今日も、入試問題文を聴いて覚える化学 1・2族編です。
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□テキストは下記参照ください。
入試問題文を聴いて覚える化学 1・2族元素編
■ 2011年度 京都工芸繊維大学
周期表の縦の列を族とよぶ。同じ族に属する元素群を同族元素といい,それらの性質はよく似ている。水素以外の1族元素は,アルカリ金属とよばれ,いずれも価電子を1個もち,1価の陽イオンになりやすい。アルカリ金属は,大気中の水蒸気や酸素と反応しやすいので,取り扱いに注意しなければいけない。ベリリウムとマグネシウムを除く2族元素は,アルカリ土類金属とよばれ,2価の陽イオンになりやすい。
アルカリ金属およびアルカリ土類金属の単体は,それらの塩の水溶液の電気分解では製造できないので,融解塩電解で製造されている。
■ 2011年度 立命館大学
周期表1族には,水素とアルカリ金属元素が含まれる。これらに共通な電子配置は,価電子の数が1個であることである。
アルカリ金属元素はイオン化エネルギーが小さいので,陽イオンになりやすい。アルカリ金属元素の単体は周期表の下にある元素ほど,密度は大きく,融点は高い。アルカリ金属元素の単体は,空気中の酸素や水蒸気に触れないように石油中に保存する。
金属ナトリウムは水に入れると,常温でも激しく反応する。ナトリウムの水酸化物である水酸化ナトリウムは白色の固体であるが,湿った空気中では水分を吸収して固体表面がぬれてくる。この現象を潮解という。また,ナトリウムをはじめとするアルカリ金属元素の化合物を,白金線につけてバーナーの外炎に入れると,元素特有の色を示す。このように呈色する現象を炎色反応という。
炭酸ナトリウムは,工業的には,塩化ナトリウムの飽和水溶液にアンモニアと二酸化炭素を吹き込み,炭酸水素ナトリウムの沈殿をつくり,これを集めて焼くことによりつくられる。これをアンモニア・ソーダ法という。
■ 2011年度 慶應義塾大学
炭酸ナトリウムはソルベー法によって工業的につくられている。この方法では,塩化ナトリウムの飽和水溶液にアンモニアと二酸化炭素を吹き込むと,溶解度の小さい炭酸水素ナトリウムが沈殿するので,それを集めて加熱することにより炭酸ナトリウムを得ている。炭酸ナトリウムの水和物結晶を乾いた空気中に放置すると水和水の一部が失われて風解と呼ばれる現象がおこり,結晶表面が白色粉末状になる。
塩化水素は,実験室では塩化ナトリウムに濃硫酸を加え,加熱することによって得られる。
炭酸水素ナトリウムは白色の固体で,重曹とも呼ばれ,胃腸薬やベーキングパウダー,入浴剤などに使用されている。また,酸を加えたり,加熱すると分解して二酸化炭素CO2を発生する。
炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムはいずれも水に溶けると弱塩基性を示す。
水酸化ナトリウムは工業的には塩化ナトリウムの水溶液の電気分解によって製造されている。この際,陽極には塩素,陰極には水素が発生する。水酸化ナトリウムは白色の固体で,水によく
溶けその水溶液は強塩基性を示す。また,水酸化ナトリウムの固体を空気中に放置すると,水分を吸収して固体の表面がぬれてくる。この現象は潮解と呼ばれる。
■ 2011年度 香川大学
地殻の構成元素を存在量(質量)の順に並べると,最も多い元素は酸素であり,次にケイ素,アルミニウム,鉄と続き,カルシウムは5番目である。カルシウム化合物を主成分とする鉱物としては石灰石,セッコウなどの外にホタル石がある。ホタル石に濃硫酸を加えて加熱すると、フッ化水素が発生し硫酸塩を生じる。この気体の水溶液はケイ酸塩を溶かすので保存容器の材質に注意が必要である。
