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アルキンに関する正誤問題

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今日はアルキンに関する正誤問題です。

分子内に1つの三重結合をもつ鎖式炭化水素をアルキンといい,一般式はCnnH2n-2で表されます。アルキンもアルケン同様に反応性に富むため,付加反応や付加重合反応を起こします。
アルキンに関する問題は,ほとんどがアセチレンで占められるので,アセチレンの性質・反応について,しっかりおさえましょう。


★次の正誤を判定せよ。

■問題① アセチレン分子は,直線形である。


■問題② アルキンの三重結合の結合距離は,アルケンの二重結合の結合距離より長い。


■問題③ アセチレンに火をつけると,明るい炎を出して燃える。


■問題④ アセチレンを空気中で点火すると,大量のススを出す。


■問題⑤ アルキンには,幾何異性体がある。


■問題⑥ 酢酸カルシウムに水を作用させると,アセチレンが生成する。


■問題⑦ アセチレンを赤熱した鉄管に通すと,ベンゼンが生成する。


■問題⑧ アセチレンに触媒を用いて水を付加させると,ビニルアルコールを経て酢酸になる。


■問題⑨ アセチレンに水素を付加させると,エタンからエチレンが生成する。


■問題⑩ アセチレンに酢酸を付加させると,酢酸エチルが生成する


■問題⑪ アセチレンに塩化水素を付加させると,エチレンが生成する。


■問題⑫ アセチレンをアンモニア性硝酸銀水溶液に通すと,銀アセチリドが白色沈殿する。






★解答

□問題①
□解答 …… 正しい。

三重結合している炭素原子に直接結合している2個の水素原子は一直線上に存在しているので,直線形となっています。

Point!
アセチレンや二酸化炭素は,直線構造。水は折れ線構造。

□問題②
□解答 …… 誤り。

三重結合の結合距離は,二重結合より短いです。
炭素間の結合の強さは,
三重結合>二重結合>ベンゼン環>単結合となり,
炭素間の結合距離は,
単結合>ベンゼン環>二重結合>三重結合となります。

C-C(1.54nm)>ベンゼン環(1.4nm)>C=C(1.34nm)>C≡C(1.20nm)


□問題③
□解答 …… 正しい。

アセチレンは酸素との混合気体の燃焼で.かなりの高温(約3000℃)となるため,金属の切断や溶接に利用されます。


□問題④
□解答 …… 正しい。

アセチレンは炭素の含有量が大きいので,空気中で点火すると,不完全燃焼を起こし,黒い大量のススをあげます。ベンゼンC6H6も炭素の含有量が大きいので,同様となります。

Point!
黒い大量のススとあったら,アセチレンかベンゼン!


□問題⑤
□解答 …… 誤り。

アルキンは二重結合をもたなないため,幾何異性体はもちません。
幾何異性体をもつのは,アルケンです。



□問題⑥
□解答 …… 誤り。

酢酸カルシウムCH3COONaではなく炭化カルシウム(カーバイド)CaC2に水を作用させると,アセチレンが生成します。
無機物から有機物をつくる有名な反応です!
混同する人が多いので注意しましょう!

Point!
炭化カルシウムに水 → アセチレントン
酢酸カルシウムを乾留 → アセトン

□問題⑦
□解答 …… 正しい。

アセチレンを赤熱した鉄管に通すと,3分子が重合して,ベンゼンが生成します。

アセチレンからベンゼンが生成するので,アセチレンは芳香族化合物の出発点になり,さらに,付加反応でできた酢酸ビニルや塩化ビニルは付加重合をして合成高分子をつくるので,アセチレンは非常に重要な物質で入試でも超頻出です!

□問題⑧
□解答 …… 誤り。

酢酸ではなく,最終的にアセトアルデヒドが生成します。
水が付加すると,ビニルアルコールになりますが,ビニルアルコールは不安定のため,すぐにアセトアルデヒドに変わってしまいます。
アセトアルデヒドの製法の1つです。
かつては,アセトアルデヒドの主要な工業的製法でしたが,水銀公害問題から現在では使われていません。
問題には「硫酸水銀(Ⅱ)HgSO4を含む希硫酸中にアセチレンを通じる」と「水が付加する」とは書かれていないことがあるので,注意してください!

Point! アセトアルデヒドの製法
① エタノールの酸化
② エチレンの酸化(ヘキストワッカー法)
③ アセチレンの水の付加
④ 2-ブテンのオゾン分解(酸化)

□問題⑨
□解答 …… 誤り。

アセチレンにニッケNiなどの触媒の下,水素を付加させると,エチレンを経て,エタンが生成します。



□問題⑩
□解答 …… 誤り。

酢酸エチルCH3COOC2H5ではなく,酢酸ビニルCH2=CHOCOCH3が生成します。

□問題⑪
□解答 …… 誤り。

エチレンではなく,塩化ビニルが生成します。

アセチレンは,三重結合C≡Cをもち,極めて反応性に富むため,付加反応をし,種々のビニル化合物が生成し,
さらに,これらの化合物が付加重合し,合成樹脂や合成繊維,合成ゴムなどの原料となります。

しかし,現在の化学工業では,塩化ビニルや酢酸ビニルは,エチレンを原料として
合成されています。


□問題⑫
□解答 …… 正しい。
アセチレンをアンモニア性硝酸銀水溶液に通すと,銀アセチリドが白色沈殿します。

三重結合をしている炭素原子に結合した水素原子は,水素イオンH+として離れ,Ag+やCu+などの金属イオンと置き換わります。
この置き換わった物質をアセチリドといい,この反応は-C≡C-Hのように末端に三重結合をもつアルキンの検出に用いられます。


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