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アルコールに関する正誤問題

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今日はアルコールに関する正誤問題です。

炭化水素基にヒドロキシ基(-OH)が結合したものをアルコールといい,分子中にヒドロキシ基が1個含むものを1価アルコール,2個含むものを2価アルコール,3個含むものを3価アルコールといいます。

さらに,ヒドロキシ基が結合している炭素原子に,0個または1個の炭素原子が結合しているものを第一級アルコール,2個の炭素原子が結合しているものを第二級アルコール,3個の炭素原子が結合しているものを第三級アルコールといいます。

入試で登場するアルコールは多く,様々な反応をするので,性質・反応をしっかり整理しておさえましょう!



★次の正誤を判定せよ。

■問題① プロパノールは,水によく溶ける。


■問題② エタノールの水溶液は,弱酸性である。


■問題③ エタノールは,分子量が同程度のプロパンよりも沸点が低い。


■問題④ エタノールとジメチルエーテルは,互いに構造異性体である。


■問題⑤ 一酸化炭素と水素の混合気体を,酸化亜鉛ZnOの触媒を用いて,高温・高圧下で反応させるとエタノールが生成する。 


■問題⑥ エチレンに濃硫酸の触媒下で水を付加させると,メタノールが生成する。


■問題⑦ エタノールにナトリウムを反応させると,酸素が発生する。


■問題⑧ エタノールと濃硫酸との混合物を130~140℃で加熱すると,脱水反応が起こり,ジメチルエーテルが生成する。


■問題⑨ エタノールと濃硫酸との混合物を160~170℃で加熱すると,エチレンが生成する。


■問題⑩ エタノールに硫酸酸性の二クロム酸カリウム水溶液を加え,加熱するとホルムアルデヒドが生成する。


■問題⑪ 2-ブタノールを,硫酸酸性の二クロム酸カリウム水溶液で酸化すると,アセトアルデヒドが生成する。


■問題⑫ 2-メチル-2-プロパノールを酸化すると,アセトンが生成する。


■問題⑬ ベンジルアルコールを酸化すると,ベンズアルデヒドが生成する。


■問題⑭ エタノールに少量の硫酸の存在下で,酢酸と反応させると,酢酸メチルが生成する。


■問題⑮ 油脂は,2価アルコールであるエチレングリコールと種々の高級脂肪酸とのグリセリンエステルである。



■問題⑯ エタノールにヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液を加えて温めると,黄色沈殿が生じる。






★解答

□問題①
□解答 …… 正しい。

アルコールは,炭素数が3個のアルコールであるプロパノールC3H7OHまで,
水によく溶け,炭素原子の数が大きくなるにつれて溶けにくくなります。
理由は,炭素原子が増える=炭化水素基(疎水基)が大きくなるため,分子全体に対する親水基の割合が減るので水に溶けにくくなります。


□問題②
□解答 …… 誤り。
アルコールは,ヒドロキシ基-OHを持ちますが,水に溶かしてもH+が電離せず,
アルコールの水溶液は中性となります。よって,酸・塩基とは中和反応しません。
しかし,フェノール類の-OHは電離し,H+を放出するため弱酸性となります。


□問題③
□解答 …… 誤り。


エタノール(沸点は約78℃)は,ヒドロキシ基-OHをもち,ヒドロキシ基は極性が大きいため,分子間で水素結合を形成するため,沸点が高くなります。


□問題④
□解答 …… 正しい。

エタノールC2H5OHとジメチルエーテルCH3OCH3は,分子式はC2H6Oと同じで互いに構造異性体にあります。


□問題⑤
□解答 …… 正しい。

エタノールC2H5OHではなく,メタノールCH3OHが生成します。
この反応は,メタノールの工業的製法で,一酸化炭素と水素の混合気体を水性ガス
といいます。
メタノールは,無色な有毒な液体で,蒸気を吸うと眩暈を起こしたり,目に入ると失明する恐れがあるので,扱いには注意が必要です。


□問題⑥
□解答 …… 誤り。

メタノールではなく,エタノールが生成します。
エタノールは,アルコール飲料,殺菌・消毒薬など様々な薬品の原料として用いられます。


□問題⑦
□解答 …… 誤り。

酸素O2ではなくて,水素H2が発生します。

アルコールは,-OHを持つので金属Naと反応し,ナトリウムアルコキシドが生成し,水素が発生します。
同様に,-OHを持つフェノールも金属Naと反応し,ナトリウムフェノキシドが生成し,水素を発生します。
この反応は,有機化合物中の-OH基の検出に用いられます。


□問題⑧
□解答 …… 誤り。

ジメチルエーテルではなくて,ジエチルエーテルが生成します。この反応は分子間脱水反応です。



□問題⑨
□解答 …… 正しい。

分子内脱水反応が起こり,エチレンが生成します。

この反応はエチレンの実験的製法です。
アルコールの脱水反応には,2分子間で水1分子がとれる分子間脱水反応と1分子内で水1分子がとれる分子内脱水反応の2種類がありましたね。
温度によって,生成物が異なるので,注意してください!


□問題⑩
□解答 …… 誤り。

ホルムアルデヒドではなく,アセトアルデヒドが生成します。

エタノールのように第一級アルコールを酸化させると,H2個が取れてアルデヒドが生成し,アルデヒドをさらに酸化させると,カルボン酸が生成します。



□問題⑪
□解答 …… 誤り。

アセトアルデヒドではなくて,エチルメチルケトンが生成します。

2-ブタノールのように第二級アルコールを酸化させると,Hが2個取れて,ケトンが生成します。



□問題⑫
□解答 …… 誤り。

2-メチル-2-プロパノールは,第三級アルコールで,第三級アルコールは酸化されにくく,アセトンは生成しません。
ケトンであるアセトンは,2-プロパノールを酸化すると,生成します。


□問題⑬
□解答 …… 正しい。

ベンジルアルコールは,第一級のアルコールなので,酸化すると,側鎖の-CH2OHが
アルデヒド基-CHOとなり,ベンズアルデヒドが生成します。さらに,酸化させると,
アルデヒド基-CHOがカルボキシ基-COOHになりカルボン酸である安息香酸が生成します。



□問題⑭
□解答 …… 誤り。

酢酸メチルではなく,酢酸エチルが生成します。
カルボン酸とアルコールを反応させると,分子間で水分子がとれてエステルが生成します。この反応をエステル化といいます。



□問題⑮
□解答 …… 誤り。

油脂は,エチレングリコールではなく,3価アルコールであるグリセリンと種々の高級脂肪酸とのグリセリンエステルです。


□問題⑯
□解答 …… 正しい。

エタノールにヨウ素I2と水酸化ナトリウムNaOH水溶液を加えて温めると,ヨードホルムCHI3が黄色沈殿します。この反応はヨードホルム反応といいます。


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