石灰石を加熱すると,二酸化炭素が発生しせいせっかい生石灰を生じる。生石灰と水を反応させるとしょうせっかい消石灰となるが,このとき多量の熱を発生するので生石灰は発熱材として利用されている。生石灰とコークス(炭素)を混合して電気炉で2000℃ぐらいに加熱すると炭化カルシウムができる。炭化カルシウムに水を加えると可燃性の気体であるアセチレンを発生させることができる。消石灰に塩素を吸収させると,さらし粉が得られる。さらし粉を水に溶かすと,酸化力の強い次亜塩素酸イオンを生じるので殺菌剤や漂白剤として利用される。
カルシウムの単体は天然には存在しないが,炭酸塩などから融解塩電解または溶融塩電解と呼ばれる方法で得ることができる。カルシウムの単体を水と反応させると, 水素を発生する。このとき生成する水酸化物の水溶液は石灰水と呼ばれる。石灰水へ呼気を吹き込むとはくだく白濁するが,さらに吹き込み続けると液体は透明になる。この液体を加熱すると気体が発生して再び白濁する。
■ 2011年度 長崎大学
2族元素は,電子殻の最外殻に2個の電子を持つため,2価の陽イオンになりやすく,その水酸化物は塩基性を示す。2族元素の中でベリリウムは水と反応せず,マグネシウムは熱水とのみ反応する。これら以外の2族元素の単体は,常温で水と反応し,気体の水素を発生する。このように,2族元素の中でも化学的性質が特に似ている元素をアルカリ土類金属といい,特有の炎色反応を示す。
カルシウムは,水と反応して水酸化カルシウムを生じる。水酸化カルシウムは消石灰ともよばれ,酸化カルシウムに水を加えても生じる。水酸化カルシウムの飽和水溶液に二酸化炭素を通じると,炭酸カルシウムを生成して白濁する。この白濁液にさらに二酸化炭素を通じ続けると,白色の不溶物は炭酸水素カルシウムとなって電離し,溶解する。炭酸水素カルシウムの水溶液を加熱すると再び炭酸カルシウムを生じて白濁する。2族元素の硫酸塩は,日常生活においても重要な役割を担っており,硫酸カルシウムは建築材や医療用ギプスとして,硫酸バリウムはX線撮影の造影剤として用いられる。
■ 2011年度 兵庫医科大学
カルシウムとマグネシウムはいずれも周期表2族に属する元素であるが,その化学的性質には違いが見られる。例えば,カルシウムの単体は常温の水と反応するが,マグネシウムの単体は反応しない。また,それぞれの水酸化物の水に対する溶解度も異なる。
カルシウムとマグネシウムはともに地殻の構成元素である。地殻に存在するカルシウムの大部分は石灰石や大理石など炭酸カルシウムとして存在している。このことには,地球が46億年前に誕生してからたど辿った環境の変化が関係している。現在の火星や金星のように,もともと地球の大気は二酸化炭素が大部分を占めていたが,地球では海が誕生し二酸化炭素は溶解していった。その後,地球の表面温度が低下することで,さらに大気中の二酸化炭素は減少した。一方,海水中に取り込まれた二酸化炭素は炭酸イオンとなり,岩石から溶け出したカルシウムイオンと反応し,炭酸カルシウムとして海底に堆積していった。
炭酸カルシウムの一部は地球内部まで取り込まれ,高熱のため塩基性酸化物の酸化カルシウムと酸性酸化物の二酸化炭素に分解されたが,残りの大部分は地殻に蓄積し続け,地球は炭酸カルシウムの豊富な惑星になった。
現在,カルシウム化合物は多方面で利用されている。建築材料のセメントやしっくい漆喰の成分は炭酸カルシウムや消石灰であり,そ塑像や医療用ギブスなどに使われるセッコウは硫酸カルシウムの水和物である。また,消石灰に塩素を吸収させて作られるさらし粉は漂白剤や殺菌剤などに利用されている。さらし粉CaCl(ClO)・H2Oは塩化カルシウムと次亜塩素酸カルシウムの複塩と考えられる。
一方,酸化カルシウムとコークス(石炭を乾留してつくったたこうしつ多孔質の炭素)を混ぜて電気炉で強熱すると得られる炭化カルシウム(カーバイト)は有機合成原料として用いられている。さらに,カルシウム化合物には吸湿性をもつものが多く,乾燥剤や除湿剤として利用されている。
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入試問題文を聴いて覚える化学 1・2族編
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