今日は有機化合物の様々な性質に関する正誤問題です。
揮発性,密度,状態,有機溶媒,匂い,色,毒性,用途などについてまとめたので,つなげてまとめて覚えてください。
★次の正誤を判定せよ。
■問題① アセトン,ジエチルエーテル,アセトアルデヒド,ベンゼン,いずれも不揮発性の液体であり,引火しやすい。
■問題② ジエチルエーテル,アセトン,ヘキサン,ベンゼン,いずれも常温・常圧で水よりも軽い液体である。
■問題③ アニリン,ニトロベンゼン,サリチル酸,いずれも油状の液体である。
■問題④ エタノール,エチレングリコール,グリセリン,いずれも粘性の高い液体である。
■問題⑤ ヘキサン,アセトン,ジエチルエーテル,いずれも有機溶媒として用いられる。
■問題⑥ アセトン,ベンゼン,アニリン,フェノール,いずれも無臭である。
■問題⑦ ニトロベンゼン,ピクリン酸,2,4,6-トリニトロトルエン,2,4,6-トリブロモフェノール,いずれも黄色の化合物である。
■問題⑧ フェノールには毒性があり,皮膚や粘膜をおかすので危険である。
■問題⑨ アセチルサリチル酸は,消炎・鎮痛剤,サリチル酸メチルは,解熱・鎮痛剤として用いられる。
★解答
□問題①
□解答 …… 正しい。
揮発とは,液体が気体となって蒸発することで,アセトン,ジエチルエーテル,アセトアルデヒド,ベンゼンは,いずれも揮発性の液体で引火しやすいため,火気を避けて取り扱う必要があります。
他に,メタノール,エタノール,分子量の小さいエステルも揮発性の液体です。
Point! 主な揮発性の液体
メタノール,エタノール,アセトアルデヒド,アセトン,
分子量の小さいエーテル・エステル,ベンゼン
□問題②
□解答 …… 正しい。
気体ではないので,水の分子量(18)と比較して考えることはできません。
液体の場合は,密度が水の密度1.0 g/cm3より小さければ,水より軽く,大きければ重くなります。
一般に,常温・常圧で液体である有機化合物の大部分は水よりも軽くなります。
水より重い有機化合物は,ニトロベンゼン,アニリン,サリチル酸メチルの3つをおさえておきましょう。
Point!
液体で水よりも密度の大きい主な有機化合物
ニトロベンゼン,アニリン,サリチル酸メチル
□問題③
□解答 …… 誤り。
アニリン,ニトロベンゼンは油状の液体ですが,サリチル酸は無色(白色)の結晶です。
油状の液体は,他にサリチル酸メチルなどがあり,上記の水よりも密度の大きい有機化合物と3つとも同じになります!ニトロベンゼン,アニリン,サリチル酸メチルは油状の液体で水よりも密度が大きいと覚えましょう!
Point! 主な油状の液体
ニトロベンゼン,アニリン,サリチル酸メチル
□問題④
□解答 …… 誤り。
エチレングリコール,グリセリンともに粘性が高いですが,エタノールは粘性が高くありません。お酒を考えてみればわかりますね。
エチレングリコールは,ポリエチレンテレフタラートの原料に,グリセリンは,油脂の構成成分で,ニトログリセリンの製造や化粧品や医薬品にも用いられます。一般に,高分子化合物の溶液や融解液も粘性を持ちます。
無機化合物では,硫酸が粘性を持つことをおさえておきましょう。
□問題⑤
□解答 …… 正しい。
有機溶媒とは水に溶けない物質を溶かす液体の有機化合物で,主に,ヘキサン,アセトン,ジエチルエーテル,酢酸エチル,四塩化炭素などがあります。
Point! 主な有機溶媒
ヘキサン,アセトン,ジエチルエーテル,酢酸エチル,四塩化炭素
□問題⑥
□解答 …… 誤り。
アセトン,ベンゼン,アニリン,フェノール,いずれも特有の匂いをもちます。
アセトンは,シンナーのような匂いと表現されることもあります。
覚えておきたい匂いのある有機化合物についてまとめたので,整理して覚えてください。
□問題⑦
□解答 …… 誤り。
ニトロベンゼンは淡黄色の液体,ピクリン酸(2,4,6-トリニトロフェノール),2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)は,黄色の結晶ですが,2,4,6-トリブロモフェノールは,白色の結晶です。一般に,ニトロ基-NO2をもつものは黄色のものが多いです。
有機化合物で登場する他の黄色の化合物は,ヨードホルムCHI3がありましたね。
白色の化合物は,銀アセチリドAgC≡CAg,アセトアニリドをおさえておきましょう。
□問題⑧
□解答 …… 正しい。
フェノールが皮膚につくと,火傷のようにただれるので即座に洗い流さないと危険です。ギ酸も酸性が強く,皮膚につくと,水泡などができてしまうので注意が必要です。他に毒性のある主な有機化合物についてまとめたので,整理して覚えてください。
Point! 主な毒性のある有機化合物
メタノール,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,
ギ酸,ベンゼン,フェノール
□問題⑨
□解答 …… 誤り。
逆で,アセチルサリチル酸が解熱・鎮痛剤,サリチル酸メチルは,消炎・鎮痛剤として用いられます。アセトアニリドにも解熱・鎮痛作用があり,かつては医薬品として使用されていましたが,現在では副作用のため使われていません。他に入試で登場する主な医薬品についてまとめたので,つなげて覚えてください。
↧
有機化合物の様々な性質に関する正誤問題
↧