていくと,水中の2本鎖DNAが1本鎖に解離する。
このとき,グアニンとシトシンの含有割合が高い2本鎖DNAの方が,アデニンとチミンの含有割合が高い2本鎖DNAよりも解離しにくいと言われる。
その理由としてもっとも適切な説明を下記から1つ選びなさい。
1 熱により,アデニンが分解するから。
2 熱により,チミンが分解するから。
3 A-T塩基対よりもG-C塩基対の方が分子量が大きいから。
4 A-T塩基対よりもG-C塩基対の方が水素結合の数が多いから。
5 グアニンに水素イオンが結合して塩基対が保護されるから。
6 アデニンに水素イオンが結合して塩基対を形成できないから。
(慶應義塾大学)
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■解答・解説
問1
ア 03 塩基
イ 13 リン酸
ウ 09 ヒドロキシ
エ 08 二重らせん
オ 10 負電荷
カ 12 陽極
キ 04 塩析
問2
6 ……(答え)
DNAでは,糖はデオキシリボースで,RNAでは,糖はリボースとなる。
問3
4 A-T塩基対よりもG-C塩基対の方が水素結合の数が多いから。 ……(答え)
DNAでは,アデニン(A)とチミン(T),グアニン(G)とシトシン(C)がそれぞれ水素結合によって結合して塩基対を形成し,A-Tの水素結合の数は2本,G-Cの水素結合の数は3本となる。
DNAを含む溶液を加熱すると,ある温度で1本鎖になる。
これは加熱によって水素結合が切断されるためである。A-Tが2本,G-Cが3本であるから,A-Tの塩基対よりもG-Cの塩基対の方が,その結合力が強いといえる。
よって,GとCの含有割合が高いDNAでは,より高温にしないと1本鎖に分離できない。
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