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入試問題文を聴いて覚える化学 銅編

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今日も、入試問題文を聴いて覚える化学 銅編です。

録音した音声はyoutubeにアップしています。



□テキストは下記参照ください。

入試問題文を聴いて覚える化学 銅編


■ 2011年度  秋田大学

 銅は,単体として天然にも存在するが,工業的には銅鉱石を製錬して製造される。黄銅鉱(主成分CuFeS2)などの銅鉱石を空気を吹き込みながら加熱すると,鉱石中の鉄や硫黄成分は酸化されて除去される。この方法によって不純物を含む粗銅が得られる。

 粗銅から純銅を得るためには電解精錬を行う。電解精錬では,電解液である硫酸酸性の硫酸銅(Ⅱ)水溶液中で粗銅板を陽極,純銅板を陰極として0.2~0.5ぼるとVの低電圧で電気分解を行う。

 このとき,粗銅板に含まれている亜鉛,鉄,銀,金などの不純物金属のうち,銅よりもイオン化傾向が大きい不純物金属は,銅(Ⅱ)イオンとともに陽イオンとなって電解液中に溶け出す。これと同時に,電解液中の銅(Ⅱ)イオンは還元され,陰極上に析出する。この操作によって陰極上に純度99.99%以上の純銅が得られる。

 また,陽極の下には,電解液中に溶け出さなかった不純物金属が沈殿する。この沈殿物に含まれる金属は,別の操作により回収される。



■ 2011年度 中央大学
 銅は,天然に単体として産出することはまれで,多くは銅鉱石中に硫化物や酸化物のかたちで,不純物をともなって存在している。高純度な銅の単体を得るためには以下の工程が必要となる。

 銅鉱石(黄銅鉱など)をコークス,石灰石,ケイしゃ砂とともに溶鉱炉中で加熱することにより硫化銅(Ⅰ)に変える。その後,硫化銅(Ⅰ)を転炉中で加熱し粗銅と二酸化硫黄にする。ここでできた粗銅は不純物を含んでいるので,さらに電気分解により高純度な銅の単体を得る。
 
この電気分解では,粗銅を陽極に,純銅板を陰極とし,硫酸銅(Ⅱ)の硫酸酸性溶液を電解液に用いて0.3V程度の電圧をかける。すると,粗銅中の銅はイオンとなって溶液中に溶け出した後,溶液中を陰極である純銅板に向かって移動し,その純銅板上に析出する。しかし,粗銅中に不純物として存在するニッケル,鉄,亜鉛などは,銅よりもイオン化傾向が大きいため,溶液中に溶け出して陽イオンとなるがそのまま溶液中に残る。
 
 一方,銅よりもイオン化傾向の小さい金属(例えば,金,銀)はイオンとはならずに陽極の下に沈殿する。以上の電気分解の工程は,電解精錬と呼ばれている。
 銅の単体は酸に侵されにくいため塩酸や希硫酸には溶解しないが,希硝酸,濃硝酸及び,熱濃硫酸には溶解する。また,銅の単体は室温で乾燥した空気中では変化しないが,長く雨風にさらされると,表面に緑青という緑色の物質を生成する。
 
 緑青を大気中で強熱すると,1000℃以下では黒色の酸化銅(Ⅱ)を生成するが,
1000℃以上の温度では赤色の酸化銅(Ⅰ)を生成する。



■ 2011年度  同志社大学
 周期表で3族から11族の元素は遷移元素とよばれ,日常生活で重要なものが多い。遷移元素の最外殻電子の数は1または2個であり,同一の遷移元素でも複数の酸化数を示すことが多い。

 銅Cuは第4周期の遷移元素である。銅鉱石(主に黄銅鉱CuFeS2)を還元すると粗銅が得られる。得られた粗銅板を陽極に,薄い純銅板を陰極として,電解液に硫酸銅(Ⅱ)の硫酸酸性水溶液を用いて電解精錬を行うと,純粋な銅が得られる。銅の単体は,赤色光沢のある金属で,電気や熱の伝導性が大きく,導線や電気材料として広く用いられている。
 
 銅は電池の電極としても使われてきた。たとえば,1800年頃にイタリアのボルタによって発明されたボルタ電池では,銅は正極として用いられ,銅正極と亜鉛負極の間に硫酸水溶液を浸した布を挟み,これを何層も積み重ねた構造であった。

 また,1836年にイギリスのダニエルは,電極として銅と亜鉛を,電解液として硫酸銅(Ⅱ)水溶液と硫酸亜鉛水溶液を用い,両者が混じらないように素焼き板などの隔膜で仕切った電池(ダニエル電池)を発明した。

 ダニエル電池は,当時発展しつつあった電信用の電源として広く使われ,歴史的に重要な役割を果たしたが,1868年にフランスのルクランシェにより安価で取り扱いが容易なマンガン乾電池が発明され,実用的な電池としての使命を終えた。


■ 2011年度 2011 龍谷大学
 銅は,展性・延性の大きな金属で,しかも電気伝導性も大きいので,電線などに用いられるほか,黄銅や青銅などの合金の材料としても用いられており,我々の身の回りにある,主要な金属の一つである。

 単体の銅は,黄銅鉱などを溶鉱炉で空気を吹き込みながら加熱することにより得られる。このようにして得られた銅は純度99%程度で,不純物を含んでおり,粗銅とよばれる。さらに純度の高い銅は,陽極に粗銅板,陰極に純銅板を用い,硫酸を加えた硫酸銅(Ⅱ)水溶液中で電気分解することにより得られる。

 このように,電気分解により不純物を多く含む金属から純度の高い金属を得る方法を電解精錬という。このとき,粗銅中に含まれる銅はイオンとなって溶け出し,陰極の純銅板上に析出する。また,粗銅中に含まれる銅よりもイオン化傾向の大きい鉄,ニッケル,亜鉛などはイオンとなって溶け出すが,電圧を調節することで,純銅板上には析出せず,溶液中にとどまる。

 一方,銅よりもイオン化傾向の小さい金や銀などはイオンにならず陽極の下に沈殿する。銅は,非常に有用な金属で多くの分野で用いられているが,地殻中にはたかだか0.01%ほどしか含まれておらず,資源的に希少な元素の一つである。そのため,電線や塊で利用されている銅の大部分は使用後,回収されリサイクルされている。


HP「恋する化学」にpdfファイルをアップしています。


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