今日は,ケトンに関する正誤問題です。
カルボニル基(-CO-)に水素原子が1個結合した化合物をアルデヒド,2個の炭化水素基が結合した化合物をケトン(分子式:CnH2nO)といいましたね。
ケトンも反応性が乏しく,ケトンの代表であるアセトンに関する出題がほとんどです。
特にアセトンの製法についてしっかりおさえましょう!
★次の正誤を判定せよ。
■問題① アセトンは,水にも有機溶媒にも溶けやすい。
■問題② ケトンの水溶液は,中性を示す。
■問題③ ケトンの沸点は,アルコールやカルボン酸と比べると沸点は高くなる。
■問題④ アセトン,ジエチルエーテルは,いずれも不揮発性の液体である。
■問題⑤ アセトンと酢酸とは構造異性体の関係にある。
■問題⑥ ケトンは,還元性を示す。
■問題⑦ アセトンは,炭化カルシウムを乾留すると生成する。
■問題⑧ 1-プロパノールを酸化すると,アセトン生成する。
■問題⑨ プロペンに触媒を用いて,水を付加させると,アセトンが生成する。
■問題⑩ メチルプロペンをオゾン分解(酸化)するとアセトンが生成する。
■問題⑪ クメンヒドロペルオキシドを希硫酸で分解すると,フェノールとアセトンが得られる。
■問題⑫ アセトンにヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液を加えて温めると,黄色沈殿が生じる。
★解答
□問題①
□解答 …… 正しい。
アセトンは,極性のあるカルボニル基(-CO-)をもつので,水に溶けやすく,疎水性のメチル基(-CH3)ももつので,大半の有機溶剤によく溶けます。低級のケトンは,水に溶けやすい化合物です。
□問題②
□解答 …… 正しい。
ケトンは分子中の結合は極性が小さく,炭化水素基のH原子が,H+として電離しないので,中性を示します。
Point! 水溶液の液性
酸性 …… スルホン酸,カルボン酸,フェノール
中性 …… アルカン,アルケン,アルキン,アルコール,アルデヒド,エーテル,ケトン,エステル,ベンゼン,ニトロベンゼン,トルエン
塩基性 …… アニリン
□問題③
□解答 …… 誤り。
ケトンは,ヒドロキシ基(-OH)が存在しないので同種の分子間では水素結合が形成しないため,アルコールやカルボン酸と比べると沸点は低くなります。
しかし,カルボニル基(-CO-)には極性があるので,無極性分子であるアルケンよりは沸点は高くなります。
Point! 一般的な沸点の高さ(同程度の分子量)
カルボン酸>アルコール>アルデヒド,ケトン,エステル,アミン>エーテル>アルカン
□問題④
□解答 …… 誤り。
アセトン,ジエチルエーテルは,いずれも常温・常圧で液体で揮発性で引火しやすいため,火気を避けて取り扱う必要があります。
Point! 主な揮発性の液体
メタノール,エタノール,アセトアルデヒド,アセトン,分子量の小さいエーテル・エステル,ベンゼン
アセトンは,無色の芳香(特有のにおい)のある液体で,大半の有機溶剤を溶かすことから有機溶媒となり,マニキュアの除光液や,塗料の溶剤等に用いられます。
□問題⑤
□解答 …… 誤り。
アセトンは,酢酸ではなくプロピオンアルデヒドと構造異性体の関係にあります。
□問題⑥
□解答 …… 誤り。
ケトンは,アルデヒドと異なり酸化されにくいので還元性を示しません。
この性質を利用して,互いに構造異性体であるアルデヒドとケトンを判別することが
できます。
Point! 還元性をもつ有機化合物
ギ酸,シュウ酸,アルデヒド,スクロース以外の二糖類,単糖類
□問題⑦
□解答 …… 誤り。
炭化カルシウムCaC2ではなく,酢酸カルシウム(CH3COO)2Caを乾留(空気を絶って加熱分解すること)すると生成します。混同しやすいので注意してください。
(CH3COO)2Ca → CaCO3 + CH3COCH3
Point!
炭化カルシウムに水 → アセチレン
酢酸カルシウムを乾留 → アセトン
□問題⑧
□解答 …… 誤り。
1-プロパノールではなく,2-プロパノールを酸化するとアセトン生成します。
1-プロパノールは第一級アルコールなので,酸化するとアルデヒドであるプロピオンアルデヒドが生成します。
Point!
1-プロパノール→酸化→プロピピオンアルデヒド
2-プロパノール→酸化→アセトン
□問題⑨
□解答 …… 誤り。
アルケンであるプロペンC3H6ではなく,プロピンC3H4に硫酸水銀(Ⅱ)と硫酸を触媒として,水を付加させると,アセトンが生成します。
□問題⑩
□解答 …… 正しい。
アルケンであるメチルプロペンの酸化によって炭素原子間の二重結合が切れて,アセトンとホルムアルデヒドが生成します。
□問題⑪
□解答 …… 正しい。
この反応は,クメン法(フェノールの製法)の一部の反応で,アセトンの工業的製法の一つでもあります。
□問題⑫
□解答 …… 正しい。
アセトンにヨウ素I2と水酸化ナトリウムNaOH水溶液を加えて温めると,ヨードホルムCHI3が黄色沈殿します。
この反応はヨードホルム反応といいます。
次の構造をもつアルコールとカルボニル化合物がヨードホルム反応を示します。
※R-は,炭化水素基または水素
Point!
ヨードホルム反応を示す。……エタノール,2-プロパノール,2-ブタノール,アセトアルデヒド,アセトン
ヨードホルム反応を示さない。……メタノール,1-プロパノール,1-ブタノール
アセトンの製法はしっかりおさせてください。
① 2-プロパノールの酸化
② プロペンの空気酸化
③ アルケン(メチルプロペンなど)のオゾン酸化
④ プロピンへの水の付加
⑤ 酢酸カルシウムの乾留
⑥ クメン法の副産物
↧
ケトンに関する正誤問題。
↧